一般人からすれば開ける店も店だが、押しかける自粛警察とやらもどうかしていると見るだろう。ある意味では感染覚悟で無鉄砲な抗議活動をしているとも言えるわけで、まあ立場や地位、思想、信条的なものは違えど、どこか似ているところがあるということか。

 新型コロナウイルスに対応する特別措置法に基づく千葉県の休業指示に応じない松戸市紙敷のパチンコ店「アムディ東松戸」に対し、同市の本郷谷健次市長が5日、同店を訪れて営業を自粛するよう求めた。市長の同店への直接要望は、指示が出た3日に続き2度目。

 開店直前の午前10時前には市職員が「新型コロナウイルス『緊急事態宣言』発令中!」と書かれた横断幕を店舗前に掲げ、市長が3密を控えるよう外出自粛を呼びかけるチラシを利用客や市民に配りながら、協力を呼びかけた。

 同店の駐車場はこの日も、県外ナンバーの車を中心に一杯に。市長は午前10時すぎ、店内で店長に会い休業を求める要望書を手渡した。この後、報道陣には「感染拡大を心配する市民が多く、看過できない状況だ」としたうえで、「客寄せにつながっている面はあるかもしれないが、市民の命を守るため営業をやめるまで要望は続ける」と話した。午後には東京・上野の同店本社に出向いたが、社員は不在だったため要望書を郵便受けに入れたという。

 同店前では午前9時半ごろから、マイクを手にした複数の男性たちが「営業やめろ」「帰れ」などと叫び声を上げ、利用客と怒鳴り合いになるなど一時騒然とした雰囲気になった。

 入店する市内の男性会社員(56)は「なぜ、パチンコだけ非難されるのか。クラスターの話は聞かないし、みんな、大声で話すわけでもないのに……」と自粛要望に首をかしげた。一方、通りがかりの年配女性は「ほんとにひどい話。法律を変えないとダメなんですよ」と営業継続を批判した。~以上、朝日新聞デジタルより抜粋~

 日頃からパチンコを忌避する人たちは、このような手段で示威行為に励む人たちに対してはどう思うのだろうか。折しも政府からは条件付きでパチンコ営業が認められる向きになったわけで (東京都など、特定警戒都道府県を除く)、感染防止策を徹底し、求められれば業界側から現在の状況を逐一報告するなどすれば、少なくとも国からの厳しい指導等はなくなるだろう。パチンコ業界は良くやっていると、業界に関しての見方も変わってくるかもしれない。

 3.11の震災時もそうだったが、自粛せざるを得ない状況下ではとかく不要不急の業種がいい意味でも悪い意味でも注視される。今回のパチンコ叩きでは、確かに店側は批判されてしかるべきなのだが、これはもうそれを覚悟でやっているわけで、それでも容認ままならぬというのであれば、どこかの社会主義国のように問答無用で営業停止に追い込めばいい。でも、日本はそんな国ではない。

 そして、この状況下で店に行ってしまう人たちはいわゆる依存症の傾向が否定できない。手前味噌になって恐縮だが、当サイトの顔でもある安田氏が現役パチプロの本音として語っていることが正鵠を得ており、プロがお手上げだと言っている状況で店に行くのは、もうただ単に打ちたい気持ちが抑えられないだけということになる。

 しかしながら、依存症問題は根が深く、仮にパチンコやパチスロを打つことをやめられても、また何か他に問題を抱えていたりするケースが多いようで、一筋縄ではいかない。ややもすれば閉鎖的だった業界側にも問題はあるのだが、各メディアはもう少し冷静に報道してもらいたいと思う。面白おかしく開店前の行列等を報道するだけでは問題の本質に関わることはできない。

 どうしてそこまで打ちたくなるのか、そこまで依存してしまうようなパチンコ、パチスロという機械はどういうものなのか、そしてその業界の産業規模はどのくらいで雇用や納税や福祉等にどのように貢献しているのか (2016年の総務省経済センサス活動調査において、雇用規模は約22.9万人。これは百貨店の約7.5万人、自動車主要10社の約21.2万人を上回る。2018年の売上高は20.7兆円、粗利額は3兆3800億円、法人税額は年間904億円)、そういったところまできちんと掘り下げて報道してもらいたいと思う。