先週、大阪府で11月より二物二価が認められることになったという話を見かけました。パチンコ業界の事に詳しい方ならば、一物一価という言葉は何となく聞いたことがあるでしょうし、フワっとした形で「パチンコとパチスロの交換率を統一しなきゃいけないって事でしょ?」というくらいはご存じかと思います。

では、二物二価ってどういう事?今日はそんなお話。

まず覚えておくべき大切なポイントとして「二物二価」という言葉は造語であり業界用語です。日本語として辞書にある言葉ではありません。その上でまずは一物一価とそれに類する言葉の意味は以下の通りです。

■「一物一価」
同じ商品を同じ時期に同一の価格で販売すること。購入する者すべてが同じ価格で価格が同じこと。

■「一物二価」
同じ商品を同じ時期に異なる価格で販売すること。購入する相手によって価格を変えること。

■「一物多価」
同じ商品が同じ時期に様々な価格で売られているということ。また、同一の商品を様々な価格で売るという手法・方針のこと。

では、二物二価を含めたパチンコ業界での具体例がどういう話かと言うと以下の通り。

 

■「一物一価」
同一店舗内で提供する特殊景品のレートが、パチンコとパチスロの貸し玉に比して同じである状態。
例:パチンコが等価ならパチスロも等価など。玉でもメダルでも同じ特殊景品を獲得できる

■「一物二価」
パチンコとパチスロで同じ特殊景品を交換できるが、貸し玉比で異なるレートを採用している状態。
例:パチンコは30玉交換、パチスロは等価交換など

■「一物多価」
同一店舗内でパチンコ・パチスロ・機種を問わず、出玉は全て同じ特殊景品と交換が出来るが、コーナーや時間帯により交換率がバラバラの状態。
例:イベントコーナーは全台設定6で10枚交換。他は6枚交換、4円パチンコは33玉交換 1円パチンコは等価などなど

■「二物二価」
パチンコとパチスロ(4円と1円パチンコなど)で、それぞれ別の特殊景品が用意され、A(大中小)の特殊景品は玉専用、B(大中小)の特殊景品はメダル専用といった形。その上で個別に交換率が設定される為、パチ・スロで異なる交換率が採用でき、風営法上の等価交換(※)の原則にも違反しない形。ただし玉でBの特殊景品、メダルでAは取れない。
※ここで言う等価交換とは換金率ではなく、一般景品も含む各種景品の交換個数(貸し玉準拠)が市場価格(定価)と一致していなければならないと定められている法的な義務

 

以前よりパチンコ・パチスロに親しんでいる方ならば、多くの方がパチンコ・パチスロでレートが違った時代・お店をご存じでしょう。それが再び可能になる、という事です。これは4円パチンコ、1円パチンコのレート差が異なるという形にもなり得ますので、交換レートの自由度が高まると言う点で期待するホール関係者の方は多いのではないでしょうか。

ただ、これは今のところ大阪府のみの話。では、その他の地域でどうなるかという点はまだまだ先行き不透明なのが現状です。そもそも、二物二価は、特殊景品を複数種類用意する必要がありますが、特殊景品の流通経路の関係上、現在ある大・中・小景品各一種類づつしか用意できないというエリアもあり、これを変更するには大きな改革が必要となります。

また、本来は警察庁が2011年に一物一価の徹底を求めた事からパチンコ・パチスロともに同一レートかつ等価化が進んだ形であったところ、なぜこのタイミングで大阪府警が独自の判断を下したのか。これについては業界側の陳情が実を結んだ結果という見方が今のところ散見されますが、実際のところはまだ分かっていません。

二物二価は違法?適法?

では、そもそもなぜ2011年に警察庁は一物一価の徹底を求めたか。それまで一物二価どころか一物四価なんてホールもあった中で、そのような実態が射幸心をあおるという警察庁独自の解釈により一物一価の徹底がこれまで行われてきました。

その際、警察庁は明確な根拠は示していませんが、一部の業界人は風営法施行規則の第35条の2で「賞品の提供方法に関する基準」として「遊技球等の数量に対応する金額と等価の物品」を提供せよ、とされていることが根拠で、一物一価以外が違法と誤認しているかのような表現も散見されています。

しかし

POKKA吉田さんがこのような解釈をしているように、また今回取り締まる側の大阪府警が二物二価を認めたように、違法か適法かで言えば適法と見るのが至極妥当な判断と言えるでしょう。

そんな二物二価の実施は、果たして大阪のパチンコ業界を盛り上げる事になるのか。こと現場の話・感覚で言えば、コロナ禍であえぐパチンコホールが交換率に差異を設けたところで、還元率を上げる事に直結するとは考えづらいのが現状です。また、交換率を下げていわゆる「回す」「高設定を入れる」営業をしたところで、今の等価交換・高価交換に慣れたプレイヤーが受け入れるかと問われればボクは懐疑的な見方をしています。

ただ、それと同時にこの話は、各都道府県警本部と警察庁という似て非なる組織の綱引きという側面も持ち合わせていて、外から見ている限り「警察庁のメンツ潰してない?コレ」という話にも見える今日この頃。一体業界内部、警察行政の内部で何が起きているのか、そしてどのような影響を業界にもたらしていくのか、今後も注視していきたいところです。


■万回転 プロフィール

  • 1978年生まれ ♂ 
  • 好物はアナログ機とリーチ目メインのスロ
  • パチプロ時代に当時タブーとされていたCR銭形平次の捻り打ち動画をアップしてしまいネットでプチ炎上。
  • それを機に安田プロと個人的な親交が生まれ、悠遊道へ寄稿する事に
  • 色々あって完全にパチプロを引退。時々業界人ぶるのが悪い癖

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