喫煙者の多いこの業界だけあって、最終的に着地点がどのようになるのか注視している業界人も多いと思う。それにしても、一昔前はパチンコ店と言えばタバコの煙が蔓延していたような印象が強いのだが、近年は煙を吸い込む灰皿や分煙ボードを設置しているホールも増え、環境的には格段に良くなっていると言えよう。改正健康増進法の全面施行はオリンピック前の2020年4月だが、それまでにホール環境はどのように変わるのだろうか。

 厚生労働省健康局は昨年12月21日から本年1月19日までの間、「健康増進法の一部を改正する政令(案)」等に関する意見の募集(パブリックコメント)を行っている。

 意見の募集対象は、

・健康増進法施行令の一部を改正する政令案(概要)

・健康増進法施行令及び消費者庁組織令の一部を改正する政令案(概要)

・健康増進法施行規則等の一部を改正する省令案(概要)

・健康増進法の一部を改正する法律附則第3条第1項の規定に基づき厚生労働大臣が指定するたばこ(案)(概要)

 この中の「健康増進法施行規則等の一部を改正する省令案」では、「喫煙専用室等におけるたばこの煙の流出防止にかかる技術的基準」として以下の基準が示されている。

・出入口において室外から室内に流入する空気の気流が0.2m毎秒以上であること

・たばこの煙(蒸気を含む)が室内から室内に流出しないよう、壁、天井等によって区画されていること

・たばこの煙が屋外又は外部に排気されていること

 なお、施設内が複数階に分かれている場合は、上記基準に代えて、壁、天井等で区画した上で、喫煙階と禁煙階を分ける取扱いも可能とするほか、施行時点に既に存在している建築物等であって、管理権限者の責めに帰することができない事由によって上記基準を満たすことが困難な場合は、一定の経過措置を設けることなども付記されている。

 同省令案では、紙巻きたばこと加熱式たばこの喫煙室の技術的基準が同等になっているため、パチンコホールにおいて仮に加熱式たばこ専用喫煙室を設けた場合でも0.2m毎秒以上の空気の流れや給排気設置が求められることになる。

 意見募集期間は平成30年12月21日(金)~平成31年1月19日(土)。電子政府の総合窓口の意見提出フォーム、郵送(期間内必着)、またはファックスで意見を提出できる。~以上、web-greenbeltより引用~

http://web-greenbelt.jp/news/detail.php?n=00011022

 0.2m毎秒以上の空気の流れや給排気設置が求められるとしても、フロア全体を加熱式たばこ専用の喫煙室とすることができるので、複数階フロアを持つホールにとってはこれを利用しない手はないと思うのだが、日本禁煙学会は煙が下の階に漏れることがあるとし、反対の要望書を厚生労働省に提出している (2018年12月20日 朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASLDN5VJBLDNULBJ00J.html)。

 まだまだ一悶着ありそうだが、まあ個人的にはオリンピックが全ての発端だと思っている。無論、オリンピックが悪いとは言わないが、国際的なイベントが行われるとなれば世界的な潮流に反することはできないだろう。受動喫煙対策しかり、ギャンブルの透明性しかり、である。前者はますます規制が厳しくなり、後者のとばっちりがパチンコだ。

 換金頻度を少しでも減らしたいのが警察庁の本音だろうが、今更一般景品を目当てにパチンコやパチスロを打つユーザーがどれほどいるのだろうか。おまけに一般景品上限1万円の壁がある。それでも換金需要を抑えて一般景品の流通を活発にしたいのであれば、等価や等価に近い交換率をやめさせればいいのだが、それには業界側が猛反対するだろう。

 今更40玉交換時代には戻れないのは分かる。ただ、本気で庶民の娯楽を標榜するならば、そのくらいの覚悟も必要だろうと思うが、どうだろうか。