発端はこちら。

ボクのようなうっとおしいオッサンにこうして丁寧にリプを下さる時点で、感情的に物事を断ずるのではなく、きちんと会話が出来る方だと理解します。まずはご返信頂きありがとうございます。

さて、主題の何故UNOは②③➃厚めではなく専業・軍団に喰われる全⑥を使うのか。

結論から言えばX内で取り上げた大崎さんの動画にあるように「営利企業が最善として出した解」に尽きるわけですが、ここからはもう少し自分の現場経験も踏まえた上で「全⑥と薄く広くと軍団(専業)」について語っていきます。

最初に整理しておきたい「一般客」とは

皆様が想像される一般客というのは、程よく負けてくれる層。もしくは、ギャンブルに身を焼かれて破滅的なところまでいってしまう人々だと思います。ただ、そうした方々にもかなり幅広いグラデーションがあるのも皆さんお分かりの事でしょう。

そうした所謂エンジョイ勢の方々の為にも、専業優位ではない優しい営業であれ、という理屈自体はボクもそうであって欲しいと願う人間なので否定はしません。

しかし、現在のパチスロの現場にそんなユートピアがあるでしょうか。

リセット恩恵、優遇・冷遇、ゾーン、引き戻し、天井等々、知識が無ければひたすら損をするマニアックな世界になって久しいパチスロを今も遊技している方々は、慶應ボーイさんが想像される一般客より知識レベルは高いと思われます。これは過去、神奈川中のホールを巡り、現在特定のホールで様々な人を観察している経験から確信する部分です。

しかし、例え知識はあっても、個々人の特性や都合によってそれを徹底出来ない・しない・しなくても良い人が多いからこそ専業・軍団が勝てる余地が今もあるわけですが、いずれにせよ大前提として最低限の知識を持っている人たちが遊ぶのが今のパチスロだとボクは考えています。

少なくとも、天井すら知らない・色目押しの押し順ナビすら押せない、そんな方々が遊べる余地は既になく、かつて存在したそうした人々はそのほとんどが既に駆逐されました。その良し悪しは一旦置いておいて。

徹底しない人をターゲットにしているのが今のホール

全⑥の仕掛けに限らず、ぱちんこは様々な形で「お客を煽ってナンボ」の商売です。これはいつの時代も変わらない普遍的なものです。

そして、現代に目を移せば、知識はあるけれども徹底出来ない層をターゲットに狩るのが今のパチスロ営業のメインストリームで、業界内でそうしたセミナーが行われているという話を見聞きした覚えもありますし、実際の現場を見ていてもそうだと感じます。

その中で、上手に②③④を使って遊ばせる、もしくは勝ちたい層を騙す。そうしているホールさんもあるでしょう。特に、既に地域でのポジションを築いている大手ほどその傾向は強いです。

ボクが知る限り、マルハンがその最たる例。グラオだろうが特日だろうが、勝たせる時も取る時も常に薄く広く。そんな営業現場も見てきました。でも、それはホール間競争においてその手法でも集客できるポジションを築いたからこそ出来る事。もう必要以上に煽らないでも良いフェーズに入って初めて出来る事です。

マルハンも過去、かつてはタブーとされていた等価交換に舵を切ったり、新宿のような激戦区では(他地域の利益を犠牲にして)過激な出玉競争をしたり、そうして勝ち抜いてきた歴史があり、単純なその日の設定配分だけで良し悪しを語れるものではありません。

UNOの立ち位置

UNO・ZORONなどを手掛ける東和産業(株)は、関東の一都三県で営業する中堅チェーンです。

ボクが知る神奈川県内では、仕掛けが非常に巧妙で専業層に簡単に持って行かれないような工夫をしているホールさんで、ハイエナにも非常に厳しい事で知られています。そして、何かで見かけましたがパチスロの出率で言えば全国トップクラスだそうな。

そして、等価圏である神奈川でも交換ギャップを採用しています。そこで利益を生む事とビッグデータで見える出率の優秀さとを上手に営業に活かしているホールと思われます。

では、そんなホールが専業層に喰われがちな全⑥を何故行うのか。ホール間競争に打ち勝つ為、以外にありません。

全⑥当日の熱気を作り出す事は勿論、マイジャグのようにある程度素直にやったことがデータに現れる機種を合同で全⑥にし、話題作りをする。それを当日・後日に見た地元の人たちが感じる事がある、一度そうした仕掛けを打てば、次も、と遊牧民的なにわか層も煽れるからやるのです。

全⑥が専業・軍団に埋め尽くされないよう配慮はしつつ、それでも食われるのは、徹底できない一般層側の問題です。良し悪しはさて置き、お客サイドにも競争があるわけですから、勝つ為にやる事やってる人が埋め尽くすのは当然で、ホールもその日に限ってはむしろ専業・軍団を利用しています。それがホールの意図から逸脱していれば、軍団も専業も追い出されるのが常。でもそうしないという事は、一時軍団に持って行かれようが、企業視点では些末な事だから軍団・専業に喰われても全⑥をやるんです。

そこに、業界発展の為に、なんて視点はありません。あるわけがない。何故なら営利企業は自社の発展こそが最優先だし、それはどんな業種であっても変わりません。更に、斜陽と言われて久しいぱちんこ業界では、今どの企業も生き残りに必死ですから、未来の為を考えられるのは本当に限られたごく一部の人ないし、責任の無いポジションだから言えるだけでしょう。

慶應ボーイさんも仰ってましたが、「資本主義だからしょうがない」と「このままだと衰退の一途をたどる」はその通り。それでも自社が生き残れなければ意味がないのですから、②③➃を厚めにして目に見えない還元率を上げるよりも、時には派手な仕掛けを打って存在をアピールする必要がある、とUNOが判断した。それ以上でもそれ以下でも無いとボクは考えます。

そして、そうした分かりやすい仕掛けが一番、徹底できないけど勝ちたい、というパチスロのメイン顧客層に刺さるわけで、そこから如何にお金を頂くかに腐心するのが現在のパチスロシーンだとボクは認識しています。

また、②③➃が増えたら一般客が増える、という理屈も違うように感じます。現在の一般層が多少延命することはあっても、結局は大多数が負ける遊びかつ、②③➃が増えたところでそれを実感できる一般客がどれほどいるでしょうか。「(努力しなくても自分が座れる)⑥入れろよ」とホールのことや業界のことなど考えずに言う人の方が多いからこそ、この業は成り立つのです。

ですから、時には全⑥のような分かりやすい仕掛けでにわか層を煽り、軍団・専業の合間をぬってたまたま勝てたにわか層が新規客を呼び込む、という形の方が一般客を増やすという視点でも余程筋が通っているような気がします。そんなに単純な話でもありませんけどね。社会情勢等も絡むので。

尚、そうした過激な煽り方は業界の功罪で言えば罪に近いのですが、それは賭博業である以上宿命であり、人間が本能的に持つ欲求からくる遊びですから、そこに論を俟ちません。

また、そうした業であるからこそ、そもそも今以上に一般客を増やす必要などあるのか、という視点も必要です。

自分の立ち位置をハッキリしよう

個人の思いとして、アレコレ言うのは全く問題ありません。表現の自由の範疇ですから、何も慶應ボーイさんの考え方が間違いだとか、否定をしたくて言っているわけではない事はご理解下さい。

これはボクも通った道ですが、ユーザーの立場から業界にいくら愛を叫んでも、残念ながらそうした力学で物事は動きません。

では、演者になって影響力を持てば変わるのか?と言えば、ごく一部は変わることもあるでしょう。ただ、かつてのアウトローな雑誌媒体が主要メディアだった時代と違い、演者であれ代理店であれウェブメディアであれ、それら業界のサイドビジネスはいくら目立つ立場になっても既に業界との主従がハッキリしている関係性ですから、従の立場からどれだけ正論を述べたところで変えられない事の方が圧倒的に多いでしょう。

業界を変えられるのはホールやメーカー、それらを代表する諸団体に属する極一部のエライ人、そして警察官僚や政治家などルールを作る側の人々です。

大崎さんの言う通り、そういう方々に浅慮で物申しても一笑に付されて終わるからこそ、本当に「こうした方が良い!」と思うならばホール・メーカーに飛び込んでのし上がるか、政治家や警察官僚を目指すか、はたまた何かで成した財や地位でもって業界の外から殴るのか、様々な方法がありますが、少なくともそれが打ち手側ではない事だけは明らかです。

それと同時に、どこまでしたいのか?という自分への問いが必要です。

「今の体たらくを見ていると~」とありますが、モチベーションダウンの源泉は他人ではなく自分の内にあるものです。何が自分の気持ちの妨げになっているのか、それは決して一つ二つの単純なものではないと拝察します。そして、そうした自身の内側から漏れ出す声は、今後慶應ボーイさんがどのような道に進まれても大切な「自分がどう生きるか」の芯の部分であり、それを他責にしても何も解決しませんから自問自答は大切です。

ボクは少なくとも若い頃から一度たりとも業界内に入りたいと思った事は無いし、興味本位・勉強目的で業界系サロンに入った事はありますが、ずっと変わらず打ち手でいたいから今こうなっています。たまにボクのことを業界人と仰る方もいますが、しがないパチプロがたまたま安田さんと知り合い、声をかけられて今ここにいるだけで、ボクが業界人を自称したら鼻で笑われる、そんな立場の人間です。そして、ボクはそれが一番自分の在りたい姿だと思うからここにいます。

慶應ボーイさんはどうでしょうね?

ここまでダラダラ書いた事と、ほぼ同じことを言っておられるこんな動画もアップされましたね。

まだまだ様々な選択肢を選べる若い方だからこそ、知見を広め、様々な自問自答を今の内にしておくと視野が広がり、ご自身にとって最適な道を選べるのかな、との余計なお世話でリポストした次第でございます。大変失礼いたしました。


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