二週間で600万の粗利予定で動き始めた当初の計画、蓋を開けて見れば予定を大きく上回る1000万の利益確保…。
四号機に悪魔の設定を仕込んだからこそ達成出来た数字、設定師として最初に課せられたハードルは無事クリアーする事が出来た。
次なる目標は店を再出発させ繁盛店を目指すだけ、6号機時代の今とは違い、ちょっとした知識と知恵、そして努力で集客出来た4号機時代はまさに最高のチャンスだった。
店を閉め翌日から始まる再出発の準備を前に、赤井店長と打ち合わせを兼ね酒を酌み交わした。
店名を変え、従業員も変え、新しくスタートする…
資金に余裕が有るなら新台導入し店内もイメージチェンジをしたいが、そんな事をすれば数千万単位で経費が掛かってしまう、とてもハード面を触る余裕など無かった。
ハードの不足は中身で補える!!そう信じて新たな計画をスタートさせた。
新しい店名は《LEVEL》
設置台数は110台
三ヶ月後の利益目標は利益率12%で1500万。
月間の売上目標は1億2500万円に設定した。
お店を繁盛させる上で絶対に欠かせないのが主力機種の存在…それを何に設定するのか?非常に悩んだ。
地域密着型の《LEVEL》土日の集客は良くて当然、肝心なのは平日の朝~夕方までに客を確保する事、それなしで繁盛店は作れ無い。
人気の有る台を主力機種に設定すれば集客は簡単だが、近隣のライバル店と競いあった場合、資金力で太刀打ち出来ない。
後手に回って勝ち目は無い…考えた結果、主力機種に設定したのはジャグラーだった。
売上げが上がり客付きの良いストック機に比べ、コイン単価も安く地味で目立たない機種ではあったが、上手く使えばライバル店から年配層を引っ張る事が可能だと考えた。
ミリオンゴッドやアラジンエースなどの撤去後、売上が落ち込んだ店は、その売上を別の台で補う事に必死になっている時代、単価の安いジャグラーはライバル店も扱いが悪かった。
複雑なゲーム性にシフトして行った当時、単純なゲーム性を求める年配層はライバル店でも片隅に追いやられる傾向が強く、その場所を提供すれば必ずLEVELに集客出来ると考えた。
特に年配層のお客さんは若いお客と違い理論的では無く、感覚的に店の善し悪しを判断する事が多い、さらに同年代や知り合いの多い店に通い詰める傾向が強い上に、一度信用を得れば浮気をしない律儀なお客さんが多い事は店長時代に学んでいた。
これで行くしかない!!
ジャグラーを増台し他の純Aタイプを全て撤去…中古のジャグラーを手配した。
レベルの店内は1島22台の合計5島、入口から最も目立つ1島22台を全てジャグラーコーナーにし、さらに薄暗い店内は年配のお客さんが嫌うので、ジャグラーの島だけ明るくなるように照明工事を施した。
台を入れ替えたのはジャグラーのみ、残りは全て以前のまま、出来るだけ前の店のイメージを払拭する為、全ての台の配置替えを行いグランドオープンの準備に取り掛かった。
自分の書いた計画が着々と進んで行く…その光景を見つめ期待と不安で膨らむ胸は、まさに頂点を向かえようとしていた。
そしていよいよグランドオープンを前日に控えた夜を迎える。
店名を変え、簡易的に内装工事と店内設備を変更しグランドオープンの準備を整えた。
警察検査が済み全ての準備が整ったのはグランドオープン前日の夜…。
オープンスケジュールは
一日目(水曜日)【15:00オープン】
二日目(木曜日)【12:00オープン】
三日目(金曜日)【12:00オープン】
四日目(土曜日)【平常営業】
無駄な経費を省いて出玉で還元したい!!そんな思いから新聞折込やDMなどを避け、駅前や店の前でチラシをまいた。
さらにネットを使いグランドオープンを告知し同時にメール会員も募集した。
赤井店長【いよいよですね♪】
赤井店長【明日はもちろん出すんですよね?】
ゆきち【いえ…出しませんよ(笑)】
ゆきち【まぁジャグラーは出しますけどね…。】
ゆきち【それ以外の台は明日の開店前に設定を決めます】
赤井店長【な、なんでですか?】
ゆきち【美味しい所だけ持って行かれない様にね♪】
ゆきち【もう玄関にそれらしいお客さんが何人か並んでますから(笑)】
ゆきち【多分徹夜するんじゃ無いですかね?】
赤井店長【て、徹夜ですか…】
ゆきち【いやぁ(笑)さっき会員にメールを送ったんですけど…】
赤井店長【な、なんて送ったんですか?】
ゆきち【見ます?(笑)】
『設定師よりメール会員様へ』
こんばんわ!いよいよ明日3時LEVELグランドオープン!!
あんまり長く書いてもアレなので手短に…
『6』たくさ~ん用意しました。以上!!
これからもLevelを宜しく。
ゆきち【短くて判り易いでしょ?】
赤井店長【た、確かに短いですけど…】
赤井店長【半分くらいに6を入れるんですか?】
ゆきち【入れませんよ!ジャグラーのみオール6です!後は明日お客さんの顔を見て開店前に決めます】
赤井店長【えっ!それ…バ、バランス悪く無いですか?】
ゆきち【極端な方がインパクト有るでしょ…】
ゆきち【徹夜で並んでる人はジャグラーなんて座らないだろうし(笑)】
ゆきち【後から入って来る人の方が地元のお客さんが多いと思うので…】
ゆきち【先ずは地元のお客さんに6に座って貰わないとね♪】
メールを送信した数時間後から店の周りをウロウロし始める若者達数名…開店の10時間以上前からシャッターの前に座り込み、辺り構わず大声で話している。
店の前で食べ物を食い散らかす者…。
ダンボールを敷き地面に寝転がっている者…。
目も当てられぬ光景だが、今日一日だけ我慢する事にした。
こういったマナーの悪いお客が店に蔓延すると、今後の集客にも非常に影響してくる。
すぐにでも整理券発行や入場順の抽選をやると伝え対策すれば、瞬時に片付けられる光景なのだが、ここは一つ設定師として仕掛けてやるのも面白い…
そう考えそのまま徹夜で並ばせる事にした。
そしていよいよグランドオープンの当日を迎えた。
次回更新へ続く
この時代のお話だったんですね〜(*≧∀≦*)
さとみんさん。
もうかなり昔の話なんです。
コメントありがとうございました☆