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最初はオマケ的な立ち位置だったAT

CT機→大量獲得機と来て、次に時代を作ったのはAT機である。コイツがいちばん凶暴で、射幸性は行き着くところまで行く結果となる。まず最初にATの片鱗を表したのは「ゲゲゲの鬼太郎SP(サミー)」で、少し前に「初の液晶付きスロット」として登場した機種の焼き直しである。普段から高確率で小役が成立していて、同時に全て狙う事ができない組み合わせを1ゲーム毎に液晶やドット表示でバラして、目押しすれば全て獲得できる状態になり…徐々にではあるが、当たってもないのにコインが増えていくという画期的なシステムだった。この「ゲゲゲの鬼太郎SP」では、あくまでボーナスのオマケ的な立ち位置だったが、この機能が後々の業界を大きく変え、社会問題へと発展するとは…当時予測できていた人は少ないだろう。
AT機能が初登場した同年、ゲゲゲの鬼太郎から間をおいて…ついに爆裂AT機の始祖とも言える「獣王(サミー)」が発表される…のだが、これが最初は全く注目されていなかった!パチスロ雑誌の新台販売スケジュールでも、モノクロページの片隅にスペックと筐体写真だけ載ってるような感じだったんだけど、他の大量獲得機と比べてもクソ重いボーナス確率のみが表記されているだけで、ATには触れられず。誰が見ても「なんじゃこりゃ?こんな確率の機種誰が打つの?サミーどうした?」って感じで生暖かく見ていた。

サバチャン!

が!しかし!徐々に情報が出てくる中で「コイツはバケモノだ!」に変わっていき、情報が早かったホールは初販から押さえ、見過ごしていたホールもスロット業界が獣王一色に染まる中で増産分を押さえていった。その人気は凄まじく、単一機種のみで専門店化したホールを見たのも、獣王が初めてだった。ここで今さらながら獣王を解説すると、ボーナスはBIGとREGを両方搭載しており、確率は激重。そして獲得枚数も至って普通で、決して大量獲得ではない。これまでの常識では「どうやって勝てって言うねんっ!」なんだが、コイツには今までオマケ程度で考えられていたATが、第3のボーナスになっていた。し・か・も!強烈な連チャン性まで付いていて、低設定でもヒキ次第で軽?く万枚突破する仕様。CTのウルトラマン倶楽部やアステカ、大量獲得の大花火など、万枚を狙える機種はそれまでもあったが、基本的に「設定6なら」で「設定5でもワンチャン」ってレベル。これらは継続的に出玉グラフが右上がりになり続ける必要があったが、獣王に限ってはラッキーパンチが上手くハマれば、低設定だろうと猛爆の可能性があった。これが世に中毒者を蔓延させる事となる。どこのホールに行っても営業の中心は獣王!だった。24年経った今でも、サバチャンのBGMが頭にこびり付いているオッサン連中は多いはず。

そして色々狂っていく

この前年にパチンコも5回リミッター時代が終わり、それなりに盛り上がりを見せていたが…そんなもの完全に吹き飛ばす勢いでスロットが射幸性の獣になり始めたのが2000年。この獣王の大成功をきっかけに、その後目押しのいらない押し順ナビの爆裂AT機「クレイジーレーサー(メーシー)」が登場し、AT機は目押しが出来なくても打てるようになり…誰でも簡単に超鉄火場に足を踏み入れる事ができてしまうようになる。
そこからは、各メーカーが狂ったようにAT機の爆裂度を競う形になるのが必然。中には最初から5万枚or2万枚出るように設定できる「神輿(テクノコーシン)」のような超異端児まで存在した事実。5万枚ってアンタ、等価なら100万円ですぜ?常軌を逸してるってば。この頃はほんと、狂ってた。

つづく