35歳の♂と17歳の♀。

 生物学的な話は知らないが、こと現代の日本社会においてこのような組み合わせはリアルな話とは思えない。どちらかと言えば二次元の、それこそエ〇ゲーの中だけの話と思っていた。

――ここはとある居酒屋。

S「いやぁ、やっぱりリゼロの4は確定しててもキツイっすわ。台は勝たせてくれないから130Gスタートがたったの800枚しかヤレなかった時に心が折れましたw」

万「言うて遊んで期待値あるなら上等やろw俺はツイブレの④パツヅモで大満足や♪」

S「いや、あんた負けてますやんwって言うか確定も出てないのに④って言い切ってるし。」

万「ツイブレの①②がどんだけ優しくないか、こちとら身をもって知っとんねん。アレはヒャクパー④や。」

S「養分乙w」

 半月ほどデータを積み重ねていざ臨んだイベント日。予想が的中して朝から大好きなツイブレと戯れていたが、Sが遊びに来たという事で19時半には切り上げてパチスロ談義に花を咲かせていた。ここまではパチ仲間とのよくある光景だ。しかし最近、Sが彼女とひと悶着あって別れたと聞いていたので、途中からはプライベートの話になっていった。

S「まぁ、アレコレありましてね……なんで男ばかりが色々女の要求に応えないけないのか。ほんでまぁ、最終的にはこっちから振ってやりましたわ。」

万「そうか、大変やったねぇ。あ、そういや最近こんな本読んだけど面白かったで。」


画像引用:Amazon 『ベスト・パートナーになるために―男と女が知っておくべき「分かち愛」のルール』 男は火星から、女は金星からやってきた

 ボクとSは物事に対する考え方が似ている。情緒よりは理屈重視だし、善悪の概念も近い。一方でネット弁慶感のある陰キャ系なのも共通している事から、彼との会話には全くストレスを感じない。

 対女性の考え方も近い。お互い女性関係を語り合う中で「それな!めっちゃ分かる!!」という共感が多数ある。それは同時に、お互い男としての欠点も似ているという事だろう。

 本の一節にこんな話があった。

【男性は高級なプレゼントや日々の家賃など、かけたお金や時間で価値の重みを測ろうとするが、それは大きな誤りだ。男性にとって100点の努力も女性は1点としか見ない。それが安い贈り物であれ、高い贈り物であれ、1点は1点だ。】(※要約)

 ボクとSはこの話に大いに共感した。そして、こんな一節もあった。

【女性が帰宅後に仕事の愚痴を話し始めると、男性はすぐにフィクサーになり解決策を提示しようとする。それは今すぐ止めるべきだ。男はただ頷き、彼女に寄り添い(加えて意識を彼女に集中し)、最後に優しく抱きしめてあげれば、彼女は抱えていた問題から解き放たれ気持ちよく明日を迎えるのだ。】(※要約)

 このような話は、どこの誰が書いたのかも分からない薄っぺらい恋愛 How to のネット記事にもよく書かれている。それらとこの本の決定的な差は、科学的な裏付けがある事は勿論だが、Aのケースにおいては男はこう考える、一方で女はこう考える、という対比があり、その上でどうすべきかという視点が併記されているところだ。

 外注ライターが安い単価で書いているネット記事で、そこまで掘り下げるケースはない。あくまでも女性はこうだから、男性はこうだから、で終わるところ、双方の視点を並列する事で納得感が増す。

 何事もそうだが、見たい物だけ見る、聞きたい話だけを聞く、考えの近い人とだけ寄り添う、という姿勢は心地よいかもしれないが、自分の世界を狭くするだけで決して成長には繋がらない。ネット記事もこの本も、恋愛 How to というテーマは同じでも、深みの違いで「これだけ得心するものか」と物書きとしても大いに勉強になった。

 ボクとSはこれまで、「女は分からねぇ!」と散々愚痴ってきたが、何のことはない“分からない”のではなく“分かろうとしていなかった”のだ。本を通じて二人は納得し、Sは早速この本をAmazonでポチっていた。

S「次は失敗しないように、本読んで意識しますわw」

万「そういや、もう次の彼女できたんだってね。どんな子なのよ?」

S「え……いや……女友達の紹介で……」

万「なんだかんだお前は女途切れないよなぁw歳はいくつくらいなの??」

S「……じゅ、17です。」

 

 

 そこから先の会話はあまり覚えていないが「手は出してませんから!」と連呼する嘘つきが目の前にいた事と爆発してシネバイイノニと思った事だけは覚えている。

■9/20

ツインエンジェルBREAK 設定④

■9/21

あれこれ打ち散らかした後 うみねこの鳴く頃に②or④

■9/22

午前中だけの調査稼働。

 

 9月上旬にパチスロに夢中になり過ぎた事もあり、19日までは仕事に集中。しっかりマイノルマをこなしてから挑んだ二日間で、満足のいく立ち回りが出来た。22日の-20Kは金銭的に痛いが、こうした調査の積み重ねが無いと設定狙いに必要なホールの勘所が見えてこない。これは、必要な投資だと思っている。

 今週は、これまでのデータ収集と実戦で得られる生の情報が良い形に結実し、加えて仕事とのバランスも丁度いい塩梅になってきた。生活のメリハリという意味でも、自分に良い効果をもたらしてくれている。このままいけば、年下ばかりのパチ仲間と遊ぶ時に、飲み代くらいご馳走してあげられる程度には勝てる気がしている。

 そんな思いから、Sとの飲みでは彼がトイレに立った際、歳上で今のところは稼ぎもあるボクが何も言わずお会計を済ませておいた。そんなスマートさをなぜ女性ではなくSに見せているのかは甚だ疑問だが、♂としては完全敗北しているボクのちっぽけなプライドだけは守りたい。それは、Sとは友人でもあり、後輩でもあるという男系社会独特の悲しい性だ。

 ただ、それもこれも、全ては自身の余裕があってこそ。ボクの心が第二の罪に焼かれぬよう、改めて仕事もパチも全力でやろうと誓った週末だった。そして、いつかボクにもベストパートナーが見つかる事を願ってやまない。JKとは言わないので。