警察庁パブリックコメント受付ページはこちらです。

 

すでに皆様ご存知かと思いますが、パチンコ・パチスロの未来に大きく関わる風営法の改正について、警察庁がパブリックコメントという目安箱を設け、一般の方からの意見を募集しております。

〆切は8月9日。

パチンコ・パチスロを愛する皆様、是非この機会に思いの丈をぶつけてみては如何でしょうか?勿論、ボクも投稿したいと思います。

今回の記事では、この風営法改正の内容をかいつまんで説明致します。何せ、大元の資料はTHE・官僚文書。読んでいて頭が痛くなるような物言いがズラっと並んでいます。打ち手が知りたいのは第何条何項だのそんな事ではない!!要するにどうなるねん!?ってところを分かりやすく纏めたいと思います。

勿論、万回転個人の解釈が入りますので、パブコメに投稿しよう!という熱意のある方は出来る限り警察庁発表の公式文書(別紙と新旧対照表)に目を通して頂きたいと思います。

改正の内容1:別紙より 規制の概要

◆1回の大当たりの上限規制

 パチンコはMAXラウンドで1,500発

 パチスロのビッグボーナスは最大300枚まで

※どちらも「払い出し数」。実際の獲得玉数・枚数はこれより下がります。現行機種で言えば北斗無双のようなMAX2400発は勿論、ミドル~ライトミドル系の機種でもかなりの機種が該当します。と言うより後述する設定機能が現行機種にはありませんので、釘調整が必要な現行のパチンコは全てアウト

※8月訂正:設定機能を付けるのを義務化するというわけではないようで、技術上の規格等の台の詳細な仕様は今後決定する見通し

パチスロならジャグラーもBIGの枚数がオーバーしているのでアウトです。

◆台そのもので大当たり履歴などが確認できないようにする

 パチンコでもパチスロでもボタンを押して当日や過去の大当たり回数&その内容が見れる機械ありますよね?あれは射幸心を煽るからダメとの見解です。

◆管理者の業務の追加

 ホール店員さんが、お客さんが過度に打たないよう管理する事を業務として定めるそうです。管理の詳細は明記されていません。

◆パチンコのパチスロ化

 パチンコに6段階の設定をつける。 ※代わりに釘を無くす等の詳細は明記されておりません。

◆2018年2月1日に施行

 この日付で法律が変わる事は決定事項です。

※新法にそぐわない現行機種を撤去するのが上記期日という事ではありません。現行機種をどの段階でみなし機とするか、その線引きは未だ不透明です。

 

改正の内容2:新旧対照表より 検定試験の基準

◆連続でプレイした時の差玉・差枚の上限引き下げ

 パチンコ 1時間で差玉が13,200発 10時間で差玉が2万発を超えたらアウト

  ※一時間確変出っ放しでも何回当たっても差玉が13,200発を超えたらダメ

 パチスロ 400Gで差枚が1,440枚 1,600Gで2,400枚 6,000Gで4,680枚 17,500Gで7,875枚 を超えたらアウト

  ※400G内にたまたまBIGが連チャンしたりART・ATで出っ放しでもトータル1,440枚超えたらダメ。Pay outに直すと17,500Gで115%が設定6の最大出率となります。

◆下限(吸い込み)に関する規制も一部追加・変更

 パチンコ 1時間で一度も当たらなくても-4,000発(16,000円)まで

 パチスロ 400Gで-800枚まで 1600Gで-2,880枚まで 6000Gで-9,000枚まで 17,500Gで21,000枚まで

※1 パチスロについてはこれまで下限規定が個別に明記されていなかったところが、今回明文化されました。パチスロは最も短期の規定である400Gで全く当たらない場合、小役の払い出し等含めベース25G/千円が下限。あれ……ハーデス検定通っちゃうね。(8月訂正:検定における計算基準を誤ってました。下限ゲーム数は計算上約29Gとなりますが、長時間試験での下限やゲーム性の制限から千円あたりのベースは相当に上がった機械しか検定を通せなくなる見通しのようです。)パチンコは釘が全く無くなり誰が打っても同じ回転率なら確かに吸い込みは減ると言えますが……。

※2 メーカーが検定試験を何回も落ちる、なんて話を聞いた事があると思いますが、これは機械の出率設計が規定内に収まっていても、実際の試験の際に「ヒキが強くて」一杯出ちゃう、なんて事があるから検定に落ちるわけです。決して一時的な「ホールでの波」が上記の規定内に必ず収まるという訳ではありません。

 

改正とパブリックコメントについて

現時点での警察庁発表の内容はあくまで「案」です。法改正する事とその時期については決定事項ですが、これから規制対象である業界団体等の当事者のみならず、一般の声も拾って適正な内容にしようというのがパブリックコメントの主旨です。

IR法案に絡んで、依存症対策という水戸黄門の印籠ばりの大義名分とともに進んでいる当改正。中には「どうせ声を聞くなんて只の体裁で、言ったって何も変わらない」なんて思っている方もいると思います。それは一部は事実だとは思いますが、声に影響されるところがあるのも事実です。

これは実体験の話ですが、ボクは以前某Jリーグクラブのコアサポーターをしていた事がありました。そのクラブはスタジアムの問題で資格に関する規定を満たせず苦しんでいたのですが、この時、署名活動が行われ、様々な民意が働いた結果、行政が動いたという経緯を身をもって体験した事があります。勿論すべてがサポーターが望むような理想形で実を結んだわけではありません。しかし名も無き声が行政を動かす事があるのも事実です。

自分の思う通りの100%の回答を望むことなど不可能でしょうが、改正案に多くの声が集まり、その声を無視した改正をゴリ押した結果が大失敗となれば、それを推し進めた担当者は官僚社会の中で確実に出世コースから外れます。その名が例え表に出なくとも、エリートである官僚の方々がそれを恐れるのは間違いありません。

そういった相手方へ与える心理面の影響もあるという事です。

改正案についておかしいと思うところがあれば、是非声を上げて下さい。それは決してムダではありません。そして、動かなければ何も変わりません。

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以下、万回転のつぶやき

個人的には、この改正で大騒ぎしているのはパチプロだけじゃないか、という思いもありますし、それに関しては因果応報という言葉がすべてだと思っています。

しかし、間違った規制は適度な距離感を保っている一般ユーザーにも影響があると思っています。

具体的な未来予想図としては、出玉の波をとにかく抑えようというこの規制でまず苦しむのはパチンコホールです。

いわゆるコイン単価、玉単価、という言葉がありますが、波が荒く当たりまでの投資が大きければ大きいほど最終的な差玉・利益とは別に現金がホールへ入りやすくなります。これが波を抑えた機械ばかりになると持ち玉(メダル)でのプレイ比率が上がり、現金収入が減り、キャッシュフローが悪化します。その結果、資金繰りが苦しくなって閉店するホールが増えるでしょう。ホール経営という観点では、売上の維持も大事な要素です。

さらに現在長く設置されている機械(ジャグラーやバジリスク絆など)も、この規制が施行されればホールには何の落ち度が無くともいつかは新台へ入れ替えなければなりません。その経費負担の問題が、ホールが直面する大きな山です。

それらを一体誰が負担するのか。当然打ち手である一般ユーザー以外あり得ません。

そして、その山を越えられなかったホールから潰れていき、ホール間の競争が無くなれば生き残ったホールはこれまでの売上・粗利をキープすべく、さらに還元しなくなります。大手が進出してきて競合店を潰して回った結果、地域に優良店が皆無な状況になる。そんな絵図はこれまでも繰り返されてきましたが、それが更に加速していく事でしょう。

要するに「設定1が今以上に増えるだけ」です。

また、真綿で首を絞められていくようなこの規制でも続けていくプロは必ずいます。過去より稼げなくなる中で、それでもこの世界にしがみつかなければならない必死な(ことこの世界においては高性能な)プロだけが残っていき、波が小さければ小さいほど、プロにとっては有難い(勝ちやすい)状況が生まれるため、荒波があるからこそプロやプロもどきがヘタれてやめていく高設定に一般ユーザーが座れるという偶然も減っていくでしょう。パチンコから釘が無くなり設定となれば「一律ほどよいアケ」などパッと見では分からなくなりますから、今以上に情報に強いプロだけが優秀台を寡占していく事でしょう。

このような状況となれば、いくら短時間の負け額が減ったところで1の大勝:9の負けだったところが10の負けとなり、一般ユーザーの最終的な負け額は膨らむだけではないでしょうか。

そうなればユーザーの減少は止まりません。必然、一時は地域を寡占したホールでも売上は下がり、規模を縮小していかざるを得なくなります。そうしてパイが減少した煽りをメーカーも必ず受けるでしょう。パチンコ・パチスロ関連の部品を作っている工場にだって影響が出ます。

そうして金回りの悪くなった業界は経費削減に走り、従業員の給料・福利厚生は削られ、有能な人材は他業種へ流出していくでしょう。経費削減の一環として今主流となっているアニメとのタイアップが無くなっていけば、パチンコ業界が大きな支えとなっているアニメ業界にも不況の波が訪れると思います。エヴァもまどマギもガルパンも続編が無くなるかもしれません。新作アニメも減っていくかもしれません。

有名ライターさんやグラビアアイドルのような女性ライターさん、Youtuberさんらが織り成す動画系エンタメも、出資者である業界そのものが小さくなれば、コンテンツ自体が消えていく未来しかボクには見えません。

現在何もしなくても進行しているデス・スパイラルを更に加速させるのが今回の法改正と言えるのではないでしょうか。それは一体誰の為のものなのでしょうか。

ジャグラーまでもが強制撤去となり、ユーザーの負担が更に増していく。それが依存症対策だと言うならそれはもう「パチンコ・パチスロなんてさっさと辞めろ」というメッセージにしか聞こえません。それは田山さんを始めとする様々なプロに憧れ、今こうして安田さんと共に仕事をし、酸いも甘いもありながらも好きでこの世界にいる人間として「悲しい」の一言に尽きます。

 

勿論、派手な液晶なんていらない、タイアップなんていらない、業界がどうなろうが知ったこっちゃない、という方はそれで良いのかもしれません。ギャンブルそのものをそもそも不必要なもの、と切って捨てる方も同様かと思います。

本来、人間の本能を刺激し、社会生活を破綻させてしまう恐れのあるギャンブルには規制があって然るべきだと思いますし、今は歪な形で業界が大きくなりすぎてしまったのも事実だとは思います。

それが故の規制は当然。しかし本当に今回の規制は方向性として正しいのか。規制すべきは出玉なのか。なぜ強制的な入替をしなければならないのか。これまでの機械を間違っているとするならば、それを認めてきた責任は誰にあるのか。メーカーには株式上場を認め、ホールには認めない業界構造とは何なのか。そもそも検定のやり方自体がおかしいのではないかetc……

 

一般ユーザーの、現場の声が業界を正しい方向に導く一助になると思います。

 

少なくとも今このサイトをご覧の方は、斜陽産業と言われる今のパチンコ・パチスロを少なからず楽しんでいる方達だと思います。

ボクらパチプロなんてもんはいつかは消えて無くなって当然だと思っていますが、そして誰もいなくなった、という終わりの始まり感漂うこの改正。

パチンコ・パチスロのあるべき姿とは何なのか。是非とも皆様の声を届けて頂きたいと思っております。

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