市場から5号機が撤去されて完全6号機時代となったわけですが。皆さんも肌で感じているようにパチスロは大不況となっております。確かに6号機はあまりよろしくないのは事実だと思っていますし、不満点も多々あります。では、すべて6号機が悪いかと言えば、そうでもないような気もしているのです。業界全体として、長いツケを払わされているのかな……と。

メーカーは、売れる機械を作って業績を上げたい。ホールは、低設定でも人気となる機種揃えをして利益を上げたい。ユーザーは、勝ちたい。少なくとも面白い機種でお財布が痛まないようにしたい。この三者の思惑は別ベクトルです。当然ながら。

 

4号機時代のように射幸性が高まっている時期であれば、どの方向性も充足されます。ユーザーが望むような一撃のある機械を揃えることが、ホールにとっても利益を上げる手段となりますし、そういう機種を大量に作ることがメーカーにとっても業績を上げることに繋がります。こうしてパチスロの総設置台数は200万台を超えるところまで発展しました。

なぜ多くの人が参加してくれたのか。その大半が“目撃者”だったからだと考えます。まだ射幸性の低かった1990年代。全国には1万8000軒ものホールがあり、低交換率がメインと今では考えられないほど薄利多売の時代でした。ホールが多いことは、身近に打てる機会が多いということ。稼働率も高かったです。

すごい機械が出てきた際に、その第一目撃者となります。パチンコも同じそうです。まさに庶民の娯楽となっていた“手軽で身近な”チューリップ台や羽根モノを打っていた人が多かったから、セブン機やCR機の隆盛に繋がったのです。百聞は一見に如かずという言葉のように、情報過多の社会ですが目にした時のインパクトは大事かと。誰もいないようなホールで万枚出ても広告効果はゼロに近いですが、満席のホールなら……。

 

そういった目撃者、“次にハマってくれる層”の貯金を吐き出しきってしまったのではないでしょうか? 育てることなく刈り取り続けることによって。特にここ10年くらいは勝負の早い、客滞の短い機種が重宝されてきました。

パチンコホールとは、集うユーザーの持ち寄った遊ぶ金額を再分配する場所のはずです。そこで一つのコミュニティが成り立っていれば、機械の性能なんて二の次だと思っています。私も技術介入全盛期にリプレイハズシのない『フローズンナイツ』とかよく打っていましたよ。そのホールが良かったから。どんなに面白い台でもダメなホールにあったって意味ないんですよ。逆に、流行の機能がなかろうが良いホールに置いてある台は、すべて楽しめます。誰かが楽しみ方を見つけます。『フローズンナイツ』が面白くないとは言っていませんよ。念のため。

射幸性に頼りすぎて来たのではないのですかね?

メーカーの団体やホールの団体が、風営法や遊技機規則を作ったり解釈できれば、それもまた1つの手段だと思いますよ。でも決めるのは警察です。自分たちでコントロールできるものではありません。なぜ、自分たちでコントロールできないものにオールインしようとしているの? とライターになる頃から思っておりました。

私がライターになったのは、射幸性が上がって等価交換が増えて。これでは、末長くというわけにはいかない。体力の関係もあるし、堕落した生活のままピンで打って勝つのは潮時と思ったからです。なら、パチスロの知識と引き換えに雑誌や本の作り方を学べればな……と。そこから20年以上もライターを続けることになるとは思っていなかったですが(笑)。

程度の差はあれ、こうやってドロップアウトしていくものです。パチンコ・パチスロそのものからも。一定の離脱層を補うように新規の参加者がいる。新規の参加者をファンに育てていく。そうしなければ1万8000軒という数字にはなりません。

 

では、ここ数年のパチスロシーンはどうでしょう。4号機の爆裂AT機やストック機に育てられた“太めのお客さん”をいかに繋ぎ止めるか。そして効率良く利益を上げられるかにシフトしすぎかなと。『ハナビ』や『ディスクアップ』のような機種を好む層は利益が小さいですからね。

ようやくTVのCMも解禁しましたが、広告規制もありますし。効率を考えると、そうなっちゃうのも分かるんですけど。育てるには手間も費用もかかります。他所から持ってくる方が手っ取り早いです。しかし、これだけのホールが撤退すると、代わりに育ててくれるところは、もうほぼ存在しません。ホール軒数の激減は、フラッと行って打てる機会の喪失を意味します。もはや日常生活の一部ではなく「打とうと思ってわざわざ出かけるもの」となってしまっています。知らない人は、一生知らないままになるでしょう。

メーカーの業績アップのため、ホールの利益のため。個々で見れば間違ったことをやっていないとも思います。頑張っているホールやメーカーもあることでしょう。ただ、パチスロの未来全体としては……ね。またイチからコンテンツとして育てるのか、減りゆくパイから効率的に利益を出す方向になるのか。時代の分岐点に差し掛かっていると思うのです。

少なくともダメと思われがちな6号機で出さないとか意味がわかりませぬ。ちょっと見たところ、頑張っているホールが多いですね。お客さんも激減という感じではないですし、ここらが頑張り時なような気がしています。6号機で勝負が遅くなったということは、それだけホールに滞在するということ。機械の性能だけではなく、そのホールのファンを作るには良い機会とも言えるでしょう。