先月、ボクが高校時代、部活の顧問だった先生が亡くなられました。

今時らしく大々的な葬儀は行われず、平日日中の告別式のみという事でボクは都合がつかずに参列は叶いませんでしたが、同期のキャプテンが参加。そこからなぜか、同期+一つ上の先輩の皆様と忘年会をするという流れに。

30年前の部活動において、ゴリゴリの体育会系だった我らのテニス部は、先輩=絶対の存在。例えどれだけ距離が離れていても、校舎で先輩を見つけたら大声で「おざああああす!!」と挨拶。仮に先輩がこちらを見つけ、我々が気付いていなければ練習後

セ「集合」

という号令の下、ビシっと一列に並んだのち、

セ「万回転」

万「はぁぁぇい!!!」

セ「あの時あそこにいたよな?」

万「(いや、いなかったんだが……)すいませんでした!!」

セ「すいませんじゃねえ!なんで挨拶しなかった!?」

万「すいませんでした!!」

みたいな割と理不尽な問答が繰り返された後、連帯責任で同期全員が罰ランか筋トレを命じられるという、令和の学生さんからしたらアンビリーバボーな環境の中で高校三年間を過ごしました。

そんな先輩の一部は、大学で同じサークルに所属していた為、高校時代よりは大分優しい交流があったものの、その他の先輩とお会いするのは30年ぶり。

え?俺今ほとんどパチニートなんだけど……今更どのツラ下げて会えと……?www

という、これまでの人生で何度も遭遇した日陰者故の葛藤に、この歳になってまたも苛まれることになったわけですが、そこはツラの皮が分厚い万回転。

普通に忘年会に出席し、先輩と同じく30年ぶりに会う同期もいる中、お約束の

「今何してんの?」

という問いに

「遊び人ですwww」

と答えて薄ら笑いされたり、家庭の話になった時には

「×2だけど○3ですwwww」

と答えて再び諸先輩がたの顔を引きつらせてきましたが、そこは皆様ご立派な社会人。アレコレ深く突っ込まれたりお説教されるようなこともなく、昔話に花を咲かせる楽しい時間を過ごすことができました。

こちらもこちらで、当時は言えなかった先輩のアレコレをちょっとイジっては

セ「集合ww」

同期一同「はぁぁぇい!!!www」

みたいな悪ノリをしたり。

いいですよね、こういう時間。もう、お互い直接的な上下関係があるわけでもなく、何かを競い合うこともない、利益が絡む関係でもない中で、やはり学生時代の思い出というのは特別なもので、その時間を共有した大の大人が交流できる場というのはそうそうありませんから、こうして再び縁を繋いでくれた亡き先生に感謝しかありません。

そして、久しぶりに会った人みんなに言われる

「その声その声w変わってないねぇw」

って、声なんだから変わるわけなかろうもんwと思いつつ、そう言えばYouTubeでも撮影時

「声で分かりました」

と面識のない視聴者さんから何度も声をかけられたことを考えると、昔は「なんだその声!腹から出せ腹から!!」と先輩に散々イジられたボクの甲高い声質も、こうして覚えてもらえる側面もあるんだなぁ、と。

そんな取り留めのない先週末の出来事でございました。

恥を再確認する為の場

いくら歳を重ねてもぱちんこで稼ぐという事に罪悪感が消える事は無いし、この世界のことを何も知らない方々に自分がやっている事を話すというのはシンドイものがあります。自分が能動的に会いたいと思って行く場では無いわけで、それなら断ればいいだけの話です。それが一番楽なのは間違いありません。

ただ、それでは世界は広がらない。ボクが今普段ホールで話しているような専業さんがたと話しているだけでは、悪い意味での自己肯定感しか得られない。自分を肯定してくれる人たちだけの世界にいちゃいけないと思うから、ぱちんこ打ちは時々こうして外の世界との接点を持つべきだし、そうした場に誘ってもらえることに感謝しなければいけないと感じます。

それと同時に、今さら自分のことを分かってもらいたいという気持ちも、もはやありません。

各々の持って生まれた性質があり、人生の現在地に至るまでにはそれぞれの事情があり、どれほど仲良く見えたところで他人である以上、多少の助け合いは出来ても本当の意味で分かり合えることなんて無いし、基本は自分勝手に生きていい。

でも、社会のバグのスキマで生きているボクらはそれに胸を張ってはいけないと思うから、時々はこういう場で自分の恥ずべき部分を見つめ直し、それでも尚この道を選ぶ理由を再確認するのです。

そうして他所様に出来る限りご迷惑をおかけしないよう、自分の大切な人々を裏切らないよう、自分の中の誠実さを大切に生きれればそれでいいと思うのです。

Sよ また会おう

かつて一番「陽キャ」という言葉が似合っていた同期がその場にいたのですが、彼はボクと同じく離婚を経験し、現在シングルファザーとして子育てしつつ、父親から受け継いだ仕事をたった一人で切り盛りしているそうな。

「子どもが独立したら山奥に引っ込んで、酒と睡眠薬持っていって死ねばいっかなってwもう女もいらないしw」

半ば冗談のような、半ば本気のように笑っていました。

眉間に蓄えた白髪と目じりに深く刻まれた皺と共ににそう語る彼の表情には、それまでの苦労がにじんでいたようでシンパシーを感じつつも、今こうして再開できた意味があるようにも感じました。

人は一人では生きられない。

時には日常から離れ、しがらみから離れ、何も考えずに愚痴ったり笑いあったりする場が誰しも必要です。

特にパチプロは孤独だから、そうした機会があるならば、己の恥を晒しても平気な場であれば、少しのメンドクサさと恥ずかしさを乗り越えて酒を酌み交わしにいきましょう。

ボクはきっと、これからもそうして生きていきます。


■万回転 プロフィール

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