スペイン映画『オープン・ユア・アイズ』は、米国で『バニラ・スカイ』としてリメイクされました。冒頭で人っ子一人いない街が映し出されます。誰もいないニューヨークだなんて「撮るの難しかったろうな」と当時は思いました。呼吸を感じない街の様子は見る者をたいそう不安な気持ちにさせたものです。世界にたった一人だけになったような錯覚。子どもの頃の正月の朝の、キンと冴えた空気も何故か思い出します。

不要不急の外出を控えるように。

このお達しが出た時、秋葉原の写真を見ました。誰もいない。実際は撮影者もいるわけで、いない通りを撮ったのだろうとは思いますが、あの秋葉原が静まりかえっている。胸のザワつきは収まりません。まるで不気味な夢を見ているよう。

今、とかげのような姿をした大きな怪獣が日本全土を取り囲むように横たわり、寝息を立てている。

どうか起こさないで。

文化のとらえ方

加トちゃんは完全なるなりきり型のコメディアンですが、けんちゃんは「ふっと我に返る」瞬間があり、自分を俯瞰で見ている人なんだなと思ったものでした。ポチさんが書かれていましたが、世代や国をも超えて笑顔を届ける人はもうしばらくは出てこないかも知れませんね。

和泉プロが「ささいなところでキレる」バカ殿が好きだとつぶやかれていました。単純に「うぇっ・うぇっ」つってるのも好きでしたが、私もそうなので思い出し笑い。追悼番組で「コントはカメラ割りが大事」だと入念な打ち合わせがあったと知りました。手に持った扇子がパラリ~ンと落ちるタイミング。計算を感じさせないってすごい。ひとを笑わせるって本当にすごいこと。

ところでパチンコやスロットですので、アカウントに777を付ける方は多いですが、和泉プロが776なの、しゃれてますね。「んんーナナッ、んーーナナッ!んんんんん、ロク!チェッ(指を鳴らす)」人間パチンコ:テントさんを思い出してクスクス。まねっこして私も何かあれば767でいったろ思います。

笑いに関してのアレコレ。今はとても清潔だけど、少しばかり窮屈な世の中になりました。昔は良かったはさすがに乱暴ですが、腰元たちの明るいオッパイが懐かしいです。末井さんの映画でもダイナミックで大らかなエロが描かれていました。それがいいか悪いか、質は別として、頭っからエロを毛嫌いする層は映画『ラリー・フリント』のあのシーンを見てほしい。ラリーはポルノ雑誌「ハスラー」を創刊したお騒がせ人物です。

戦争の痛ましい様子、飢えや疫病、権力や暴力的な写真と、裸の男女の写真をスライドで大きく交互に流し、一体どちらが下品なのか「見るに堪えないのはどっちだ!」と投げかけるラリーの姿です。

表現や言論の自由を勝ち取る破天荒男の物語ですが、本当のキモはラストにあります。豪邸の荒れた庭に、HIVで他界した妻アリシアの、ラリーを呼ぶ無邪気な声がかぶります。あの庭は彼の心の中。

 がらんどう。

アリシアの声は、かつて彼がビデオカメラを回した映像から流れています。それを見ているラリー。

裸になれよ、ベイビー

なんで?

ばあさんになった時、記念になるぜ

アタシはババァになんないわ。アンタがじいさんになんのよ。

裸になったアリシアが画面からじっとこちらを見つめています。

― ライブハウスや映画館。音楽や絵画、そして映画等、芸術や娯楽は「なくても困らない」と言う人がいます。そうでしょうか。さびしいこと言わんでほしいです。まぁここは「ネタバレすんなや」とか堅いこと言わずに。どれもいい映画です。家で過ごされる時にいかがでしょう。私は「こんな時だからこそ」というスタンスでしのぎたいと思っています。

緊急事態宣言。せっかく念願の「ホール禁煙化」が叶った(愛煙家の方々すみません)のに、確かめる事も出来ずにいます。革のバッグも持って行けるようになったのにな。「パチンコ屋に何しに行っとんねん」て話ですが、私はいつもちょっとオシャレして出かけるんですよ。でも革製品はニオイが移るのがイヤで今まで持って行けなかったんです。

緊急事態宣言下でのんきな事ばかり言ってますね。怖いし、独り者ですのでとても不安です。世間はまた買い占めだとかヒステリックな事になるんでしょうか。でも

 しぃっ!

皆が騒ぐと怪獣が目を覚ましてしまいます。まずは、私たちが、やれる事を。時が満ちて暴れずにすぅっと空にのぼっていくまで、しっかりと目を見開いていたいものです。