栄華(えいか)と申します。物書きです。初の寄稿ながら、これまで幾度となく皆様の玉稿の中に見え隠れしていた者です。
懇意にしていただいている夾竹さん、じゃじゃさん、まっきゃん、万回転さん、そして安田プロ。五大陸最高峰登頂かというぐらい尊く誇らしい顔ぶれ。いつもありがとうございます。これだけ御縁が深いのに1本も記事を書いていなかったことが不思議なぐらいです。
では。
『悠遊道のテーマ』について書きましょう。
2022年6月からYouTube「悠遊道チャンネル」のテーマ曲として採用されている楽曲です。私がボーカルをつとめる偏愛パチンコバンド「テンゴ」が制作しました。この曲が誕生した経緯を、他ならぬこの機会に書き留めておきたいと思います。ここで書かなきゃどこに書く? という内容です。
制作過程を時系列で
~2021年~
▶5月中ごろ
万回転さんより、楽曲制作の打診。
▶5月後半
メールにて楽曲のイメージをうかがう。「安田さんの名を残す一つの形としてオリジナル楽曲を作り、動画内の定番音楽とするのは悲願」という強い想いを聞き、ぜひお力添えしたいと思う。安田プロともグループラインを作り、制作プロセスを確認。まずは私が歌詞のたたき台を作り、運営陣の皆さまにOKをいただいた後にバンド内で「作曲コンペ」を行うことに。
◆決定事項
・間奏で安田プロがギターソロ(ボトルネック奏法)を弾く
・歌詞に必ず「悠遊道」「旅」という言葉を入れる
・曲調は「悠々とパチンコを遊ぶ」ふわっとした雰囲気
・エンタメとしての楽しさを感じさせる曲に
▶10月末
締切を定めておらず、あっという間に5ヶ月が経過。歌詞のたたき台をようやく提出。運営陣の協議の結果、歌詞は一発OKをいただき、バンド内での作曲コンペへと進む。
~2022年~
▶1月
作曲コンペ開催。バンドメンバー3名が4曲をエントリー。バンマスのヒノヒデキによる厳正な審査により、採用となったのはわたくし栄華の曲!
では、ここで寄稿記念スペシャルコンテンツをお届け。私がコンペにエントリーした生々しい音源を公開します(とてもはずかしい)。
悠遊道のテーマ
バンド内作曲コンペ・栄華の応募作
久しぶりに聞きましたが、要所要所けっこう変わってますね。私はコードや音楽理論などの知識がなく鼻歌で思いのままに作曲するので、なにかしら音楽としてヘンな箇所があるんですね(意図せず転調したり拍子がおかしかったり)。そのあたりはバンマスのヒノが華麗に修正。
▶2月下旬
仮アレンジ仮ボーカルにてデモ音源が完成。運営陣に共有し、OKをいただく。
▶3月
安田プロのギターソロ収録。実は安田プロは昨年から爪を傷めておられ、回復をお待ちしていた。めでたくギターを弾ける状態となったので収録。音楽に精通した悠遊道メンバー、K.S.YUKIさんがエンジニアとなってくださる。
ほぼ同時期、万回転さんより『悠遊道のテーマ』のMVを制作したいとのお申し出。テンゴの拠点である京都まで撮影に来てくださり、バンマスの自宅にて撮影。収録後は3人で食事をして交流を深める。
▶4月10日
安田プロのギターソロ音源が届く。哀愁と旅情、その奥に彼の生き様がにじむ演奏。ミックス作業に入る。納期は4月末日までと決定。
▶4月28日
『悠遊道のテーマ』納品。メロディは長年愛聴してきた昭和20年代の流行歌に着想を得たもの。並木路子の『森の水車』を思い浮かべながら作曲し、そのイメージをバンマスのヒノが的確にアレンジで表現してくれた。万回転さんは「ボクの葬式に流して欲しいくらいに忘れられない一曲になっている」と言ってくださいました。
▶6月
動画の中で曲が使用されはじめる。
▶8月17日
『悠遊道のテーマ』MV公開。
発表後の反応とこれから
MVが公開されてすぐ、とあるユーチューバーさんから「テンゴの昭和感ある曲をYouTubeで使用させていただけませんか」というお問合せをいただき驚きました。「楽曲提供はご縁のある方のみで、『悠遊道のテーマ』のような曲調の楽曲はCDに収められていないですよ」とお返事したらそれっきりでしたが…。
悠遊道チャンネルでは、納品から3年以上経った現在も楽曲を使ってくださっており、レトロパチンコファンの皆さんに「悠遊道のテーマを歌ってるバンド」としてテンゴを認識していただく機会が増えました。テンゴにとっても大切な曲になり、自然にバンド内から「次のアルバムに収録しよう」という声があがりました。
悠遊道chバージョンは、バンドサウンドを抑え、ドラムやキーボードを打ち込みにすることで昭和歌謡らしさを意識した編曲でした。アルバム収録にあたって再アレンジを施し、メンバー全員で演奏。「悠遊道の象徴」として曲に命を吹き込んでいた安田プロのギターソロを封印し、ヒノがソロを演奏することで、テンゴの楽曲として新たな旅を始めた気がします。
さらには、アルバム全10曲中、この曲のみゲストミュージシャンを迎えてレコーディングを行いました。そのミュージシャンは、私の高校時代の女友達。テンゴのライブを観に来てくれた彼女が悠遊道のテーマを聴いて「あの曲を一緒に演奏したい」と申し出てくれたのです。彼女が大学時代から弾いている楽器は、バンジョー。
アメリカのブルーグラスやカントリー音楽に欠かせない楽器ですね。これがもう、悠遊道のテーマに狂おしいほどピッタリ。いまニューアルバムのマスター音源を聞きながら原稿を書いてますが、バンジョーが入らないこの曲が想像できないほどです!
なんと友は、7月のレコ発ライブにゲスト出演し、バンジョーを生演奏してくれるそうです。高校時代の私たちに「あんたら、40年後にパチンコバンドのステージに立って、ボーカルとバンジョーで共演するよ」と教えてやったら想像力が追いつかずキョトンとすることでしょう。現在、存在、ふわりと先へゆく。こんな経験ができるのも『悠遊道のテーマ』を作らせてもらえたおかげです。ありがとう、これからも大切に演奏します。
テンゴ ニューアルバム「なななななな」
令和7年7月7日発売
公式通販:https://2ten5.thebase.in/items/110626777
-プロフィール-
パチンコを介さないと世界を把握できないフリーライター。主な執筆媒体は『パチンコ必勝ガイド』。全国3300ヶ所以上のパチンコ関連物件を探訪。パチンコ店のマッチラベルや特殊景品、パチンコ書籍の蒐集家。偏愛パチンコバンド「テンゴ」のボーカリスト。著著『八画文化会館VOL.7 I ♡ PACHINKO HALL パチンコホールが大好き!!』(八画出版部)、『偏愛パチンコ紀行』(釘曲げ出版)。もう一度打ちたい台は平和の『CRブラボーファイブFJ』、藤商事の『CRAサンダーバードウィングD』。