遊タイムあるなし論ってなんぞやって人はまずこちらを。

なんでみんな遊タイムが嫌いなの?

まず大前提として好き嫌いの話をするなら、それは個人の自由だしそこに横やりを入れるのなんてそもそも野暮だと思う口。

だもんでまずはそこはしっかり切り分けた上での話。

ボクは天井は嫌い。ハイエナも嫌い。これは誰に何を言われようが変わらないし変える気もない。それを誰に理解される必要もないし、何を言われても好きにしてとしか思わないからそれでいい。

ただ、パチンコ業界としてって話なら考えるべき論点はそこじゃないと思います。

選択肢が他にあるんだから別の台を打てばいい論も、低貸しを打てばいい論もそれは「趣味として負ける事を前提にしている人」の範疇の話であって、遊タイムが業界にとって必要か否か、の話とはズレています。

大前提としてパチ・スロはギャンブル

そもそもパチンコ・パチスロは建前がどうであれ、ギャンブル。つまりお金が直接的に増減する遊びです。

そして、ギャンブルはあくまでも人間の「お金が欲しい」「勝ちたい」という欲を刺激するから成り立つ遊びです。これは、タンポポさんやノスタルジアさんのようなゲーセンよりもホールの数・顧客の方が圧倒的に多い現実が全てを物語っていて、論じる必要すらない話だと思います。

だから、業界としてという視点で言えば、最も大事なポイントは

「ギャンブルを求める層を如何に公序良俗に反しない形で増やしていくか」

だとボクは思っていて、遊タイムの議論もそこに根差した物でなければなりません。この大前提が違うという人はディズニーランドでもスーパー銭湯でも、ご自身の好きな遊興施設で、ホールと同じ時間滞在し、出費の差を比べてみて下さい。

ホールの時間単価(台粗利/時間)は2,000円~。こんなに時間単価が高いサービス()、そうそう世の中にありません。

他のギャンブルと大きく違う点

ただ、パチンコ・パチスロが他のギャンブルと大きく違う点として、忘れてはならないのは、

「庶民が気軽にできるギャンブル」であり

「毎日出来るギャンブル」であり

「日常的な娯楽のレベルだから民間運営が許されているギャンブル」という事です。

ギャンブルというのは「勝てるかもよ?」を匂わせて、欲望を刺激して最終的に胴元が儲ける仕組み。その匂わせ方、お金の取り方は様々です。

その上でパチンコ業界を大きくしたいなら「客単価」×「遊技時間」×「遊技客の数」=売上なわけですからこの内のどれかを増やしていくしかありません。

18歳以上の人口が約1億人いる中で、パチンコ・パチスロの遊技者は1,000万人前後を推移しています。つまり1割前後しかいないわけですから、まだまだ増える余地はあります。実際、ピーク時には3,000万人の遊技人口がいたわけですから。

しかし、現在の客単価を3倍にする事や・お客一人あたりの遊技時間を3倍にする事は警察庁が求める「娯楽の範疇」を超えてくる可能性が高く、そこは民営ギャンブルたるパチンコ・パチスロの宿命として求めてはいけない部分でもあります。

パチンコ業法を作るなら話は別ですが、現状の枠組みの中で業界を盛り上げるなら「数=客」を増やす事が至上命題だと思います。

そして、もう一つ大切な事としてパチ・スロは既に「勝つ方法が確立されているギャンブル」という点も忘れてはなりません。

遊タイムの稼働率データに潜む見えない数字

さて、随分前置きが長くなりましたが、上記を前提に本題である「遊タイム」は業界にどう寄与するのか。

結論から言えば「明確なデータが無いから分かりません」としか言えません。

なぜなら機種の人気も業界としての遊技人口の増減も、1機能である遊タイムだけに左右されているわけではありませんし、ここを正確なマスデータで表すことは困難だと思うからです。

ただ、枝葉を一つ一つ見ていくことはできます。その内の一つである機種別の全国稼働率(out数)を、遊タイム付き・無しの機械全体で比較すれば優劣を見る一つの指標にはなると思います。もしくは、著名版権の同シリーズ内で遊タイムの有無による違いをデータ比較しても見えてくる部分はあると思います。

この辺りはメーカーさんなら当然やっている事と思いますが、一般ユーザーであるボクの手元にはそんなデータがないので、そこはどちらが良いのか知りたい部分でありますが……

ただ、こと遊タイム機においては、その稼働率の中に「どれだけハイエナの稼働が含まれているか」は合わせて見なければいけない数値です。稼働を積み上げるという意味では同じですが、ハイエナは明確に勝ちにいく側の人間ですから、それを遊タイムの支持率と勘違いしては絶対にいけません。

だから遊タイムの有用性について業界人が語るならば、まずは

「ハイエナが稼働している割合とそれによる悪影響」について正確なデータを示してから話して欲しいと思います。ホール、そしてメーカーは胴元なわけですから、お客を明確に色分けして良い立場なので、その上で必要な顧客がきちんと増えているというなら納得するだけの話です。

ユーザーの色分け

ただ、ユーザーサイドからの視点はまた違います。ボクはユーザーを以下のように分類しています

 

—–以下、トータルで勝っている層——

1.ゴト等の違法行為に手を染める人

2.極めて一部の人しか出来ない攻略系のネタプロ

3.パチ・スロを金稼ぎの手段としてかみていない軍団の親玉層

4.パチ・スロで食っているパチプロ・ライター・演者等

5.兼業だが自力で勝っている層

6.技術も情報も他人頼みだが結果的に勝っている層(打ち子・エナ専等)

—–以下、トータルでは負けている層—–

7.趣味の範疇で勝ち負けを楽しみ、生活を破綻させない層

8.依存症的に負ける層

 

勿論上記が入り混じるケースも多いのでそんなにシンプルな話ではないですし、勝っている層をひと括りに業界の敵とも思いません。

ここで問いたいのは1から8まで全部ユーザーサイドだけど、業界にとって必要な人々って誰よ??って話です。

まず、大前提として負ける人が多くなければ成り立たない産業なので、7は当然必要。しかし8は多すぎてはいけません。なぜなら冒頭に書いた「公序良俗に反する」宿命論に回帰するからです。

射幸性・賭博性を高めると必ず7から8に落ちる人数が増え、社会問題になる。その上での成長が社会から容認されない事は歴史が証明しています。これは、現行法内のパチ・スロが逃れられない宿命です。

そして、先に述べた通り、パチンコ・パチスロが勝ち方が確立されているギャンブルである以上、勝つ側である1~6をゼロにする事も不可能です。

業界にとって必要なユーザーはどれ?

当然、違法行為をする1は論外。そして2は究極の存在だと思っていて、P-SPORTSなどが今後盛り上がる事があれば、そこで脚光を浴びる事があるかもしれませんが、今のところは極めて少数である為、正直なところいてもいなくても業界へ大きな影響をもたらす存在ではないでしょう。

 

では、3~6は必要でしょうか??

 

3.パチ・スロを金稼ぎの手段としている軍団の親

4.パチ・スロで食っているパチプロ・ライター・演者等

5.兼業だが自力で勝っている層

6.技術も情報も他人頼みだが結果的に勝っている層(打ち子・エナ専等)

 

この中で業界にとって必要な層というのは、7の「負けてくれる人を増やす事が出来る人」だけではないでしょうか。

その意味においては。4のように人生をパチ・スロに捧げている側面がある人々は業界へのリスペクトが根底にあるし、自分が業界から分け前を貰う以上に7を増やすべく努力します。

そして、7を8へと突き落す事がないよう様々な発信・手助けも行うわけです。

そうやって勝てる人がいる、ユーザー側の華やかな一面としてライター・演者という仕事が生まれているという事も、未体験ユーザーを誘引する要因になるのは「必勝ガイド」「攻略マガジン」らファン雑誌と、数多のライターたちが示してきた事実だと思っています。

その意味においては、勝ち組の中で唯一業界と利害関係が一致している側面があるのが4の層です。5も「自力」が前提であるから4に近い存在。

そして、この層は基本的にそれほど増える事はありません。

演者・ライターは誰でもなれるほど簡単ではないし、パチプロ(兼業)という生き方もやれない人が多いのはパチプロ経験者ならみんな分かる話だと思います。勝ち方の理屈は知ってても、そこまで徹底できない・したくない人が多いからです。

ただ、3は非常に異質な存在です。仮に業界へのリスペクトがあったとしても、もたらす悪影響が大きすぎます。そして、現場を見てきた経験から、3がやれるような人の人間性は1に近い。パチ・スロが稼げなくなればさっさと退散するだけの存在です。そして、彼らは7の層が勝つ機会を必要以上に奪い、時に8へと突き落とす側面があります。

もし本当に軍団の長が周囲からリスペクトされ、ファンから支持される存在であれば、日本最大級の軍団組織の長が某ファン雑誌の面接を落とされたりしないし、そういった存在がもっと公に出てきています。しかしそうはならない。どの層のユーザーからも支持されていないからこそ表立って出てこない(これない)わけです。

他方、6もまた異質な存在。

遊タイムに限らず「ハイエナ」は、頭を一切使わずとも誰でも勝てる方法だから、やろうとする人は当然増えます。そして、6と3の層は人としての本質が呼応する側面があります。根拠は以下。

After SPコラム~分断の狭間で~/万回転

6に甘んじる層というのはそもそも4になれない(徹底できない)人だから、技術も店選びも必要ないハイエナという方法論を選ぶのだし、搾取される側であっても軍団の中で楽をしようとする。

こんなもの、数多の現場を見ていれば嫌というほど分かります。人間の本質に直結する話なので。

結局行きつくところはユーザー軽視

ボクの身勝手なユーザー視点によるユーザーの色分けは、機種の面白さや人気・稼働の有無とは一切無関係です。

その上で「遊タイム」は業界にとって不要に見える3や6の層を確実に増やしているわけですが、それって業界に必要ですか?と問いたい。

遊タイムはこういった構図を助長する機能にしか見えないから、経験のあるユーザーが揃って声を上げるわけです。

Twitter界隈が特殊だとかそういう問題じゃない。業界側から「遊タイムがもたらす副反応よりファンを増やす事に貢献している」という納得のいくデータなど何一つ出てこないからこういった声があがる。

ただただ「ハイエナ稼働分をきちんと抜いた上でのデータ取れよ」って話なわけですが、それは示さず業界側の都合や個々人の趣味嗜好で、業界人が一般ユーザーに「お前らは業界を分かってない」ってマウントを取りに来るんだから、そりゃイヤにもなりますよ、と。

こんなのユーザー軽視以外の何物でもないと思います。

本来であれば、不要なユーザーと思える3や6の層に関するデータ・対策を法人ごとで集め、知見を組合等で共有し業界全体としての対策を講じる。こういった流れになるのが普通だと思うのに、なぜかそうはならない。

古くは裏物の貯金方式や4.7号機のストック機、以降5号機でも6号機でも延々と繰り返されてきた結果、減り続けるユーザー人口を見てきて、パチンコにもその世界を持ち込むことを良しとするなど、長年パチスロの現場を見てきた人間の感覚的にはあり得ないんですよね。

で、遊タイムの現場は案の定じゃないか、と。

遊タイム否定派が薄々感じつつも言葉にしない事ってココじゃないかと思うんです。

実際に嫌な思いをしている人が多数いるなら、まずはその声に真摯に耳を傾けて対策を練る。そうじゃない面(業界としての良い面)があるならそれを示せって話なだけなんですけどね。

20代・30代の方で、ハイエナを忌避している否定派の人たちが今見ている景色って、何度もこれまで繰り返されてきた話なんですよ。今から40年前、1980年代~95年頃までの「3000万人時代」には無かった話。

今残っているユーザーの多くは残念ながら非常に狭い半径でしかデータなど持っていませんが、周りで辞めていった人を見続けてきたという事を忘れないで頂きたい。

業界内で業界人に囲まれて過ごしている人々とユーザーではそのくらい見ている世界が違うし、温度差がありすぎるように感じます。

パチ業界へも造詣が深い木曽氏のチャンネルで述べられた「パチンコを辞めた理由」ですが1位は経済的理由、2位は面白味。

経済的理由とは言わずもがなパチンコに使うお金がない事であり、面白味の中には「勝てなくなった(勝つ頻度が減った)」も、冒頭に述べた通りギャンブルである以上、当然含まれるでしょう。

それが7割弱を占めています。

そして、こちらを見てもパチンコを始めるキッカケとなるのは友人等の「近しい人」がいるわけで、「自分で」という人はわずか12%しかいない。

今のパチンコ・パチスロは、未経験者が入場しても何の案内もなければ、自ら積極的に聞いても本当に最低限の事しか教えてもらえない。そんな中で初心者が大きく損をするシステムが遊タイム。遊タイムを懇切丁寧に説明して、それを初心者が理解できると思いますか?

誰かの手引きがあって始める人がほとんどなパチ・スロの、口コミでユーザーを増やす大本たる今も残るユーザーの満足度を高めずしてお客が増える道理などありません。

遊タイムが必要な(お客を増やす)理由、誰か教えてもらえませんか??