これまでの思ひ出話はこちら。
著作権法違反容疑で逮捕、その後略式起訴を経て釈放された下田氏であったが、パチンコ業界はそれまでの現金機からCR機へと急速に変化しつつあった。氏の逮捕の約1年半ほど前に起きた事件が、そのような流れを作り出す契機になったと言えるのだが……。
下田氏が逮捕、釈放された頃の業界事情はホールの中心が現金機からCR機に変わりつつある状況だったと聞きましたが、氏の発言や存在が警察行政が考える今後のパチンコ業界にあたっては邪魔になるゆえ、裏モノ作成者として摘発し、沈黙を強いるようにしたと、そレは考えすぎですかね。
「まあ、そこまでは警察としても考えていなかったでしょうね。ただ、下田氏の逮捕報道をきっかけに、パチンコと関係ない一般のメディアが自分を訪ねてくるケースが増えたとか、そんな話を聞いたことがあります。新聞社や他の一般メディアはやはりパチンコ、パチスロ業界に関してはあまり詳しくないんですね。当然、機械の仕様なんて幾ら説明しても良く分からないと思います」
まあ、私たちも一般の人にパチンコやパチスロの仕組みを説明しても、なかなか理解されませんしね (笑)。
「パチンコは釘というものがありますし、その調整次第でいい台にも悪い台にもなったりするわけで、まあそこがパチンコの楽しさ、面白さでもありますよね。その釘調整に関わる出来事として、下田氏の件より遡ること約1年半、平和の現金機ダービー物語で逮捕者が出る事件がありました。この件がCR機普及に関してターニングポイントになったと思います」

ダービー物語事件って言われているものですよね。現金機の連チャン機であるダービー物語に関して、メーカーの営業所長らが逮捕されたと。
「そうです。webで調べれば幾らでも出てくるので詳細は割愛しますが、結果的にこの事件を契機に現金機の連チャン機はほとんど出て来なくなりましたし、行政側のカードシステム普及=ホールの機械を全てCR機に置き換えるとしいう目論見がハッキリしたとは言えます。ただ、この事件は結局メーカーの営業所長とダービー物語を設置していたパチンコ店の副店長と法人が略式起訴されただけで、メーカーの責任については特に何も問われなかったんですね。おまけに他の営業マンや法人は起訴猶予で終わっています」
メーカーとしては痛手を被ったカタチにはなったのでは?
「そうなんですが、法的には特に何も追求されなかったわけです。このことに関して下田氏は、『一営業マンを逮捕して何の意味があるのか。プログラムを開発した人間や役員クラスの人間は何のお咎めもなく、現場の人間だけがお縄になり、あげく大騒動したわりに略式起訴と起訴猶予で終わっており、見せしめ以外の何物でもない。こういうことをやって、やれカードやら、やれCR機やらに話を持っていこうとするだけ』と糾弾していました」
手厳しいですね。
「当時、G誌では業界誌シークエンス初代編集長の故M氏もコラムを持っていたのですが、その中で 〜でもよく考えてみると、遊技機がプリペイドカードの普及に合わせて徐々に強化されていく方向にあることがわかります。例えば今回の平和ダービー物語の摘発で、裏プログラムとあれだけマスコミちゃんが騒いだのに、メーカー責任は回避された格好。結果としてホールに対し、『釘曲げ』はするなという厳しい警察の指導。極度の釘曲げは『無承認変更による不正ロム使用と同罪』で営業取り消し処分にするゾと、ホールの営業ノウハウだった釘の部分が改めて (一発機以来) 公然たる『規制対象』として明確化されてしまったのです〜 とあります。釘はいじるな、触るなという当局の姿勢はこの頃からより強まっていきました。M氏のコラム後半では、動きがとれないホールは結局、釘調整率が少ない設定確率で済むCR機を使った方が安全なわけですとまとめています。連チャン機は作るな、釘は動かすなと言ったところで、CR機の合法的な連チャンはよし、釘曲げ (釘調整) もCR機なら黙認と、そんな状況がしばらく続くことになります」
矛盾だらけですね。
「また、完全確率を逸脱したプログラムが違法というのなら、CR機普及の立役者となったCR花満開は真っ先に摘発されなければいけなかった機種でしょう (後に社会的不適合機として撤去)。確率変動突入率と継続率があからさまに異なっており、おまけに保1連チャンまで期待できる設計になっている。これが合法機として堂々と売られ、ダービー物語が摘発される。そういったことを新聞はじめ、メディアは追及しなかったんですね。特に大手新聞の罪は大きいと個人的には思います。下田氏逮捕の時もそうですが、その背景を追及しない。大手パチスロメーカーの機械が勝手に改造されたにもかかわらず、肝心のメーカーは当面は知らぬ顔を決め込み、風営法違反で挙げるのが難しいと判断した捜査当局が著作権を侵害されたと被害届を出してくれと圧力をかけ、それで仕方なく被害届を出す。それを元に逮捕に踏み切る。でも、それだけのことをやっても、最後は略式起訴で罰金を払って終わりという顛末でした。約5億円儲けたとか記事にしたくらいですから、相当悪質で、メーカーだってこのまま黙ってはいないだろうというのが普通の感覚です。記者であればことの真相を伝えるため、追跡記事を書くのが普通でしょう」
パチンコやパチスロのことなど、大手のマスメディアはどうでもいいんでしょうかね。
「今だって、その体質は特に変わっていないと思いますよ。現行のパチンコ機は相当ギャンブル性が上がっています。調べればわかると思いますが、依存症問題にしても、その大半はパチンコ、パチスロ絡みでしょう。どうしてそこまでのめり込んでしまうのか、そのような機械を認めるのはどこの誰なのか、こういうことをきちんと調べ、記事にするのが新聞社の仕事でしょう。古くからある正統的なメディアとしての矜持があるのなら、しっかり仕事をしてもらいたいものです」


