自分が30前半の頃に通っていた超大型店(毎日釘を見るだけで2、30分かかるようなクラス)での話なんですが

 

生涯発情期な自分は、このときも、そのお店にいる娘さんに淡い気持をいだいておりましてね

 

んで、そのころ自分のなかで、メッセージカードみたいなものを渡すのが流行っていたのですよ

 

20代後半の無敵ZONEを経て、調子に乗っていたのでしょうね

 

とはいえ、元の根暗な魂がたたって縦ノリ系にはなれず、モジモジしながら年に1,2度、イケそうな気がする娘さんにそのような物を渡す程度ではありましたが

 

やり方といえば、整理券の配布時、整列時をとわず、常に文庫本を手離すことなく、そういう印象を半年単位でキッチリ色付けた後、さもその場で思いついたかのように文庫に挟んである紙のしおりに、ささっとアドレスを書いて、さささっと手渡していたわけです

 

今になれば、想像するだけで悶死してしまうような羞恥プレイですが、その当時の自分は、「我ながらうまいやり方だな…」とほくそ笑んでいたのです

 

 

で、ある日のこと、その大型店でちょいちょい仲良くしゃべれるようになった(笑顔で挨拶できる程度)娘さんに、そろそろ頃合だな、と件のメッセージカードを渡そうと決意します

 

で、このとき、ただアドレスだけだと味気ないから余白に何か書いてみよう、と余計なことを考えはじめたのです

 

 

なんかないかな

 

考えるわけです

 

勘違い野郎じゃありませんよー、

(勘違い野郎でしたけど)

 

根暗でもありませんよー、

(生来の根暗でしたけど)

 

意外ととっつきやすいお兄ちゃんですよー、

(客の誰とも喋れませんでしたけど)

 

という印象を与える、なにか

 

 

アニメだなーと思うわけです

 

万人が認知していて~、

 

嫌味のない感じで~、

 

そして出来ればクスリと笑ってくれる、愛嬌のあるなにか

 

そして、辿り着いたのですよ、あの青い顔をした国民的アイドル

 

 

 

やっぱ、おれすげーわ

 

もう、自分の発想にウットリです

 

完璧だよポチさん

 

完璧すぎて下々のみなさんに申し訳ない

 

美しくて、そして天才で、本当にごめんなさい

 

そんな罪悪感にもんどりうっておりました

 

 

そうして、そのときが訪れます

 

恥ずかしそう風を装いながら、内心では自信MANMAN、そんなメッセージカードを手渡します

 

当日夜

 

即座に来ると思っていた連絡はありません

 

おっかしーなー

 

連絡が来ないなー

 

書いたアドレス間違ったかなー

 

なんてことを考えながら翌朝を迎え、いつものように文庫本を片手に並んでおりました

 

今日も良い天気です

 

今朝の店員さんはいつも以上に笑顔です

 

ああ、みんな美しいものが好きなんだな

 

幸福感でいっぱいです

 

たいして頭に入るわけでもないのに、並びながらも文庫本をちらちら、

 

♪あいむビューティーらららビューティー♪

 

心で唄いながら、舞うように券を受け取り、踊るように華麗にパンをいただきに行きます

 

はい、そのお店では、配布される整理券とともにパンを配るサービスがあったのです

 

そうして、配給を受けるために長テーブルへ向かうと、いつもの2、3種のパンはありません

 

そこにあるのは飛び切りの笑顔を見せている店員さんと、カゴに溢れんばかりのドラ焼き、ドラ焼き、ドラ焼きです

 

一種類だけ変わった、とかではありません

 

フルドラ焼きです

 

二年間ずっと変わらないラインナップだったのが、何がどうして突然ドラ焼き?

 

いつものコッペパンを食べる気満々でいたのでプンプンです

 

朝ですよ?

 

並んでくれた皆様に朝食を提供しようというサービスですよ??

 

どこに朝からドラ焼き食いたがるような輩がいるんですか!!!

 

って、ん?

 

 

 

 

 

俺かーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!

 

 

(注 かなり忠実に再現してあります)