それこそ2千年以上も前からプラトンもおればアリストテレスもおるわけで、人間の知性が年代によって乱高下するみたいなのはあんま無いような気もするんだけども、周囲を取り巻くご時世の影響によって、平均値は若干変わるかもしれんなとは思う。とはいえ戦時中の兵隊さんが書いた遺書みたいなのを今読むと、俺なんかが逆立ちしても書けねぇような名文(しかも達筆)だらけで、ホァー昔の人は賢かったんやなぁとか、そういうアホ丸出しの感想がポンと口をついて出るあたり、やっぱ年代による知性の変遷みたいなのってあんまりねぇと思う。賢いひとは昔から賢いし、アホは昔から一定数おった。

 

んでまあスシローとか牛角とかの事件の話になるけども、あれをして「Z世代はアホ」と決めつけるのは早計も早計だと思う。なんせ俺らの時代にはSNSなんかなかったわけで、もしあったとしたら今の迷惑動画などとは比べ物にならんくらいひどい事になってた気もする。条件を揃えないとこういうのは比較できぬし、そもそも時代が違うんでそれを揃えることは不可能じゃ。なので俺は彼らを叩かない。アホやなとは思うけど、「まあ手軽にスマホでアップできるんならやるよね」という思いの方がデカい。

 

あと先日吉野家で紅生姜食ったバカがしょっぴかれておったが年齢は35と34らしく。これをみてもZ世代が極端にアホというわけではなく、そういうバカタレはどの年代にも均等に分布しておって、表にでるか出ないかはSNSへの依存度に由来してると考えられる。次のニュースなんかもそうだ。

 

 相模原市内のパチンコ店内で器物損壊を繰り返したとして、相模原市は22日、環境経済局の男性職員(34)を減給3カ月(10分の1)の懲戒処分にした。
 職員は昨年7月4日と同9日、同市中央区のパチンコ店で、トイレにある温水洗浄便座の操作パネルを蹴って壊したとして、今年2月、相模原簡裁に罰金20万円の略式命令を受けた。
 職員は同じ店で同様の行為を計5回繰り返したとして、同店に対して損害賠償金(計約28万円)を支払った。市の聞き取り調査に対して「パチンコに負けてストレスがたまっていた」などと話しているという。

<2023/3/22「神奈川新聞」より>https://news.yahoo.co.jp/articles/bc38eaeb60f7dd7ad78902d01f3b12cc62efafbd

34にもなってパチで負けて便所を壊す。これなんかスシローで醤油差しを舐めるより遥かにバカ度が高いし、ちょっと勉強したチンパンジーのほうがまだ賢いかもしれんまである。ミソなのは「計5回繰り返した」のクダりで、要するにこのバカは便所を破壊することが目的化した常習型のバカであり、パチンコに負けてストレスが溜まってた、とかいうとってつけたような理由をいっとるにせよ、ちゃんと調べたら勝ったときも破壊してるまであると思うし、例えばコイツがもうちょい若くてSNSへの依存度が高い生活を送ってた場合、便所を破壊してる時の様子をSNSにアップしてた可能性すら考えられる。そうなるともうバカの数え役満、チャンプ・オブ・バカだ。繰り返すが人がバカなことを行うのには世代間格差などはなく、どの時代を切り取ってみてもバカな人はバカな事をして「あのひとは本当にバカだなぁ」と罵られておるのです。

 

んで俺が知ってるやべえバカの話をするけども、そやつめはまだ普通に生存しており下手したらここを読んでる可能性すらある実在の男であり、俺より5つ下だったんで多分今年で38とかのハズ。某有名パチンコチェーンの社員をやってたけど、今まだ働いてるかどうかは知らない。彼はT君といって、とにもかくにも非常に頭が悪かった。勉強ができるとか出来ないというベクトルの話じゃなく、「なんでお前はそんなにバカなんだ」と一緒にいてゲンナリする感じというか。一時期、趣味でやってたバンド繋がりで仲良くなり、まあ仲良くなった当初はそのバカさもちょっとおもしろかったんでよくツルんでたんだけども、先ず彼は、誘いがあったあまねく全てのマルチとか詐欺とかに引っかかっていた。「あしのさん、これめっちゃよくないですか。一生映画タダで見れますよ」とか「将来1億になるかもしれない絵が100万で買えんすよ」とかいうのを、なんど止めたか分からないし、止めきれなかった分は実際に購入したり入会したりしてカモられておった。まあこれだけなら「人のいいバカ」で済む話なんだけども他にもちょっとここには書けないようなエピソードもいっぱいあり、総じてかれは善良なタイプの人間ではなく、どっちかというと「邪悪なバカ」だった。ただのバカならまだ愛嬌があるが、邪悪なバカはマジで害悪でしかないゆえいつしか連絡も取らなくなったけども、一緒にいる間に一度、こんな事があった。

 

T君の家は市街地からちょっと離れた、寂しい感じのする新興住宅街にあった。父ちゃんが早くに亡くなったとかで母子家庭だったけども、筆者は一度、その家に行ったことがある。何の理由で行ったのか全く覚えてないが、とにかく彼の部屋で筆者は恐るべきものを見つけたのだ。それは、赤い玉であった。ジッポライターや香水が並べられたタンスの一角に、光沢のある親指サイズより少しデカイくらいの玉が、ずらりと並べてある。ピンボールかな? とか思ってよく見ると、それはパチスロのレバーのさきっぽの玉であった。

 

「これ、何だ一体」
「あ、玉ッス。レバーのさきっぽの」
「いや、それは分かるけど、なんでこんな一杯あんだ?」
「最近ハマってんすよ。レバーのさきっぽの玉集めんの」
「……え、なんで?」
「だって、ウケません?」
「いやぁ……別に面白くはないけど……」

 

どうやらそのタンスの一角は彼にとって思い出の品や記念品などを陳列するメモリアルコーナーになってるらしく、20個くらい並んだ玉の他にも、黄色いヘンな鍵みたいなやつも大量にあった。

 

「なにこれ。黄色いの……」
「あ、ピンっす。消火器の」
「えー……なんで?」
「だってウケません?」
「1ミリも面白くないし、だいいち犯罪なんじゃない?」
「え、犯罪なんですか?」
「知らないけど、だって防災設備でしょ……? これもパチ屋で?」
「いや、これは色々っすね。街なかで見かけたらチョッパッてます! へへ」
「マジかよキミ……」

 

筆者、世の中にここまで無益な事を趣味にしてる人を初めて目の当たりにして衝撃を受けた次第。他にもその陳列ブースには良くわからない形状のよくわからない部品が大量にあり、それらはきっと、なんか想像もつかない備品の大切なパーツだったんだろう。そう考えると彼は存在自体がクソ迷惑な、歩く邪魔くさ人間であった。まあそんな出来事もあり彼との蜜月は3ヶ月程度で終了。前述のごとく後にパチンコホールで働き始めたのでその店では何度か見かけた事があったが、不思議な事に見る度に凄い勢いでハゲていっていた。色々悪い事してたし借金も凄かったみたいなので、カルマとストレスの両者から毛根をもってかれてたんだろう。

 

このように、凄いバカはどの世代にも普通にいるし、まあおそらく当時SNSがあったら、彼はレバーの玉を外して持って帰るのも喜々として配信しては、炎上してまたハゲが加速してたと思うんで、「今どきの若者は」みたいな論調で炎上キッズを叩くのは、あんまりやらないほうがいいね。そいつ、がバカなんであって、その世代がバカなわけじゃないんだよと。そう理解しましょう。