個人的な好き嫌いで言うと名前も出したくないYouTuber兼実業家がぱちんこ業界へ参入し、代理店のせいなのか本人の意向なのか、全部コミコミの話題作りなのか、わちゃわちゃしている昨今ですが、またも出ました

「ぱちんこ業界を盛り上げたい!」

いや、いいんですよ。ちゃんと責任を負っている方々がそう申すのは。メーカーさんとホールさんとそこに関連する形で業界でメシを食ってる方々がそう思うのは当然の話だし、盛り上げたいという気持ち自体を否定するつもりはサラサラありません。出来る出来ないの話でもなく、やり方の問題でもなくね。

そして、業界への愛だの機械的な知識だのも、基本的には盛り上げたい気持ちがあるなら少しずつ学んでいけば良いだけの話です。

ただ、そんなキラーワードを軽々に使うとブーメランになるのが「そもそも盛り上げて良い業種なのか」論。そんなん、ある程度の歳を重ねたら分かる話ですよね。業界のこと知らんでも。

だってギャンブルだぜ?

なのによう徒手空拳で挑んだね、っていうのがこの動画。

2500人の店長クラスが在籍するという業界オプチャのまとめ役らしい、畠中 太一さんがご出演なされたところ、異業種の社長さん方にぶった切られたこちらの配信。

本日はそんな動画を見て思ったことをダラダラ語る回でございます。

見ていないという方は是非とも先に動画を見てからこの先をご覧頂ければ幸いです。

公序良俗を乱してはいけないというマジョリティのお気持ち

ぱちんこを守る必要があるか否か。そんなもんは、個々人の考え方次第です。善悪であれ好き嫌いであれ、それは百人百通りの考え方があるわけですから、あたくし如きが「こうすべき」なんて言う気は毛頭ございません。

しかし、ぱちんこは日本国内限定の業であり、日本は民主主義国家であって、厳密には違うけれども基本的には「こういう世の中になった方が良いよね」という多数決的によってルールも社会規範も世間の空気感も作られていくものです。ぱちんこという存在もそうした中で生きています。

そしてぱちんこは、そんな日本に住む多くの人々にとって残念ながら必要とされていない業です。

ぱちんこに限らず賭博は中毒性が高く、依存症・借金問題等、個人やその周辺の人々を破滅へと追い込む本能的な力があります。だからこそ賭博は、社会規範を守って生きている多くの人々から忌み嫌われる存在であり、それは普遍的な事実です。

また、ぱちんこから賭博要素を除き、遊技機の持つ魅力だけで他のエンタメ業種と渡り合える・マスに届く需要があると思っている人がいるとしたら、それは勘違いも甚だしい。

業界の方々がすぐに忘れる(目を背ける)のが、こうした業界外からの視点です。

だからこそ「業界を盛り上げたい(守りたい)」なら、その裏に確実に存在する社会を乱す要素に真摯に取り組むことと本来はセットでなければならないわけですが、それがおざなりなまま、軽々にキラーワードを発するから馬鹿にされるし、ただの私利私欲だろ、となるのです。

勿論、ボクらぱちんこ愛好家から見る景色はそうではありませんし、ぱちんこがもたらす良い面が沢山あるのも事実です。

しかし、BT機よりヴヴヴ2、羽根物よりもLT3.0を大量生産・導入する業界や、そこにぶら下がって目先の数字欲しさにお客を煽る人々の言動不一致が続いているのは、ボクが今更言うまでもないでしょう。

それでも畠中さんを擁護したいお気持ち

動画を見ていて激しく違和感を覚えたのは、虎たちの

「それあなたがやらなくても良いよね」

という言葉。

総理大臣ですら替わりはいる世の中で、たかがイチ企業の虎たちだって、あなた方がやってる事が無くなっても世間の大多数は別に困りません。

ぱちんこの根源的な問題点をこうして大っぴらにしてもらえたことに意義はあると感じつつも、どんなお仕事にも替わりになる人はいるし、無かったら無かったで生きていくのが人間だし、売上や影響力に重きを置いて優劣を語るのは実に資本主義的な考え方。

それは風俗業とそれに頼ってしまう人々と抜群に相性が悪い。そういう理解は無いんだな、と感じてしまいましたし、弱い人々の気持ちはあなた方には分からんだろうな、とも感じる次第です。

畠中さんの

「データの精査ではなく人間同士の触れ合いでお客を増やしてきた」

と言う言葉に対して、虎たちが

「これまでのぱちんこ業界はもっと余裕があったのに人ではなく売上増加に邁進してきたじゃないか。何を今さら」

と言うのは、1ミリも反論出来ない当然な話だし、畠中さんのプレゼンがヘタクソだったのも事実なんだけれども、アリの法則よろしくご立派な人だけで社会も皆さんの業も成り立たないから、軽々に搾取とか言わないで欲しいものです。どんなにご立派に見える業であっても、やり過ぎる人が必ずいるのが資本主義の法則だからこそ、どの業にも法とガイドラインがあるわけですし。

そして、「あなたじゃなきゃいけない理由」なんて別に必要ないし、ホール側の視点から遊技機代金の高騰や販売方法を改善したいと願う畠中さんの提案に対し

「ぱちんこ嫌いだから」

で終わらせるのはどうにも虎たちの器量の狭さを感じざるを得ませんでした。

でも、やっぱり擁護できないところ

ただ、だからこそ「業界を守りたい」なんて大風呂敷を広げちゃいけなかった。もっともっと手前の自分が生きていく為のビジネスだって言えば良かったし、それだって胸を張っていいと思うんです。そもそもがユーザーとの利益相反なのがこの業の宿命ですし、どこかのぽっと出の演者さんみたいな事を業界歴25年の人が言うのはちょっとね……。

畠中さんがどうしても虎たちに比べて幼く見えてしまったのも事実です。

ぱちんこは非常に専門的で、ニッチな業であるにも関わらず、とてつもない巨額が動く世界。だからこそ、そこである程度の成功を収めている人はそれなりのお金が貰える世界です。

しかし、そうして得られるお金は、決して他業種と同じ努力が反映されるものではありません。賭博業というぬるま湯だからこその水増し分があります。その差が見えてしまう動画です。

そして、経験や能力という面ではなく他者が感じる表層的な感情として、依存症等の深刻な問題に真正面から取り組まない不誠実さが見えてしまうのと同時に、どう誤魔化したって「楽して儲けやがって」というやっかみを買う業というのも露になりました。

ぱちんこよりもっともっと厳しいマジョリティの世界で磨かれてきている虎たちは、ぱちんこ業界でどんなに実績があっても外では通用しないよ、というのをAIの話・資料の話・根本に向き合っていない話等々から厳しく指摘してくれたわけで、そこはもうぐうの音も出ません。

見ていて自分の胸が抉られるようだったもんw

この業でお金を得ている人々は、そういう自覚を持っていなければいけないし、何をどう屁理屈こねたって「業界を盛り上げたい」はキラーワードだと思うのです。自分を殺す、という意味で。

最後は政治の力が必要なんだけど

では、ぱちんこ業が根本的に持つ負の側面に正面から向き合うにはどうすればいいかと言うと、そんなの個人単位の話ではどうにもなりません。

民間企業であるメーカー・ホールが自社の利益を追求しないわけがなく、その結果行き過ぎるのも業としての宿命な以上、自主規制・ガイドラインなどと言うお為ごかしで根本的な解決にならないのはこれまでの歴史を見ても明らかです。

であれば、強制力を持つ明確なルールを作る以外に方法は無く、それは風営法を含む法律の問題。政治の領域です。監督官庁である警察庁とも一緒に取り組まなければならない課題です。

だからこそ、参院選で阿部さんが落ちた上に大掛かりな公選法違反まで発覚してるのが、アレがアレすぎて頭がクラクラするのですが、兎にも角にも今後に関しては

「業界を守る為に政治の世界へ!!」

ではなく

「ぱちんこは社会にとって必要な業!負の側面は政治の力でこうやって解決する!!そうして社会に貢献します!!!」

が無くてはなりません。

そう正面切って言える指導者が出てこない限り、他人を不幸にしながら私利私欲を満たすだけの賤業と言われても仕方が無いし、社会から必要とされないまま先細っていく未来が待っているだけでしょうね。

そして、冒頭でチラっと触れた頭が金髪と黒の人とその取り巻きや、演者バブルに乗って雨後の筍のように現れる人たちと代理店にお金を流して業界がやせ細っていったとしても、これまでもずっとそうした魑魅魍魎が蠢く世界だったんだから”らしい”としか言いようがありません。

ただ、心ある人にはやっぱり「業界を盛り上げたい」の正と負の側面をきちんと理解した上で、先の展望を描いて欲しいと、外野ながらに願ってしまうのです。

 

ちなみに、ボクは必要か必要無いかで言えば間違いなく必要だと思います。賭博は。それがぱちんこでなければならない理由は、個人的な趣味嗜好以外にありませんが。

ボクはパチンコもパチスロも好き。玉の動きもリールが織りなす世界観も、今のド派手な演出も、技術が問われる打ち手の世界も好き。

そんな世界にどっぷり浸かって、その過程で適切以上のぱちんことの付き合い方をボクは幸いにも知れて、金銭面で破滅せずに済んだからこう言えるけど、それは社会の物差しとはまた別の話。

「業界を盛り上げたい」という言葉は、社会的意義と切っても切り離せません。

まだまだぱちんこ業界はそこに至っていない。そんな学びを得られた虎さんたちの動画でした。


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