別件でちょっとパチ屋の売上関連について調べてたんだけど、2022年のパチ屋の売上って14.7兆円もあったんだね。なんとなく俺はパチ屋の業界規模はピーク時から1/4になってる、というイメージがあったんで、もっと全然低くなってるかと思っていた。

 

重要な数字なので覚えてる人も多いと思うけど、ホール数のピークが95年の18227軒、遊技人口のピークが98年の約3000万人。なのでパチ業界の勢いが最も強かったのがこの頃(95-98年)と言われてる。バブル崩壊後とはいえ95年頃はまだ全然イケイケバリバリの黄金期であり、世界GDPにおける日本のシェアが約18%に達したのもこの年。今の中国と全く同じ数字だというとそのバリバリ感が推し量れるだろう。ちなみにこれ現在はたった5%なり。なのでその後の店舗数・遊技人口の減少はCR機の台頭とかももちろんあるんだけど、「日本が不況になった」というのも非常にデカい。

 

で、冒頭に繋がるけどこの「ピーク時の店舗数」「遊技人口数」が、現在はおよそ1/4になってんだね。なのでこれをして「産業規模が1/4になった」と考えていたわけです。俺はね。

 

論を先に進めるためにまたちょっと話が戻るけど、95年~98年というのはそもそも国民が金を持っていた時期でもあったし、もっと重要なのが【今後も持ち続けるであろう】みたいな「成長していくんだぜという誤謬」をもっていたんだね。これ超重要なので赤文字にする。この誤謬(ごびゅう・誤りのこと)はギャンブル業界にとって超絶有利なのです。なぜなら経済における「成長」とは現金の価値の相対的な低下と同義なんですよ。分かりづらいかもしれんが、今後も経済が成長するなら当然給料も上がるし定期預金の金利も上がる。給料が上がるというのは「先々はもっと楽に稼げるようになる」のと同義ゆえ、その未来に立って見ると今ある現金の価値というのは実際よりも低く感じられる。また金利が上がるんであれば現金よりも預け入れが有利になる。投資は損する可能性もあるけど、定期金利は組んだ時の長期金利は固定だから絶対に儲かる。で「成長していくんだぜという誤謬」は「近い将来そういう風になる」という(まちがった)確信をもっている状態であり、多くの人が「将来楽に稼いで、それを元手にして増やせばいい」と思ってい。要は今ある現金なんかどうでもいいんですよ。だからこそパチ屋がそれだけ盛り上がってたし、そういう状態だからこそギャンブルが「国民の娯楽」と持て囃されてた以上な状態になったわけですな。ある意味では集団ヒステリーみたいなもんだと思う。

 

一方、今はどうだというと、全く逆だ。いま「日本は成長する」と思ってるひとは大概だし、よっぽどナショナリストならまだしもまともなバランス感覚を持ってたらまず「駄目だろうな」と思ってるハズ。要は多くの人が「衰退していくんだぜという確信」を持ってる状態だ。これは何もかもが「成長してくんだぜという誤謬」と真逆なので、「今は何よりカネが大事」であり、無駄遣いを極端に恐れるようになるんだね。カネというのはただ国が信用を与えた紙切れに過ぎず、ものと交換して初めて価値が出る。したがってカネをカネのまま大事に取っておくというのは本来はただの吝嗇(りんしょく・ケチなこと)に過ぎなんだけど、不況の時はだんだん美徳になっていくんですね。この辺の理屈も語りたいけどちょっと先に進めるのを優先すると、つまりはこの吝嗇が、パチンコ業界を苦しめる一番でかい病巣だと、俺は思っている。で、思っているので、ちょっと間違った。

 

パチンコ店の数も、遊技人口も、だいたい30年で1/4になった。世界GDPにおける日本のシェアも1/4になった。だったら業界規模(総売上)も1/4になってるだろう。

 

これはもう事あるごとに言われるんで知ってる人も多いけど、パチ屋の総売上はピーク時で30兆円だった。もちろんこの大半は客に賞品として払い出すんだけど、とりあえずここが現在1/4になってんだろうなと思ったてたのね。いやいや全然そんな事なかった。14.7兆ということはなんとほぼ1/2程度に収まっている。店舗数も遊技人口も1/4なのに総売上(業界規模)が1/2。つまりはパチ屋同士のバトルの結果、地域ごとの店舗数が減りまくってるけど店舗ごとにみると大型化が進んで売上が伸びており、生き残ってるところはしっかり儲かっとるという事なんだなと思った次第。もちろんチェーン店の存在感が増してそこばっかり儲かっとるという見方もできるし、また新台の価格は値上がりしてるんで利益で考えると厳しそうな気がするんだが、にしてもこの数字だけ見ると「パチンコ業界が斜陽化してる」とはあんまり思えず。もちろん店舗数も人口も減ってんだけど、売上的にご時世に大健闘してんじゃんと思ったね。いまはもうNISAだiDeCoだと投資投資うるさいご時世になって、ギャンブルなんか馬鹿がやるもんだくらいに思ってる大人が大半だと思うのね。我が国。そのなかにあって、まだ業界規模(粗売上)が1/2程度で粘ってるのは心強い。てかここが1/4になったら本格的に終了だと思うけどさ。おれはそのくらいまで来てると思ってたが、どうやら低く見積もりすぎてたようでした。