パチンコ&パチスロで版権機種(タイアップ機種)を作るにはカネがかかります。地上波でアニメ化されている作品の場合、原作使用料・映像使用料・楽曲使用料、さらに声優さんに対するギャラが必要なのはもちろんのこと、製作委員会方式で数多くの媒体が関与している場合は、それぞれに所定の割合でライセンス料の支払いが生じるので(ただし契約の内容次第)、版権機種はメーカーのオリジナル機種に比べて機械代金が高騰するのが通例です。要は利権の塊なわけですな。

だったら、そんなカネのかかる版権なんて使わずに、オリジナル機種で勝負すればいいじゃん! 誰もがそう考えるところですが、何もない状態、つまりゼロから世界観を構築する場合、これまた信じられないくらい時間とカネがかかります。どちらにしてもカネがかかるなら、すでに世界観が出来上がっているアニメ版権を使わせてもらった方が、時間がかからない分だけマシだわな。…とまぁ、そんな感じで版権機種が乱発されることになるわけです。

 

しかしながら、版権元様によっては、やたらとうるさく口を出してくるところもあり(ようするに版権のイメージをそこなわないように…という、よくあるアレです)、各メーカーとも「過去のヒット機種の復刻版」みたいな感じで新機種を製作することが多くなりました。アクロスのAプロジェクト機種やサミーのディスクアップ、ガメラ、アラジンAクラシックなんかはその代表例ですね。

ただね、なんだかんだ言っても、やっぱり版権機種の人気の方が高いのよ。特にシリーズ物として何度もパチンコ化あるいはパチスロ化している版権の場合、そのシリーズに付いている固定ファンの皆さんがおられますから、メーカーとしても版権を手放せない。それでも手放すことがあるのは、「この版権では既存の機種を超えるゲーム性を作れない」と判断したか、「費用対効果が割に合わない」ような場合、もしくは「当該版権で次回作以降のヒットが望めない」というケースが圧倒的多数を占めると思います。

 

まぁ、それに関しては特に気にする必要はありません。打ち手側にしてみれば、メーカーさんの苦労なんて知ったこっちゃないですし、いかに面白く斬新なゲーム性を提供してくれるか…が大事ですから。

とは言え、シリーズ機種の歴史が長くなると、今度は別の問題が出てきます。版権の世界観そのものは時間が止まったままですが、物語の登場人物を演じる声優さん(CV)は誰もが等しく歳を重ねるわけで、特に有名な版権でベテランの声優さんが演じられている作品の場合には、いろんな事情で声優さんが交代するケースが出てくるんです。

ぶっちゃけると「ルパン三世シリーズ」などですね。

パチンコ版のことはよく存じ上げませんので、今回はパチスロ版に限って話を進めます。

 

ルパン三世が初めてパチスロになったのは、平成12年(西暦2000年)のことでした。メーカーはパチンコ界の老舗・平和です。少し前に山佐がルパン三世を作ってる…みたいな噂が流れたんですが、そちらの方は何らかの理由で流れたんでしょうね(業界内に広く噂が流布したため完全なガセネタとは考えにくい)。ともあれ、平和の「ルパン三世」は、複数の予告音と珠玉のリール制御が高次元で融合したゲーム性がウケて、スマッシュヒットを飛ばします。この機種は液晶非搭載機だったので、映像使用料は発生しなかったと思われます。

状況が変わったのは、平成14年に平和から登場したスピンオフ作品の「不二子2」です。この機種はリールの右横に縦長の液晶画面を搭載しており、TV版の声優さんを起用して各種液晶演出を製作しました。正式にアナウンスはされておりませんが、CVは以下の通り。

 

ルパン三世~栗田貫一

次元大介~小林清志

十三代目石川五ヱ門~井上真樹夫

峰不二子~増山江威子

銭形警部~納屋悟朗

 

TV版&劇場版で主役のルパン三世を演じた山田康雄さんはすでに他界されてますが、山田さんの後任として現在もルパン役を担当している栗田貫一さんを起用して、しっかりと世界観の統一を図っている店に好感が持てます。

その後、ルパン三世シリーズは多くの機種を排出しました。

 

1、ルパン三世(平成12年・平和・4号機)

2、不二子2(平成14年・平和・4号機)

3、主役は銭形(平成16年・平和・4号機)

4、俺の名はルパン三世(平成19年・平和ブロス・5号機)

5、ルパン三世~ルパン一族の秘宝~(平成22年・平和・5号機)

6、不二子~100億$の女神~(平成24年・オリンピア・5号機)

7、主役は銭形2(平成26年・オリンピア・5号機)

8、ルパン三世 ロイヤルロード~金海に染まる黄金神殿~(平成27年・オリンピア・5号機)

9、ルパン三世~消されたルパン~(平成28年・オリンピア・5号機)

10、不二子 Type A+(平成30年・オリンピア・5号機)

11、ルパン三世 世界解剖(平成30年・オリンピア・5号機)

12、パチスロ ルパン三世~イタリアの夢~(平成31年・平和・6号機)

13、主役は銭形3(令和4年・平和・6号機)

14、Sルパン三世(令和4年・平和・6号機)

 

なんとまぁ、スピンオフ作品を含めて足掛け23年で計14機種。何とも壮大なシリーズ作品になったものです。この間、各キャラの声を担当している声優さんがご高齢なこともあって、TVアニメ版のCVは次のように変更されました。

 

ルパン三世~栗田貫一

次元大介~小林清志→大塚明夫

十三代目石川五ヱ門~井上真樹夫(故人)→浪川大輔

峰不二子~増山江威子→沢城みゆき

銭形警部~納屋悟朗(故人)→山寺宏一

 

スタート時のTVアニメ版・第一シリーズから、ず~っと次元大介役を張ってきた小林清志さんも、最新作の「PART6」の第0話「EPISODE 0 ー時代ー」をもって勇退されたわけですが、おそらくは製作時期がそれより前だったのでしょう、今年の年初にデビューした「主役は銭形3」では次元大介役で美声を聴かせてくれました。出玉性能は少々アレだったけど(…というか、6号機では仕方がないことなのだけど)、長年のルパンファンとしては、小林清志さんが演じる次元の勇姿を拝めたことが最も嬉しかったりなんかして…。

でもって、おそらくこの機種が最後なんだろうなぁと、漠然と考えていたところ、先日、オリンピアさんのショールームで「Sルパン三世」のデータ取り(取材)をする機会がありましてね。音量を上げられなかったので少々わかりにくいけど、この機種も次元大介の声って小林清志さんじゃね?

いや、TVアニメ版を観るかぎり、大塚明夫さんも意識的に小林清志さんの声に寄せてきているので、絶対に間違いないかって問われると答えに窮するんですが、希望的観測も込みで小林清志さんだったら嬉しいなぁ…って。

 

「Sルパン三世」の設置開始は3月7日です。

 

是非ともホールで確認したいと思います。