ぱちんこ閑話休題

はい皆様、今月も東北から謎のオッサンがぱちんこ愛を叫ぶお時間がやって参りました!押忍っ!

規定電圧

お店側の人には常識だが、一般の打ち手にはあまり知られていない事として、パチンコ・パチスロの規定電圧があるだろう。パチンコは全部24vなのに対し、スロットはメーカーにより24vと100vを使い分けるという、設置の時に一つ間違えば地獄の罠のような状態が長く続いている。ちなみに、100vの機械を24vに挿し間違えても電源が入らないだけで無傷だが、24vの機械を100vに挿し間違えて事故った場合は、ホール中に響く「ボン!」とか「バチッ!」という擬音と共に電源ボックス(パチンコは電源基板)からメイン基板まで、火花と白煙を吐いて再起不能になるのである。最近でこそ各台トランスが当たり前になり、シマの1台1台のスペースに遊技台用のコンセント挿し込み口があって間違いが起こりにくくはなっているが、ボクらが若かりし頃はシマの中に、サンドやナンバーランプ用の100vとパチンコ用の24vが混在していて、一応間違わないようにタップ部分にマジックで「24」とか「100」とだけ手書きしてあるのが普通だった。

なぜかパチンコの方が事故る

入れ替え作業自体は今とそんなに変わりはないが、新台を設置した後に電源コンセントの挿入だけは、役職者がまとめてするって決まりがあるようなホールも多かったくらい、どのホールも気をつけている課題なのだが、やはり起こる時は起こるのが世の常なのである。
24vオンリーのパチンコと24v・100v混在のスロット、一見スロットの方が事故り易いと思われがちだが、ボクの経験上はパチンコの方が多いんだ。っていうのも、最初から24vと100vを神経質なくらい確認して設置するスロットに対して、やっぱりその違いがないパチンコの方が気が抜けるんだろうね、鼻歌交じりで「外した台のコンセントがあったトコロ」に挿したつもりが、その隣に平然と並んでいるサンド用にサクッと逝ってしまうらしい。

「おもひで」本編

関西で初めて店長になり、全般的な仕事も板についてきたナカムラは当時27歳。当時のパチンコは情報出力(スタートとか大当たりとか)の種類が接点と電圧の2つあって、それによって配線が変わるのも面倒くさかったが、さらに台側の出力コネクターもメーカーによってバラバラで、今みたいに銅線?いて挿すだけじゃなかったのよ。入れ替えごとに中継するハーネスを手作りしたってのは、アラフィフのスタッフなら「うんうん!」と頷くトコロだろう。

そんな中で、確か「CRブルース・リー」だったと思う。バラエティに2台だけの設置なのだが、メーカーの高尾は少数派の電圧出力で、スタッフ達に

( ゚Д゚)「間違ったらデータ上がらんから気をつけてねー」

なんて声をかけて、ナカムラはメイン機種の配線を頑張っていたところ……

【ぼんっ】

というイヤーーな音と共に、閉店後のホールに充満する焦げ臭いニオイ。はいもうこれは確認するまでもない、いわゆる「100通」と言われるヤツだ。音がしたのはブルース・リーなので、リアルに「考えるな、感じろ」なんだが、こればっかりは笑えないのよ。現場に行くと、先月入ったばかりのスタッフが頭に「?」を浮かべて、何回も電源スイッチを入切している。

( ゚Д゚)「あー…もうそれ無理だよ、死んだわ」

そう伝えても、本人はなんのこっちや分かってないらしく、ひたすら配線を確かめて電源スイッチを入切してらっしゃる。こんだけ焦げ臭くて煙も出てるんだから、何が起こったかくらいは分かりそうなのに。

「マル○ンでは!」

ここで先に説明しておこう。このブルース・リーを焼き殺したスタッフ君は、先月入ったばかりではあるが…それまでは某大手全国チェーン店に勤務しており、入った時から一通りできてたんだ。口癖が「マ○ハンではこうしてました!」とか「マル○ンではそれはダメでした!」とか、いちいちいちいち「マルハ○では!」と仰りくさりまくるので、

( ゚Д゚)じゃーもう○ルハンに戻れよww

と言いたくなるのをグッと抑えて、店舗ごとに色んなやり方があるから、ウチのやり方を覚えてねーと諭していたのだが、馬の耳に念仏だったのだ。
入れ替え作業も経験豊富で、前回入れ替えはソツなくこなしてくれていたので油断した…。ちなみにマル○ン君の年齢は当時で50歳オーバーである。

さすがに新台を破壊した罪は重く、かなーりブチ切れな表情で台を確認しようとしても、マル○ン君はそこを動こうとしない。とりあえず損傷確認するからそこをどいてくれ!と多少口が荒くなりながらも伝えると…出ました! 「や、マル○ンではっ……」

( ゚Д゚)「うるさい!ここはマル○ンちゃう!」

ついに言っちゃった。
実は損傷具合も何も、一瞬100vに挿して「ぼんっ!」にビビってすぐ抜いたならまだしも、ずっと100Vに挿しっぱなしな時点で完全にゲームオーバー。軽微で助かる見込みなし。
マル○ン君がブッ挿したコンセントタップを指さして、

( ゚Д゚)「これ何て書いてある?」

と問い詰めるが、黙ったまま。
そこにはマジックの汚い字で【100】の文字がドーンと鎮座している。本人は何が起こったか、すぐ理解してた上で…とぼけるために電源スイッチを入切してたんだろう。

で、どーする?

なにはともあれ、今は説教してる場合じゃない。すぐに業者に連絡して対処法を聞くが、翌日朝からの警察検査に間に合うような方法は、当然ながらあるワケがない。不慮の事故や台の初期不良が原因なら、提出書類の番号を差し替えて別の新台ブルース・リーを設置する事も不可能ではないが、120%店側のミスで台を破壊してるので、メーカーも代替品を無償提供はあり得ないだろう。

( ゚Д゚)もうブルース・リーは1台でいいんじゃね?

元々、全く期待されてない子扱いなブルース・リーなので、2台が1台になったところで、誠に残念ながら大差ない。いま倉庫に仕舞ったばかりの「今回外されて無くなる予定だった台」を戻して、焦げたブルース・リーは一旦業者が引き取る事に。

他の作業は全部終わらせてスタッフを帰らせ、書類を差し替えてもらう前提で作り直し。幸い、所轄とは非常に友好な関係だったのでこれも恐らく通るだろう。なんだかんだでほぼ徹夜である。
事務所で、ちょっとだけでも仮眠を取ろうとソファに横になり、ウトウトしていると…コンコン!と外扉をノックする音がする。イラッとしながら覗き穴を覗いても誰も見えない。セキュリティ上、鉄の分厚い扉なのだが、そのまま勢いよく開けると、思いっきり何かにぶつかって扉が止まる。【ガコっ!】という鈍い音の先にあったのは、マル○ン君の頭!土下座の状態で待ってるなら、せめて扉の当たらん範囲におれやっ!

つづく

※このコラムは遊技日本・本誌からの転載です※

遊技日本さまのご厚意により実現したものです。ご協力ありがとうございます。