先週末、動画企画の関係でアニかつさんのインタビュー撮影を行った。

言わずと知れたパチスロライター界の大御所であり元祖スターライターであるアニかつさんは、スロガイ絶頂期にパチスロを覚えた小僧のボクにとっても、憧れの人だった。

アニかつさん、そしてガル憎さんのマッパチは、パチ業界に失われて久しい「カッコよさ」の象徴であったし、当時二人を知らない人などいなかった。

ただ、人には色々なタイプがある。

そして、憧れにもいくつか種類がある。

安田さんに対してが「自分もあんなプロになりたい」という憧れだとすると、アニかつさんの場合「自分の目指すべき対象には到底なり得ない」からこそキラキラして見える憧れなのだ。

女子と接点のない男子校カーストの中で、底辺付近を彷徨ったボクのような人間が、メタルでパンクでロックな人々との共通項などあるはずがなく、学生時代から向こう、そんな存在に対しては羨望と嫉妬の感情を持ちながら「オレは違うんだ」とちっぽけな自分の中にあるナニカにすがるしか出来なかった。

ただ、アニかつさんレベルとなると、もはやそういう次元の話ではなくなる。何せCDを出したりテレビCMに出演したりしてしまうようなお方。今でいえば誇張抜きでHIKAKINレベルの芸能人なのだ。その存在が遠すぎて遠すぎて、距離感を想像することすら出来ない人なわけだ。

そして、そんな人のインタビューを撮るとなった時のボクの感情面は「無」にしかならない。いや、なれない。ただただ、仕事としてミスのないよう、失礼のないよう、としか考えられなくなる。

仲良くなりたいだのお近づきになりたいだのといった、そんなミーハーな気持ちはカケラも無く吹っ飛ぶのだ。

この緊張感をどう表現すれば良いのか。っていうか緊張しまくって絶対インタビューミスる。1vs1とか無理無理無理ゲーすぎる。

という事で、パチ仲間のケンシロウくんに同行してもらった。

我ながら名采配と褒めて頂きたい。

パチ仲間の中でも、人たらしでパンクな彼なら、きっと初対面のアニかつさんとでも打ち解けてくれると思っていた。ボクより一回りほど年下の彼は、アニかつさんの絶頂期をリアルタイムで知らない。それも功を奏した要因だと思う。お陰様でインタビュー後のお酒タイムをアニかつさんも楽しんで頂けたと思う。

ニーハイソックスや夜の歌舞伎町の話で何度も握手をしては盛り上がる二人。それを見ながら、ひと仕事終えた安堵の中で飲むお酒は格別に美味しかった。

そう、「見ながら」のお酒は。

 

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人には色々なタイプがある。

薄暗く粘着質な底辺の世界を見てきた人間にも、そんな人間だからこそ出来る事もあるはずだ。年末から向こう、動画企画が中々思うようには進まない最中、このインタビューが実現したのがその証と信じたい。

けれど、帰りしなの電車の中、ケンシロウくんと別れ一人になった後、ボクの心の底に湧き上がった感情は、確実に黒色の炎だった。

「アニかつさんに初対面であんなに……いいなぁ……」

こんなクソメンタルだからこうなるんだ。アニかつさんが、そんな今更なリスペクトを求めてないことも分かってる。だからこそ距離が縮まらないことも分かってる。ただ、分からんもんは分からんのだから仕方ない。ボクはニーソよりルーズだし、夜の歌舞伎町で飲むよりも明智光秀のwikiを見ながら一人ニヤニヤお酒を飲みたいんだ。無理に合わせたところでそんな安っぽい演技すぐに見透かされる。

そんな嫉妬と羨望がないまぜになった感情を燃料にして、仕事はできる奴と認めてもらう道しか見えない以上、ボクはただただやるべき事をやるだけなのだ。


■万回転 プロフィール

  • 1978年生まれ ♂ 元パチプ
  • 好物はアナログ機とリーチ目メインのスロ
  • パチプロ時代に当時タブーとされていたCR銭形平次の捻り打ち動画をアップしてしまいネットでプチ炎上。
  • それを機に安田プロと個人的な親交が生まれ、悠遊道へ寄稿する事に
  • 色々あって完全にパチプロを引退。現在は別業種のフリーライター・エディター他便利屋業
  • 色々あって×2
  • 現在は稼働よりもパチンコの歴史についてお勉強中

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