「さよならだけが人生だ」

昔、そんな事を書いた詩人がいました。
しかし、現代ではSNSという物があり
それを足がかりにすると、その人の現在や近況が
分かってしまったりする。
昔に比べれば、別れという物自体の重さが
無くなったと言わざるを得ない。

「さよならなんて出来ない人生だ」
そんな感じです。

そんな事を思っていたある日。
ひょんな事から母とパチンコへ行く事になりました。
母は大のパチンコ好きであり、大のパチンコ必勝ガイド好きです。

しかし、ここ数年明らかにパチンコ屋へ行く頻度は
減っており、パチンコの話をする頻度も少なくなり
ました。

理由の一つとして、近所のパチンコ屋4店舗が
ここ5年の間に全て閉店した事があります。
郊外に行けばまだまだパチンコ屋さんはありますが
母も徐々に、しかし確実に年齢を重ねてますから
郊外にまでパチンコを打ちに行くのが辛いのかな、と
思います。

あとはパチンコ屋の状況です。
母に最近「パチンコ行った?」と聞いても

「今のパチンコ屋は出らんもんね~」
「1パチを打つ老人しかおらん、これじゃお店は儲からない」
「派手な台ばかり、つまらんもん」

と答えます。

そんな母とパチンコ屋へ行く。
遊技というよりも付き添いという側面が強いものの
これも一種の親孝行かな、と勝手に解釈しました。

お互いのスケジュールの都合上、夕方から
行く事になりました。

最高気温は4度。快晴。
日が落ち始めた町の中に昔ながらのネオンが
輝くパチンコ屋の前で私と母は落ち合いました。

母は1円パチンコのアイマリンへ着席。
私は一瞬、ジャグラーが打ちたいなと思うものの
せっかくだと思い、1パチのリング運命の7日間2に
着席。甘は4パチでも打った事がありましたが
ミドルは初めて。1パチだし気楽に打ち始めました。

母も私も17時から21時まで打ち
母はちょい負け。私は700回転ほどハマり
遊タイムに連れて行かれたものの9連してくれて
一撃で一万発出てちょいプラスで終えました。

帰りに母に「楽しかった?」と聞くと
「ま、安くで遊べたし、楽しかった」と答えました。
そして「目が悪いから夜道を帰るのが怖い」と
母は言いました。

その時に、母もそんな歳になったのかと。
同時に私も良い歳をした大人になったのだと。
少し胸が締め付けられる思いをしました。

それから数日後にたまたま母と食事をする機会が
あったのですが、母は楽しそうに数日前に打った
アイマリンの話をしていました。

一時的に足が遠のく事はあれど
結局、パチンコからは離れられないのだな。
そう思いました。

どうやら私たちは、パチンコからは
「さよならなんて出来ない人生」みたいです。