ふむ、困った。「保通協の型式試験通信」を毎月書いてきましたが、1月と2月の不適合事例の不作が壮絶でして。適合率と適合数は想定の範囲内。普通の結果でした。私のコラムのネタ提供のための発表でないことは百も承知ですけどね。表に書けるネタが不足するのは困るのです(笑)。

ということで、ネタに困っているので“頭の体操”となる問題でも。一応、確率論の問題になりますが、難しい計算は一切必要なし。まあ、とりあえず考えてみてください。

(前提1)当たりは1枚で、残り2枚はハズレ。そんな3枚のカードから当たりを選べれば豪華賞品獲得というゲームです。

(前提2)プレイヤーは、まず1枚のカードを選びます。選んだ任意のカードをAとしましょう。

(前提3)BとC。運営側は、残る2枚のカードのうちハズレの1枚をオープンします。ここではCがハズレで公開されたこととします。

(問題)最終決断です。カードを変更することも構いません。最初に選んだAのカードのままにするか。それともBのカードに変更するか。AとBのどちらを選んだほうが当たる確率が高くなるでしょう?

スクロール幅を広げておくので、今のうちに考えてくださいまし。

 

 

 

 

 

(回答)Bに変更したほうが当たりの確率は2倍高くなります

直感的に考えると、Cがハズレとわかった段階で、AとBともに当たりとなる確率は1/2ずつ。選んでいたAが当たりとなる確率が上がってラッキーという感じでしょう。しかし、それは間違いです。

Aを選んだ最初の時点で、当たりとなる確率は1/3。残りのBかC当たりの確率は2/3。ここまでは分かるかと思います。Cがハズレだと判明しましたが、Aを選んだ時点での確率は1/3のまま。BかCが当たりの確率は2/3のままになるというのがポイントです。もちろん、Cはハズレなので当たる可能性はありません。Bの当たりとなる確率がそのまま2/3となるのです。

ええ、ピンとこないですよね。ここら辺で「むむむむっ?」となっている方が多かろうと思います。カードの枚数を増やすと分かりやすくなるかな。

当たりは1枚のまま、100枚の中からAを選んだとして。C以下98枚のハズレを開示してもらったとしたらどうですかね。最初に選んだカードが当たる確率は1/100に過ぎません。98枚を消してもらったことで、自分のカードが当たりとなる確率が1/2に跳ね上がると思いますか? 表面上はそう見えますが、1/2にはならないですよね。

 

○モンティ・ホール問題

テレビでもたまに紹介されることがあるので、ご存知の方もいらっしゃったことでしょう。実はこれ「モンティ・ホール問題」という確率論(事後確率)の有名な問題でした。モンティ・ホールという人が司会をしていたアメリカの番組で賞品を賭けるのに使われていたゲームです。数学的な答えを説明されても納得しきれない人が、数学博士レベルでも続出。“パラドックス”とか“ジレンマ”とも言われています。

 

“国語のような?数学の問題”と書いたので、数学的ではない発想でも考えてみましょうか。

Aを公開できない理由=プレイヤーに選ばれたカードだから。

Bを公開しなかった理由=当たりだから。

任意で選んだカードAと、答えを知っている運営がオープンしなかったカードBでは、当たりの確率はまったく違って当然でしょ?

 

1/10ならいざ知らず、1/3程度であれば一発でツモれるという根拠のない自信。一度選んだカードを手放して、それが当たりだったときの悔しさ。そういう“プレイヤー心理”が、確率を考える際に邪魔をしてしまうこともある。そんなことを教えてくれる“頭の体操”でした。