ノーマルAタイプばかりのスロットコーナーに5000万円を投資し人気が出始めていたAT機を導入、結果は大正解、それまで1200万だった月間粗利は2000万を楽に超え、取りすぎた粗利は客に全て還元できる状況に・・・

現代パチンコでは考えられない話だが、売り上げが上がれば幾らでも玉、メダルを出せるのが低換金の良い所、仕事帰りのサラリーマンも立ち寄りやすい駅前立地の高条件も手伝って日々売り上げレコードと月間粗利の記録更新が続いていた。

そんなある日、仲の良かったアルゼの営業マン林田くん(仮名)が、お店の事務所に駆け込んできた。

林田くんは1枚の紙切れを握りしめ、こう呟いた。

林田くん 『ついに此処まできちゃいました(笑)もぅコレを超える事は不可能です♪』

ゆきち  『なにが?』

林田くん 『昨日モニター店で50000枚出たんですよ!』

ゆきち  『気の毒にな~♪店長赤字額みて気絶して無かった(笑)』

林田くん 『いや!50000枚出ても黒字ですから!』

林田くん 『マジやばいです(笑)』

その言葉に驚いた・・・

50000枚と言えば等価交換なら100万円、それだけのメダルを払い出して儲かるなど常識で考えられない。

この営業マン林田君は元スロットのプロで、同じ釜の飯を食っていた同僚だった事もあり、最新の情報をどこの取引先よりも早く届けてくれる気のおけない人物・・・

そんな林田くんが言っているのだからと50000枚出たと言うモニター店へ車を走らせた。

到着し噂のスロットコーナーに目を向けるとそこには異様な光景が・・・

誰もドラムを見ていない。

みな黙々と液晶画面だけを見つめながら打ち込んでいる、時折聞こえる『パキ~ン♪』というかん高テンパイ音が鳴り響く度に、隣通しが横目で液晶画面を覗き見る。

大当たりと同時に流れ出すサウンドがこれまた悪そうなイメージで射幸心を煽りまくっていた

そして数万円に一度訪れる悪魔の出目・・・左7

液晶画面にその数字が止まった瞬間に訪れる身悶える瞬間。

あまりの興奮に手が震える者、液晶画面を覆い隠す者、様々な人間模様が垣間見える・・・

まさにそこは鉄火場と言う言葉がふさわしく、この台を導入した時に店内で繰り広げられる光景を考えただけで興奮した。

コレは買うしかない!!

此処は大勝負と新たに1500万以上の経費をかけてワンボックス導入で勝負に行きたかったが、次長の猛烈な反対もあり半分の16台となってしまう・・・

ただトップ導入だけは確約をもらい地域一番での導入が決まり新台入替の日を迎えた。

開店前夜にピカピカの新台が納品されアルゼの営業マンと翌日の設定について話し合う・・・

林田くん 『とにかく荒れる機械なんで1日単位で設定は合わせれないと思ってくださいね。』

林田くん 『設定6は相当ヤバイと思いますよ・・・だってここ見てくださいよ(笑)』

それは機械内部に貼られている出率表

設定1  89.00%
設定2 ・・・・・
設定3 ・・・・・
設定4 ・・・・・
設定5 119.00%
設定6 ???

林田くん 『設定6はさすがに使えませんよね(苦笑)』

ゆきち  『よし!明日は全6で行こう♪』

林田くん 『えっ!マジすか・・・半分くらい保険かけといても良いんじゃ?』

ゆきち 『大丈夫!大丈夫!明日は検査後オープンで6時開店だし』

ゆきち 『それにウチは8枚交換でっせ♪』

林田くん 『し・しりませんよ・・・どうなっても』

ゆきち 『だいじょうぶ♪』

翌日、新装開店の日ミリオンゴット全台設定6で18時オープン・・・

仕掛けた側の誰もが店内に溢れかえるメダルと客の興奮で埋め尽くされると思っていた。

しかし意に反し全くと言って良いほど出ない、客の殆どが激しく負けている。

全台設定6なのに何故でないのか?

3000円使い切ってようやく15枚役が1回揃うマシン、当たりを引かなければ凄まじい勢いで投資は嵩む、そんな機械に2時間も座れば一般客の財布はほぼ空になる(苦笑)

20時を過ぎた頃には空き台がチラホラ出始めていた。

慌てて島閉店し幕を張って液晶画面で設定とストック状況を確認した。

なんと殆どの台がストック0・・・

検査後のオープンだった為、基盤を外したのでストック0は仕方ないものとしても全台6なのに殆どの台が2時間稼働してストック0と言う事に驚いた。

このままではマズイと閉店後に数人のアルバイトを残し手作業でストックを貯めようと試みるが、これが全く貯まらない、アルゼの営業マン林田君も居残りで手伝ってくれたが、打っても打ってもストックは貯まらず当たりは来ない。

ゆきち 『これ壊れてるんとちゃうか(笑)』

林田くん  『・・・・』

途方に暮れながらも打ち込みを続けているとき林田くんの電話が鳴った。

林田くん 『もしもし・・・お疲れ様です!エッ!それでどうやるんですか?ハイハイハイ~』

林田くん 『ゆきちさん。今から言う事は会社は関係なく単なる噂なんですが・・・』

ゆきち  『噂でもなんでもええからはよ言えや』

林田くん 『実はこの台設定以外にモードの設定が有るらしいんですよ♪』

林田くん 『そのモードを液晶画面で確認して変更させる事が出来るらしいです。』

ゆきち  『そんな確認する画面ないやん?』

林田くん 『モードは設定確認画面の右上に一瞬だけABCDの何れかが表示されるらしいです』

ゆきち 『まじか!早速やってみよう』

アルファベットの意味

A・・・無抽選モード(PGGのみ抽選状態)
B・・・ストックモード
C・・・通常モード
D・・・天国モード

カーソルの向き

上・・・無抽選
右・・・ストック
下・・・通常
左・・・天国

ゆきち 『なんじゃこれ(笑)ほとんどAモードやんけ』

確認すると殆どの台がAの無抽選状態だった、PGGの抽選しかしていないのだから出なくて当然、単なる貯金箱状態だったのだ(笑)
全台設定6で出ない理由は分かった。今日の謝罪も含め翌日は全台設定6のオールD(天国モード)で18時開店を迎える事とした。

その性能は凄まじく、店内はメダルラッシュ!!足りないコインは途中交換させず他のコーナーの空き台からメダルをかき集めて補給の連発。

ドル箱はスロット用の箱では追いつかず(笑)倉庫からパチンコ玉が5000個も入る特大サイズのドル箱をミリオンゴット専用ドル箱として使用。

箱!箱!箱!メダル!メダル!メダル!

8枚交換だからこそ出来る怒涛のメダルラッシュ♪

未だかつて見た事の無い大量のメダルの山にギャラリーまで出来た。

たった16台の機械から約3時間で払い出されたメダルの差枚数は

驚愕の12万枚。金額にして150万円の大赤字!!何もかもが狂っていた・・・

翌日から壮絶な台取合戦が始まり、店内は大盛況・・・
過去最高売り上げと過去最高の粗利益を更新し続ける日々が訪れる。

次回更新へ続く

こんにちは、ゆきちです。

いまでは考えられない低換金時代、当時のお店の交換率は8枚交換。パチンコは42玉交換だったと記憶しています。

割数で言うとスロットが16割、パチンコが16.8割以上になると赤字になるわけですが、今と違って当時は必ず玉が出る様に調整するのが基本でした。

割数とは売り上げに対して払い出した玉を指標化したものです。

スロット8枚交換で言えば16割で赤字になるので13割前後の割数に収まるように調整する訳ですが、平均設定で言うと3以上になるわけです。

8枚交換時代は設定1を使った記憶はほとんどありません・・・盆、正月など超絶回収と呼ばれる日でも設定は2・3半々だったかな(笑)

パチンコも13割~14割で営業していましたから基本的には打ち込めば打ち込むほど玉が出る様に機械調整されていたわけですね。

打ち込めば絶対に玉が出る調整になっている訳ですから当時は持ち球で粘れば勝てるパチンコ・パチスロだったのです。

出率で見ればほぼ全台が100%以上になる低換金のパチンコ、パチスロ・・・

その調整が難しい所にお客が玉で粘る割合の客滞率を予想するところにあります、これは低い換金率になればなるほど重要で、当時は翌日の天気や一般客の懐具合(年金支給日や給料日、大きなスポーツイベント、人気のテレビ番組)なども頭にいれて釘、設定を開け閉めしていました。

それでも玉が出ない時はサービスタイムを延長(持ち球遊技の条件緩和)などを使い、とにかく玉を還元する事を1番に考えて営業していたのです。

こうして記事をかきながら当時を振り返ってみると、随分とパチンコ・パチスロは変わってしまったんだな~と、改めて実感する訳ですが温故知新の言葉にあるように、新しい創造には先ずは古きを学ぶことに理があると思い、過去を知るものとしてこれからも色々と書いて行きたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。

それでは今日はこのへんで。