パチンコ機 (パチスロ機) から発せられる様々な効果音は打ち手にとって、その機種を打ち込めるか否かにまで影響を与えるものと考えております。無論、釘が良ければそれでいい、良く回ればそれでいい、効果音なんて関係ないと、そのような考え方もアリと言えばアリでしょうが、パチンコ、パチスロを楽しむという観点からすれば音という要素は欠かせないものと思います。

 入賞時の音がいつもと違ったり、当たりを示唆する音声が入ったり、もはや今となっては当たり前の演出ですが、一昔前はピコピコとした電子音に合成音声が入るくらいで、まあそんな程度でもそれなりに満足していたものです。いつの間にか音源やサウンドを制御する内部的な仕様に余裕ができたのでしょうか、平成初期、90年代中頃、SANKYOから新枠を身にまとった機種が登場しました。ナスカ枠で検索すれば幾らでも出てくることと思いますが、当時はかなり衝撃的でした。

 左右ステレオで音質も確かFM音源で低歪、デザイン的に見ても非常に秀逸でパチンコもここまできたかと、感動したのを覚えています。機種は単なるノーマルのデジパチでしたが、いずれはどの機種にもこの枠が採用され、他メーカーにも影響を与えるだろうと思っていました。まあ、その後しばらくは特に大きな変化はなかったと思うのですが、液晶画面が大型化するにつれ、台枠も派手なものが多くなり、それにつられてと言っては何ですが、効果音もスピーカーからの聴覚のみならず、画面からの視覚と合わせて、より打ち手の気分を高揚させるようなものに進化していったと思います。そして今日、タイアップ機種が増えたこともあり、その世界観を表現するためにまずは液晶画面の大型化、心地の良いサウンド、そしてそれらを生かす台枠デザインとまさに三位一体化されたわけです。

 また、歌パチに代表される、効果音だけでなく、楽曲そのものを採用、活用した機種が出て久しいですが、タイアップされたアーティストのファンからすればいやがおうにも興味はそそられることでしょう。パチンコ機やパチスロ機に採用されたことによって、ほとんど無名のアーティストが注目されるようになったという意外な効果もあります。花満開シリーズは個人的にもお気に入りなのですが、Clairさん、どこに行ってしまったのでしょうか。

 もう10年以上前になるのですが、響三姉妹という機種がありました。誰もが知っている有名な曲やフレーズが使われているのですが (厳密には歌パチではないでしょうが)、かなり打ち込んだことを覚えています。甘デジ版の実機が安くなったから購入し、しばらく遊んでいたらスーパーリーチの途中で画面が固まるようになってしまい、解除するには電源を切るか、何かしらの手段で初期化するしか方法はなかったような……。あまりに不便なので泣く泣く処分したのですが、音よし、歌もよし、三姉妹もよしと、いい機種でした。

 この機種は右図柄がスベッてリーチがかかると信頼度が大きく上がるのですが、その際には野郎の声で「スベったー」との音声が流れます。野郎の声よりも可愛い三姉妹の声の方がいいだろうと何度か思ったものですが、それでも当たりに結びつきやすい演出だけに、実際のホールでも威勢のいい野郎の声が聞こえて右図柄がスベると大いに期待してしまう自分がいました。調子のいいものです。

 響三姉妹は確か平和のオリジナルで (使用楽曲は別)、タイアップなしでも十分楽しい機種が作れるのだから、高額な版権料がかかるタイアップ機種に頼らず、各メーカーはオリジナル路線を中心に頑張ってほしいものです。昔から言われていることですが、新台価格の高騰はタイアップ路線で本来なら不必要な金がかかることも影響しているわけで、高価な新台を購入したホールも結局長期稼働が見込めないと客に還元することも難しくなるわけです。

 ちょっと話が逸れましたが、今や存在感を増す専用枠に大画面液晶は当たり前、派手に輝くLED、そして心地のいい効果音やBGM、曲が演出効果を一層高めています。今後もこういった路線が続くでしょうが、10年経っても、あの確定音が良かったとか、あの曲が良かったとか、あの野郎の声が聞こえた時が良かったとか、そんな思い出話を語ることのできる機種を作ってほしいものです。