ぱちんこ閑話休題

はい皆様ご機嫌麗しゅうっ!謎のオッサンがパチンコ愛を叫ぶコラムへようこそ!

今回は約30年前の初春に起こった「おもひで」を語りましょうそうしましょう。

高校生にとって原チャリは翼

中学生はダメだけど、高校生になればパチンコOKというのが当たり前だった、大阪南部の少しガラの悪い地域で育ったナカムラ少年。学校はサボらずに無遅刻無欠席(早退はアリ)で、もっぱらパチンコは帰りの電車を途中下車して、トイレで私服に着替えて駅前稼働だったのだが…この年代にとって劇的に世界が広がる出来事と言えば!そう!原チャリ免許取得である。圧倒的に行動範囲が広がり、駅から遠かろうとも自由自在!今まで行けなかった辺境のパチンコ屋にもひとっ飛び!今から考えるとまだまだ狭い世界だが…当時の純粋なハートには、まるで翼が生えたかのような心境なのである。
夏休みをまるっとバイトで潰して手に入れた新車のJOG(YAMAHA)に跨り、そりゃあもうあっちの新装こっちの改築、むこうの新築オープンまで悪ガキ仲間と連れ立って遠征しまくり。新しい店に行くとたまーにある「ニイチャン歳いくつや?」という壁にぶち当たりながら、安牌な店をリストに入れていく毎日。

各地のパチンコ屋チラシが集まる謎システム

学校で毎朝行われる定例会議(通称:新装会議)とは、私立高校の強みを生かして広い範囲から集まる生徒達によって、各地域の新聞折り込み広告からパチンコ屋のチラシを抜き出してきてもらい、それが自動的にナカムラ少年の机に集まるという夢のシステムが構築されており、その貴重な資料をもとに悪ガキどもが「今日行く店」を真剣に選ぶのだが、たまに1時間目の授業が始まってても関係なく教室の片隅で行われており、それは「ナカムラだからしょうがない」ってことで許されていた。ここまで書くと、まるで「クローズ」のような極悪高校を皆様想像するんだろうけど…ほんとはそこまで酷くない学校で、勉強もスポーツもそこそこ良かったんだけどね。しかもこれが「特別選抜進学クラス」で行われていたというのも恐ろしい話。
で、そんなある日の事、各地域の生徒から持ち寄られたチラシの中に一際バカでかいヤツが混じっていた。チラシとしての普通サイズはA3サイズなのだが、コイツはA3のさらに倍!2つ折りにされてA3サイズ、実際の新聞には4つ折りで折り込まれる異様なサイズ。チラシの大きさ=気合いの入り方=期待度みたいな考え方もあり、今日の狙いは満場一致でそのホールに決まる。

県跨ぎ確定

その店は今日がリニューアルオープン初日の17時開店で、場所は……

( ゚Д゚)和歌山!?

いくら原チャリによって行動範囲が広がったとは言え、学校は大阪府堺市。2時間半かけて山越えのルートww
こういう時だけ計算が早いクソガキが脳内シミュレートする。学校で一旦解散から、着替えて原チャリで再集合するまで2時間、そこから峠越えの移動が2時間半だから合計4時間半、これだけ大きいチラシが入っていることを考えると、最低でも3?4時間は並ばなければ台が取れないだろう…って事で、出した結論は

( ゚Д゚)1時間目が終わったら撤収!

なのである。1時間目が終わると当たり前のように「おつかれー♪」という爽やかボイスを発して教室を後にするナカムラ少年達。他のクラスからも仲間が集合し、全員で正門をそそくさと抜けて最寄り駅へ。そこで集合場所の最終確認をして一旦解散である。

峠をナメてはいけません

滞りなく集まったのは、一番和歌山寄りの仲間の家。当時はナビも携帯電話もポケベルもない時代、はぐれる事が致命的なので各々が地図でルートを確認して、いざ出発。ローカルな話になるが、今でこそトンネルができたりして南大阪と和歌山はスムーズに行き来できるのだが、当時はそんなものはなく…山一つ超えるのにクネクネの山道をひたすら登って、同じだけ下るのが唯一のルート。春先の暖かさで油断全開の全員半袖というバカっぷりでアクセル全開。

( ゚Д゚)よっしゃ!いくでー!

峠道に入るまではキャッキャウフフで楽しくやっていたのだが、次第に全員が悲壮感に包まれてくる。

( ゚Д゚)ちょちょ…寒くね!?

天気は曇りで太陽の光が無い中、空気が異常に冷たい。
先頭を走っていた猪木(本名は斎藤:アゴが特徴的)が堪らずスピードを緩めて路肩に停まり、釣られて全員が一旦停まる総勢8台の原チャリ。まだ峠は折り返し地点にも来ていない状況だが、ここで作戦中止で引き返すかの会議が行われたが、底抜けバカ軍団なので答えは当然「なんとかなるべ」ってことで、再出発。

500人なだれ込み

春先の峠をナメてた。しかしまぁ、体力も有り余る青少年達なのでノリと勢いだけで峠を走破!街に下りてからはまた意気揚々と原チャリを走らせて、目的の店についたのが午後2時過ぎだった。

( ゚Д゚)よし!じゃー3時間ほど並ぶでー!

その頃には天気も晴れて、半袖でも「少し肌寒い」くらいだったので、開店時間を待ちわびていつものように時間を潰すのなんてお手の物なのである。
そして開店!400台規模のホールに対し、集まった客はパッと見で500人程度か。ナカムラ少年達は100番目前後だったので、台にあぶれる事はない感じ。整理券とかの概念が無い時代なので、当然開店時間と同時になだれ込む昭和スタイルの入場をくぐり抜け、悪ガキ達はそれぞれ台を押さえるのに成功した。

会心の勝利!までは良かった

ナカムラ少年が押さえたのは天国KISS(京楽)で、スペックは1/191の権利物。当たり絵柄が3or5or7で3回権利(約6500個)、0・1・2・4・6・8・9なら1回権利(2500個)。とにかくスペックが激甘で、確率的にも夕方開店の短時間勝負に向くのだ。ナカムラ少年の高校生とは思えないチョイスに乗っかる形で、8人中5人が天国KISSに着席。残りの3人はモーニング狙いでアレパチコーナーに走り、100番前後の入場では何も押さえられず…OL娘(三共:ハネモノ)で3人並んでいた。

この日の事は本当によく覚えている。8人も行けば、どんなにホールの状況が良くても全員勝つなんて事は起こらないのが常だが、この日は正真正銘の全勝!勝率8/8!17時開店の21時閉店で細かい収支は省くが、全員ルンルンでサイフが暖かくなり、ホール近くのラーメン屋で祝勝会を行おうと外に出た時、ぽつぽつ。

( ゚Д゚)雨かぁ?

まだ小雨なので、急いで各自原チャリに跨ってラーメン屋へ。一番勝った猪木の奢りで腹いっぱいになっていい気分で外に出ると…豪雨!台風ですか?と聞きたくなるような豪雨!
この時になってやっとバカ達は気付く。春先とは言え、もう夜で気温は低い。全員半袖。豪雨。そして、その中で今から夜中の峠越えwith原チャリ。
「遭難」の二文字が頭をよぎる。

つづく