昨年の12月末をもって「検定・認定」が切れている所謂“みなし機”が撤去されました。押し順ナビが絡むような高射幸性と指摘されていた機種は既に撤去されていたので、残っていたのは穏やかなタイプが中心。射幸性を求める大多数のユーザーからは“冬の時代”と揶揄された5号機初期を支えた機種たちです。私は大好きな機種たち。長い間、楽しませてくれてありがとう!

同時期、一足先にホールの主戦機種となっていた『アナザーゴッドハーデス』や『バジリスク絆』も外されることとなりました。こちらのほうがセンセーショナルなニュースとなっていましたね。

“新しいものしか楽しんじゃダメ”若い人たちが歴史を振り返る機会も許されない。クラシック音楽は古いから禁止。映画も何年以内のものに限る。そんな話あります? だからパチンコ・パチスロは“文化”になれないんだよ……くらいに思っていました。2006年の撤去を振り返ると今でもそう書いてしまいます。しかし、最近は考えが少し変わってきました。

 

来年1月末まで続く撤去ラッシュは、IR関連から派生した“ギャンブル依存(正確にはギャンブリング障害)”問題の対策を目的とした6号機への遊技機規則改正が原因なのは皆さんご存知のことでしょう。

ギャンブリング障害を疑われる人数についても、ニュースなどで目にされたことのある方も多かろうと思います。自分は大丈夫なんだろうか。コントロールして楽しんでいるつもりだけど、周囲の人間の目からは人数に数えられているんだろうな。思いは様々あろうかとは思います。

厚生労働省が2014年に発表した推計値は約536万人。2017年の推計値は約280万人。その大半はパチンコ・パチスロと言われています。まだ学術としては発展途上なので、この数や変動については議論の余地があるかと思いますが、それはさておきましょう。「これだけいるから」などミスリードを誘って持論を展開したい人の材料とされている数字なのは事実ですけど。

数字が大きくなっているのは、生涯で一度でも疑われるような時期があった人をすべてカウントしているからです。2017年の調査では、過去1年に限れば推計約60万人とも発表されました。約280万人のうち約220万人はギャンブリング障害が治癒していることになります。治療をしたから? ごくごく少数かと思います。大半の方は自然治癒しているのです。だから安全なものと言うつもりはありませんよ。

 

なぜ自然治癒をする割合が高いのか。その答えの一つとして、度重なるレギュレーションの変更と、のめり込むほど好きだった機種の撤去もあると考えるようになってきました。

新しいのは、前のほどでもないから。使う金額はこれくらいにしておこう。そんな感じでコントロールギャンブラーと変わっていくケースが往々にしてあるのでしょう。というか、あります。キャリアが長くなると、誰しも「あの頃は打ちまくってたな」なんて思い返せる時期が過去にあるものです。そう考えるとレギュレーションの変更による機種の入れ替えも仕方ないのかなって思えるようになってきました。依存問題の重症化を予防し得る対策としては。

それだけに、どのレギュレーションでも際限なく突っ込んでしまうのは、ギャンブリング障害としては重症といえるかもしれませんね。RSN(リカバリーサポートネットワーク)に電話をすれば、その人に合った適切なアドバイス(医療機関などの紹介を含め)を受けられます。セミナーなどで何人かのお話を聞かせていただきましたが、真摯に向き合ってくれています。

 

私も勉強中でして。勉強するほど一概にこうと決めつけられないことが分かります。こういう話を書くのが難しいと感じております。そして、治療現場の専門家の方々にもパチンコ・パチスロを少しは理解しないと……という空気を感じております。実際、この話。自然治癒をテーマにした勉強会で発言させていただきました。

治療現場の方々がこの専門サイトの文章を読むのはプレミアム級の確率と思いますが、多くの方を介在してでも「パチンコ業界側から見た、自然治癒の一因」が伝われば良いなと思います。知らない人から見れば、いつの時代も同じ玉を打ってるだけにしか見えないでしょうし。謎な部分でもあると思うんですよね。