NHKの「朝の連続テレビ小説」。いわゆる朝ドラだ。子供の頃はこれ全く面白いと感じなかったので、世の大人たちは何を一生懸命に観とるんだろうかと不思議に思っていた。とはいえ小学校の時分は朝ドラが放映されるより前に家を出ていたのでさして実生活に影響もなかったのだけど、中学高校と徐々に家を出る時間が遅くなるに従って、だんだんと「朝ドラvs俺」みたいな状況が出てきた。要するに朝ドラをやってる時間は誰も朝飯を作ってくれんのである。

今思えば手前で作れよと思うんだけども、言っても当時は15とか16の甘やかされたガキなので、朝飯も晩飯も全自動で出てくるもんだと思い込み、全く疑っていなかった。これは本邦の一般家庭で育ったひとりっこがあまねく抱く共通の、不遜で幸せな勘違いだと思う。筆者もそのご多分に漏れず、用意されるトーストだとかベーコンだとかを貪ったのちにバスに乗り込み高校へと向かうのがデフォだったのだけども、どっこい朝ドラ放映中は世の親たちが機能停止に陥るというのを知るにつけ、あれ、俺もうそんなに可愛くなくなってねえか、みたいな回答がズドンと目前に現れ、蝶よ華よと上げ膳据え膳で過ごした少年時代がいつのまにか終わってしまった事実に愕然とした次第。

それ以来朝ドラはどうも「大人臭くて」キライだったんだけども、例によって「じぇじぇじぇ」でおなじみの「あまちゃん」でハマって以来、なんだかんだずっと観てる。人は誰しも大人になるし、子供時代の憤懣って結局大人はみんな忘れちゃうのだ。うちに子供がいれば、きっと朝ドラを観て笑ったり泣いたりする親をみて、同じように「もっと僕をみてくれ」「わたしにかまって」と臍を噛むんだろうね。

さて。

朝ドラを観続けて思うんだけども、なんかもうシチュエーションというかシナリオのスタート地点が大体固定されてきて、ストーリーもマンネリどころかオクネリくらいになってる気がする。あんまり斬新なネタとかは求められてないのは分かってるけども、流石に似たような話が続きすぎて既視感がエグい。毎年毎年やってるから仕方ない事とはいえ、そろそろ結婚して子供ができるだろうなぁとか、ああこの子は将来こうなるんだろうなぁとか、そういうミエミエの布石みたいなのを敢えて見ない風にして楽しむというのも、そろそろ限界が近いように思う。とはいえそれでも毎回すげー面白いんだけども、何かここいらでパンチが効いた、超斬新なネタはないのだろうか。

そう。パチンコはどうだろう(唐突)。

流石に100作以上やってると、もうネタも出尽くしている。今やってるのは「食」がテーマだけど、もう何回やってんだくらい既視感がある。朝ドラそんなに知らん俺でもそうなんだからプロの朝ドラーはアフリカバイソンくらいゲップしとると思われる。それでも面白いんだから逆にスゲーと思うんだが、ここはシチュエーションにバリエーションをつける意味でもパチンコにフォーカスしてみるのも良いと思われる。

朝ドラの常として、主人公は女性にしよう。そして少女時代からスタート。昭和40年くらいからスタートしとけば鉄板だろう。親はパチンコホール経営者で、そこで後々の布石になる子連れの常連を出す。子供の方は「パチンコなんか面白くない」みたいな感じで渋々親についてきてるけど、そこで主人公(少女)と仲良くなる。ここで初恋の描写を入れるのもいいだろう。ここまでで放送二週間。やがて親が死んで、東京でデザイナーかなんかを志してた少女はホール経営を継ぐ事になる。新米オーナーとして、親の時代から通ってくれている常連さんとのドタバタもあり、かつ就職に失敗してパチプロになった、ありし日の初恋の相手との再会もあり。CR導入のいざこざとか暴排関連も入れるとグッと社会派ドラマになる。最終的にはパチプロ青年も広告代理店か何かに就職し、少女はデザイナーを志してた時代のスキルを使って女性向けのライトなお店を作り、なんだかんだ結婚して子供もできて、「お母さん、パチンコって面白いね!」みたいな感じにして欲しい。決め台詞は「心の電チュー開いた!」でいいだろう。

と、別に馬鹿にしてるわけではなく、パチンコのドラマって俺が知らんだけかもしれんが松本明子の「グッドモーニング」くらいしか地上波でなくない? 産業的にデカイ所なんだから、もうちょっとくらい題材に取り上げられてもいいような気がするんだけども。Vシネとかインデペンデント系の映画とかには沢山あるのに、やっぱ地上波は敷居が高いのか。だからこそNHK、やってくれんかな。そのためにもね、地位向上のために、族議員の一人でも国会に送り込んだほうがいいですよ。パチ業界。と、時事ネタブチ込んだ所で本日はここまで。

なお、俺は朝ドラ大好きです。