昨年末、玩具売り場の年末商戦は戦争、のお話をしました。今回はその続きです。しばらく、月始めの休息無しシリーズ化にしようと思っています。

てんやわんやのお正月商戦もようやく終わった198〇年1月8日の土曜日。この日の日別予算を100万近くにしていました。既に臨時の学生アルバイトも辞め、社員私1人、と2人のパートのおばちゃんの玩具売り場3人態勢に戻っていた日。

年末年始全く知らん顔だった次長が珍しく、というか初めて私の組んだ予算に異を唱えてきました。「もう正月終わったんや、そんな売れるわけないやろ」。まだ入社3年目くらいの私。内心は「いえ、玩具売り場を甘くみてもらったら困ります。まだ小学生は冬休み、これくらい売れる見込みです」。でしたが反論はせず。

で、案の定その日も軽く予算達成し、もう2度と私の組む予算にケチつけてくることはありませんでした。でも、やはりこの売上を3人で回すのは大変。相変わらずヒーヒー言いながらの日々。

そして元日以降初めての店休日である1月13日。この日、玩具売り場担当者だけは強制出勤なのです。

そう、ひな人形飾りつけの日。予めコーナーを空け、平台設置し赤い毛氈をかけ、天井には雪洞(ぼんぼり)への配線と「三月人形コーナー」のPOPを展示。そしてカゴ車に乗せたひな人形(七段飾りは1組4個口)の入荷&在庫確認をしておきます。

そして大抵、大雪になる当日。シンシン冷える店内で七段飾りを13体展示が目標。最初に配線とPOP展示を済ませておかないと、飾ってからではもう天井に手が届きません。そして段の組み立て、と毛氈掛け。そして最後片付ける際に元の小箱の位置関係を間違えると大箱に入らなくなるから、位置関係と中身を覚えながら、完成図を見ながらの人形、道具類の取り出し陳列となります。

段の組み立てはレイアウトの端っこから。左右からして真ん中残し、なんて真ん中陳列無理なので。七段も予め大きさを合わせて横並び。左右大きさ違えば見栄え悪いしね。

まあ、親王飾り(平飾り)やガラスケース入りだけなら簡単ですが、七段飾り13体陳列なんて応援1人貰い計4人、1日でできるハズもないですが、それでもなんとか形にはします。

というか応援者1人とは本部のベテランの玩具仕入れ担当者、陳列の手際よさはプロ級の方。めっちゃ助けられました。そういう意味で、既に大型スーパーのひな人形のコーナーに七段飾りなど無くなった現在の様子に、楽そうでいいな~、と思うのは七段飾り陳列の苦労を知ってる者だけでしょう。

さて、当時は七段飾りがよく売れました。配達は基本私。大安の日に複数軒が多く、大雪積る中、あぜ道か田んぼか分からん雪原を山奥(七段飾りが陳列できる大きな一戸建てって田舎に多い)まで脱輪しそうになりながら車を走らせました。この先Uターンできるかどうか?な細い道。どうしてもパートさん帰る時間までに戻らなくてはならないので焦ります。

「部屋に飾ってもらえないのか?」の声に対しては「皆さんで楽しく飾られる方がいいですよ。そうすれば片付ける時にもどこに何が入ってたか分かりますし」などと返答し極力そこまでのサービスは避けるようにしました。というかそんな時間無いしね。

売り場内、子供が遊んでてひな人形のガラスケースを割る、なんてことも時々ありました。あのガラスって上からの圧力に弱く、陳列の際の積み重ねは危険でした。

で、割った子供の親が、そんな子知らん、というそぶりをしたり、ね。

また、七段飾りは15体の人形がありましたが、上から2段目の左右にある官女の背が高く不安定で、子供がぶつかるなど台が揺れたら倒れて落ちてしまう危険性もありました。

お客からの電話で「箱の中開けたら首が取れてた」なんてのもありましたが、アレって元々差し込みタイプで抜けるもの、でしたが納得をして頂けず、遠く片道80キロ先まで1体だけ持って行ったことも。

そうそう、新入社員の時、「のし紙が付いてなかった」とブチ切れ電話受けたことも。そのお客を対応したのはその電話受けた日休みの主任でしたが、泣く泣くのし紙だけ持って片道60キロ先まで車を走らせたこともありました。

ブチ切れ電話と言えば、この2月の時期のお客からの電話はパートさんはよう取らんと逃げていました。それはクレーム比率高かったから。

特にガラスケース物について遠方配送は某運送会社へ依頼してたのですが、県外配送についてよく割ってしまってました。その際、送り先の方は送り主へ「せっかく届いたけど割れてた」と伝えるわけで、本来、ありがとうと喜んでもらえるハズなのにこんな電話受けたことで、ブチ切れ、運送会社へではなくこちらの売り場へ電話をする訳です。

その殆ど全てを私が半泣きになりながら受けることになる訳です。その後運送会社の所長が謝罪に来てましたが、毎年違う人でしたね。

そして、ガラスケース物について私が配送できる範囲のみ受ける事にしたのも当然と言えば当然でした。まあ、仕事帰りに地図帳持って自家用車にひな人形積んで自宅とは逆方向に配送、もよくありました。

え?ガソリン代は?もちのろんでサービスです。

最後は陳列品のみ、のたたき売り。得てして真ん中のが売れ、その片付けは四苦八苦。穴が空くのでパートさんと2人で下の段を持ってそおっと1体をずらすのは人形落ちないよう神経を使いました。官女が落ちてきてナイスキャッチ、なんてこともね。

3月3日。セールストーク「宮内庁御用達」、京風でなく割と現代風なお顔の吉徳大光作ひな人形は全て片付け。その後来るのが五月人形。武者人形や兜飾り、鯉のぼりです。これもまた5月5日まで続きます。そういや、年末年始ほぼ休み無しで頑張ってきたゆえ、どこかで連休は?

そんなもの、どこにもありません。