オールナイトゲーセンYouTuber「法律は分かりません」→業界人「こういう人が来店バンバン呼ばれるっていうのが空恐ろしい」

神奈川県の寒川にあるスパイダーさんと、そこでオールナイトイベントを企画したやっちゃんの崖っぷちスロパチ生活さんの件。

ご存じないという方はフルスロさんのまとめを見て頂きたいところですが、レトロぱちんこ系YouTuberとして活動してきたボクとしても無関係ではない為、当初から動向を注目していました。

ただ、Xでのやり取りというのは基本短文で、複雑怪奇な風営法を事細かに解説する場ではないし、色々と裏も知っているだけに発言は控えようと事態を静観していたところ、結果として多数のツッコミが入りイベントは中止となったようです。

今回は、一連のアレコレの何が問題なのかを整理します。

1.ゲーセンオールナイトは何がダメなのか

今回スパイダーさんと崖っぷちさんが企画したイベントは、大晦日から元日にかけて、スパイダーさんを貸し切りにし、入場料金を取った上で配信&打ち放題を企画したものです。この問題点をまず整理します。

・原則として風営法下の許可営業であるゲームセンターは深夜(24-6時)営業は認められていない。

まずこれが大前提です。

そこでパチンカーの皆様がまず疑問に思うであろうことが、ゲームセンターと同じ風営法下であるぱちんこ店が「三重県でオールナイトやってるじゃん」という話。これは

・都道府県別の条例で特別な事情においてのみ認められるケースがある

というのが風営法の次にくる法律関係で、三重県では伊勢神宮の参拝客(初詣)のトイレ貸し出しの為、というのが一般的な説として流布されていますが、「習俗的行事その他の特別な事情のある日」として大晦日が指定されており、それを理由にオールナイト営業が許可されています。店舗単位の許可申請が必要で毎年審査があるよう(ここは伝聞)ですが、要するに

1.基本的には風俗営業(ぱちんこ・ゲームセンター等)の深夜営業はダメ

2.都道府県別の条例で営業時間は異なる

3.都道府県別の判断で特例はある

これが基本的な理解です。そして、今回の舞台になりそうになった神奈川県で過去、ぱちんこ店やゲームセンターを含む風俗営業店がオールナイト営業が正式に許可された事例はボクが知る限りありません。尚、横浜市の伊勢佐木町周辺や川崎市川崎区などで、25時までの営業を特定の日で許可された事例はあります。

また、ぱちんこと同じ4号営業にあたる麻雀店(雀荘)が深夜カーテンを閉め切って看板を消灯し、深夜から朝までお客を入れているケースも原則としては完全にアウト。業界としての自主規制が強化され減少傾向にはあるそうですが、地域によっては黙認状態だったりして、行政の対応も玉虫色なのがややこしい部分です。

ぱちんこもゲームセンターもこうした曖昧な部分が散見されるのは同じですね。

では、次にいきましょう。

2.貸し切りでも打ち放題だから問題

崖っぷちさんがイベンターとして「貸し切っているんだから問題ない」という論が一部見受けられましたが、これに関しては入場したお客が打ち放題という点が問題になります。

仮に、設置されているパチスロを一切触らせない、場所を貸し出すだけの形であれば風俗営業店舗であるスパイダーさんの責任が問われる可能性は低くなります。※イベント自体が風営法以外の景品表示法等に引っかかる可能性はあります。

ただ、今回は入場したお客が普段のスパイダーさんの営業と同様にレトロパチスロを打てる。それはスパイダーさんの営業の延長としてみなされる可能性が非常に高くなり、神奈川県警の許可を得ずにやってしまえば条例違反・風営法違反として摘発される可能性が高くなります。

昨今話題のゼロ円ぱちんこは、業界をあげて正式に行政と話しをつけたからやれる話です。それとこれとは違う点、ご理解下さい。

3.料金を全く取らない形ならばリスクは低いが…

入場料が5000円であろうと1円であろうと、お金を取る以上営業行為。崖っぷちさんが主体に見えるとは言え、人件費も光熱費もかかる営業時間外のスパイダーさんを貸し切るのが無料なはずもなく、そこには当然営利関係があり、前項の打ち放題も含めて貸し出したスパイダーさん側の責任も疑われる話になります。

そして、前述の通り風俗営業店としてやってはいけない深夜営業を行えばシンプルに法律違反になるわけで、最悪の場合、営業許可の取り消し=廃業に繋がるだけでなく、今後のぱちんこ専門ゲームセンターの許可についても締め付けが厳しくなるところまで考えなくてはなりません。

言うまでも無く「店舗とイベンター間で話がついているから大丈夫」なはずがなく、店舗とイベンターが神奈川県警と話をつけるべき事案です。

そして、結果的にイベントが中止になった=神奈川県警の許可は取っていなかった。崖っぷちさんのポストには「通報のせいで」みたいな一文がありましたし、そういうことでしょう。

「通報のおかげで犯罪者にならずにすみました」ではなく「通報のせいで中止になりました」という思考回路については思うところがありますが、それは一旦スルーしましょう。

楽しいイベントを開催したい。その気持ち自体は分かりますし、入場料等を一切取らない無料イベントでやれば、風営法や条例に引っかかる可能性は非常に低くなります。ただ、これが1回限りのイベントではなく定期的なイベントとなれば、営業行為の延長とみなされ、事実上の営業として処分の対象になる恐れはあります。

また、個人宅や倉庫等、風俗営業の許可店舗外であっても、参加料を取ったり、YouTubeのメンバーシップ限定・優先招待等、背景に有料コンテンツがある中で、ホールにはもう置かれないぱちんこ台を使った興行も、風営法に抵触するリスクがある事も併せてご理解下さい。

4.不特定多数を入れてはいけない理由

今回のイベントは、当日フラっとスパイダーさんを訪れた人が料金を払えば入れる形でした。しかも深夜営業で。

しかし、神奈川県の条例では16歳未満の午後8時以降の入場・18歳未満の午後10時以降のゲームセンターへの入場は原則禁止です。

なのにイベント告知にそれを明記していない事が問題です。仮に県警から許可を得たイベントだったとしても、オープンな形でイベントを実施した場合、未成年連れで来るお客様をお断りする事は明記しなければなりません。

これは入場料の有無を問わない話です。

5.どうすればオールナイトが出来るのか

・神奈川県警の許可を取る(まず無理)

・お客からは料金を取らない、過大な賞品提供もしない非営利活動(無理よね)

・パチスロに触らせない完全事前予約制で18歳未満出禁の招待制(誰が行く……?)

・継続性を持たない単発イベントにする(年一くらいなら多分セーフだけども)

こういう話で、崖っぷちさんがスパイダーさんを貸し切り、オールナイト配信を一人でか、スタッフさん達と一緒に頑張って、YouTubeから広告収益を得たり投げ銭をもらう形を求めるだけならリスクは抑えられます。店舗さんだけで同じように頑張るのも同様です。ぱちんこ店でも新台導入日前日の深夜に設定⑥配信とかやってますよね?アレもいろいろ考慮するとグレーな面があるけれど、リスクを減らすということはそういうこと。

店舗としても配信者としてもイベントを打つなら盛り上げたい・他者を巻き込んで利益に繋げたいと考えるのも当然とは理解します。しかし、そうした欲と風営法の背景をご理解されていないのが一番の問題です。

ぱちんこ店もゲームセンターも許可があって初めて出来る営業です。メルカリやヤフオクでいらない洋服やらパチスロ台を個人が売るのとは全然違う制限があります。一般的な営利活動との大きな違いはそこ。

そして、何故そうした制約があるかと言えば、風俗営業は社会の秩序を乱す恐れが高く、営業を頑張れば頑張る程、社会にもたらすメリットよりもデメリットが上回る事例が過去に山ほどあるから、そうした法律になっています。風営法・条例というルールで一定程度縛らないと社会全体が迷惑するから、単純に「面白いんだからいいじゃん」で思考停止するのは幼稚と言わざるを得ません。

また、風営法や条例をキッチリ守っているように見える形であっても、最終判断は全ては行政の匙加減次第な面があり、行政裁量とはそういうものです。指導・警告・営業停止・許可取り消しという行政処分や、司法側が刑事罰をどう判断するかなど法令を読んだだけで分かる話ではありません。

確実な事は言えないのが許可営業の実態ですから「それならギリギリをついて儲けよう」ではなく「風営法の背景を理解して守りながら頑張ろう」となるのが良識ある大人の行動ではないでしょうか。

未成年の子供ならともかく、もういい歳した大人なら、こうした無知や利己的な欲からくる残念な言動は、周りから白い目で見られるし、今回のイベントが中止に追い込まれたように大きなしっぺ返しが来るという事は理解して頂きたいところです。

以下、ボクのお気持ち

スパイダーさんは過去、本来ゲームセンターでは認められていない高額賞品を提供するパチスロ大会を何度も開催していました。

ボクも動画撮影の為に参加したことがあります。賞品の対象になった際は全て権利を放棄しましたが、いつしか大会が無くなったのは、前述の風営法・条例に抵触し、県警とのアレコレがあったことは想像に難くありません。

また、今回の件に関して風営法に詳しいぱちんこ業界の皆様がマウントを取っている様態も目にしました。

ただ、5号営業下においてこうした店舗が出てくることも、国内やベトナム他で4号機・5号機が裏スロのように使われていることも、風俗営業を許可・営業をしながらホール現場に置かれなくなった台たちの行く先をきちんと管理していない行政と業界側の軽微な責任とも言えるわけで、上流からマウントを取って店舗さんや崖っぷちさんを叩いたり自分のインプ稼ぎに利用するのではなく、ぱちんこ(台)を生業にする同志として知っている事は教えてあげれば良いのにな、と感じます。

そういう所、ぱちんこ業界の(一部の)方々も本当に優しくない。

個人的には「スロゲーセンのオールナイト営業?年1のそういうイベントくらい良いじゃん、楽しそうじゃん!」という思いはありますし、スパイダーさんにお世話になっていた頃、そうした企画を考えたこともありますが、法治国家である以上、法律・条例には従わなければいけません。4号5号関係ありません。皆一緒です。

思考停止で法律を絶対視する気はありません。法律は法律で色々な問題や不備があるからこそ、行政・司法と共に三権分立の大きな柱として立法があります。だからこそ、現行法に不満があるならば「バレなければ良い」ではなく、変える方向に尽力すると同時に、法律の番人たちからきちんと許可を得てやるのが筋でしょう。

……と色々と述べたところで、スキマを突くことに逡巡がない・お勉強もされない方々は、自戒から目を背ける・読まない・ボクを敵認定する、までがセットな事も身をもって知っていますから、こんなこと書いても損しかないと思いつつ、ぱちんこ業界人であれゲーセン業界人であれお客側の立場であれ、真っ当にやっている皆様にこれ以上の実害が出ないよう、少しでも理解が進むよう、筆を取らせて頂きました。

 

「おもしろきこともなき世をおもしろく」(高杉晋作)

 

は、あくまでもルールを守った上での話。現代は英国公使館焼き討ち事件(御殿山事件)を無知な身内が喝采しようとも、それでは済まない世の中なのはSNSをキッカケに炎上した御身をもってご理解頂きたいところです。

誰かのせいではなくご自身のせい。そこだけは誤魔化してはいけません。

■風営法参考
第2条第1項 第5号:5号営業(ゲームセンター等)の定義  
第13条第1項:風俗営業の深夜営業禁止 
第22条:青少年の保護
第23条:賞品提供の禁止
 
■神奈川県条例参考
第8条:青少年入場制限
第9条:営業時間の制限
第10条:営業延長許容地域  
第11条:特別な事情のある日
 
■三重県条例参考
第4条:習俗的行事その他の特別な事情のある日
 第1号:1月1日  
 第2号:12月21日〜31日および1月2日〜10日
第5条:風俗営業の営業時間制限
第24条:特定遊興飲食店営業の営業時間制限

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