発端はこちら。

そうです。今週もよそ様の話題に乗っかりネタを仕入れるボクです。

ユーザーが上手になりすぎた説は、一理あると思います。でも百里くらいある中の一理でしかないので、掘り下げてみよー、というのが今日のテーマ。

さあて、今週のサザエさんは?

1.ユーザーが上手くなったは本当か

2.人口減と景気とユーザー数の関係

3.どうする?パチンコ業界

をお届けします♪気が向いたら最後まで見て下さいね♪ンガグッグ。

1.ユーザーが上手くなったは本当か

まず、何を持って上手になったか、という定義自体が難しい。

手打ち時代の上手さというのは

・釘読みの上手さ

・打ち出しの正確さ

・打ち出しの速さ

でした。戦後のパチンコは、デジタルを介さないアナログな台しかなく、かつ構造もシンプルでしたから、当時のプロが勝つ為にはこれしかありません。

その後、電動ハンドルで誰もが同じ速さで打ち出しが出来るようになり、低迷期を経て羽根物や一発台などが人気を博すようになると

・釘読み・クセ読み

の重要度が高まりました。そして、まだ機械的に未熟だったデジパチは、ボタン攻略や単発打ち等の致命的な攻略を受けるようになります。しかし、徐々にそれらの欠陥が塞がれ、デジパチ全盛期になると

・ボーダー理論が重要になり

・小技の止め打ちが重要になり

・時折現れるアナログ機が穴を突かれて思いっきり食われる

そんな時代へと移っていきます。プロに大いに食われたアナログ機は多々あれど、それらは決して業界の主流ではなく、90年代のCR化以降、作り手のメーカーも、使うホール側も、プロやゴト師への対策が面倒なアナログ機を捨て、管理が楽なデジパチ一辺倒へと突き進み、今に至ります。

ここで注目して頂きたいのは年代。90年代に始まったデジパチの主流化から2023年現在まで、もう30年もたっているという事です。大当たり確率も確変連チャン率も諸々が全てデータ化されて「ボーダー理論さえ理解すれば勝てる」世界になって早30年

それで、どうしてお客が負け続けてくれるとメーカーやホールが思っているのか、ボクは不思議でなりません。

パチスロの世界も同じで、3号機までの機械的に未熟な部分を突く攻略も、4号機のビーナスラインやコアのような、配列の欠点を突く破壊的な攻略もとうに消え去りました。今はあくまでも機械割と打ち出すポイントで変わる期待値の揺らぎ、一部に目押し力、それだけで勝ち負けが決定する「小学校の算数レベルの世界」でしかないのに、そんなデジタルな根幹が30年変わっていないんです。

ツラは大きく変わりました。

映像は綺麗になったし、サウンドの進化もスゴイ。操作性の向上も特にパチスロは目覚ましいものがあります。仏壇化やらオモチャうんぬんはどうでも良いとして、この30年間も、様々な進化が見てとれます。

でも、この30年の進化と、それ以前の40年の進化では意味合いが全く違います。

かつて正村ゲージが生まれ、ジンミットが生まれ、チューリップが生まれ、羽根物や初期の権利物、一発台が生まれた戦後のパチンコ史40年を紐解くと、決して机上の計算だけでは測れないアナログの妙がそこにはありました。だからこそ、人々は銀玉の動きに翻弄され、魅了され、その道に心底邁進した人でなければ勝てない、ぽっと出の素人を打ち子に使ったって勝てやしない世界がありました。戦後の40年は、勝ち負けの大事な根幹が時代時代で変わっていき、それがゲーム性にも繋がっていました。

しかし、直近の30年は、その根幹を変える事を放棄しました。

情報化による総セミプロ化も容易な軍団化も、メディアの発達そのものが主要因ではなく、算数で済むレベルの構造を30年変えてこなかった業界の怠慢であって、そりゃ当然上手くなるよね、皆。

パチンコ業界にとって、正に失われた30年です。そして、衰退の幅は日本社会の比じゃないレベル、というのを指し示すのが次のデータです。

2.人口減と景気とユーザー数の関係

これは自分でも一度きちんとデータとして持っておかないといけないテーマだと思ったので調べてみました。

まず、生産年齢と呼ばれる15歳~64歳までの人口はこの通り。

生産年齢人口は1995年の8,716万人がピークです。

そして、パチンコ・パチスロの遊技人口は、同じく1995年がピークで、2,900万人というデータがあります(出典:日本遊技関連事業協会

肝心なのはそこからどうなっているか。

総務省のデータによると生産年齢人口は、2021年で7,450万人。1995年比で約85%まで減少しています。

もうこの時点で頭を抱えそうになりますが、2021年のパチンコ・パチスロの遊技人口は837万人。1995年比でたったの28%まで減少しているんです。(出典:https://amusement-japan.co.jp/article/detail/10002766/

人口は10人中8人に減ったけど、パチンコ打つ人は10人が3人になったという事。人口減がどうこうってレベルじゃないのは明白ですね。

そして、もう一つのポイントが景気。

社会保障費の増大や物価の上昇で可処分所得が減っているのはご存じの通りで、娯楽であるパチンコに回すお金が無くなったとはよく言われます。

そこで、所得や社会保険料負担率、物価上昇等を加味した実質賃金を調べてみると、その推移は下記の通り。

(出典:https://www.transtructure.com/hrdata/20210727/

ピークの1996年から2019年の下落率は83%。確かに減ってはいるものの、人口減と同程度の数値です。

そして、可処分所得だけを見ると、金額そのものはそれほど変わっていないのが下図より見てとれます。

(出典:https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20200827-00193554

人口減が85%、実質賃金の低下が83%。これらを単純にパチンコの遊技人口減少の要因として当てはめると、ピーク時の2900万人から2000万人程度まではこの二つが要因で減少したと言えるでしょう。

人口減に関して言えば少子高齢化が進んでいる社会において、生産年齢人口を見るのは不適切な気もしますが、あえて業界に対して甘く見積もって、この数字とします。

そして、残りの1200万人はどこいった??

その1200万人を減らしたのは「パチンコ・パチスロ業界そのものの問題」に他なりません。

「ユーザーが上手くなりすぎた?」「勝ち方の根幹が変わらなすぎる」「娯楽・賭博の多様化に適応できなかった」「単純にツマンナイ」「ギャンブル化しすぎて遊べない、お金がかかりすぎる」「勝率が低くなった」「先週書いたような演者層への嫌悪」等々、離れていく人の原因は様々と思われ、そこをデータとして細分化するのは信頼に足る資料が無いので不可能ですが、外的要因を除いても2000万人から830万人までユーザーを減らしてしまったその原因は業界自体にあります。

そして、外的要因による減少幅より業界自体の問題による減少幅の方が大きいのは間違いなくて、外的要因を言い訳に出来るのは遊技人口2000万人というラインまでという数字がある以上、それを大きく割り込んでいるわけですから、外的要因は言い訳にならない、と言えるでしょう。

いやはや、データというのは残酷。

自分で出しておいてなんですが、ヒドイ数字だな、と。この30年業界に携わった人々(特に上層部)がこの数字を見て何も感じないとしたら……いや、それ以上はやめておきましょう。

3.どうする?パチンコ業界

衰退の原因をアレコレ述べて、肝心なのは「じゃあどうすればいいのよ?」って話ですが、申し訳ありませんが「それは業界人が考えて」としか言いようがありません。

外的要因はどうにもならなくても、内部に問題がある事は明らかなわけですから、何が衰退要因の一番かという順位付けには全くもって意味が無く、「ユーザーが上手くなりすぎた問題」含め、多岐に渡る衰退要因を全て洗い出し、一つずつ潰し、改善していく他ないのではないでしょうか。

一例がコレです。ボクは、昔のように営業時間外でもお客をホール内に入れて良いよう、ルールを変えた方が良いとずっと思っています。特に大きな駐車場を持たないような駅前店では、店外に並んだ人々が歩道を塞ぎ、ゴミやタバコをポイ捨てする事はパチンコそのものの評判を貶める現象でしかないわけですから、並びも抽選も本来店内で処理すべきものだと思っています。

また、パチンコ・パチスロに興味はあるけど、朝の通勤・通学の時間帯にホールに並んでいる自分を見られる事が恥ずかしい、というマジョリティの感性を持っている人からすれば、あれほどイヤな時間はありません。けれど、それに耐え忍ばなければ、躊躇なく並ぶ方々と同じスタートラインに立てない。その時点で既に参加しない理由が一つ出来てしまっています。

そして、大多数のパチンコをやる気すらない人から見れば、店外に並ばせる事による悪影響が間違いなくあるわけですから、改善の為に関連するルールそのものを自分たちで変えていくのが業界が果たすべき地域社会への貢献であり責務と思うわけですが、どうにもそんな話は聞こえてこない。

むしろ、こうして話題になったり、行列を見せる事が宣伝になると考え、そちらを優先している節すらあります。

子どもの車内放置のように、マスメディアに大きく取り上げられるような社会問題まで発展しないと腰が上がらない業界です。そして、考えているのはお上の意に反する射幸性を上げる事や抜け穴探しばかり。この20年間業界を外から見続けてきたボクの目には、そんな風に映っています。そんな業界が社会に必要とされるわけがないのに、とも。

ーーーー以下ただのの妄想ですーーーーー

最後になりますが、ここで「ぼくのかんがえるみらいのぱちんこ()」を披露しておきます。※無責任なオ〇ニーデスヨー

・ルールの全国統一化

・ルールを逸脱した個人・法人の厳罰化の徹底(ライセンス化)

・換金を含めた納税システムの整備

・上記を業界自らが主導・策定した上で(射幸性ではなく)ゲーム性を広げるための規則緩和・法改正の陳情

・最終的には風営法を脱してぱちんこ業法の制定

こうなったら色々整理された上で、イノベーションが起こる可能性があるのになぁ、と夢想しています。まぁ、こんな事言う業界人がいたら刺されそうな気がしますし、高尾の社長が殺害された事件が未だ未解決なところからも、業界の闇はボクなんかが想像するより遥かに深いでしょうから、不可能と分かって言ってます。ネタですからね!(ココ大事)

現状では、戦後40年のように根幹を変える革新的なアイデアを持つ台を作りたくても、法律がそれを許さない側面があります。だから、まずは雁字搦めなルールの方を変えないとどうにもならない。でも、そうなったのは、これまで様々な社会問題を起こし、お上を欺きつつ、大義より我欲を優先してきた業界自身が招いたものです。

いなくなった1200万人のユーザーは、そうして30年間変われなかった業界の姿勢に見切りをつけたのではないでしょうか。

業界衰退の要因、それは、外的要因も大きい。しかし、間違いなく業界自体の問題が主であり、その内容は多岐に渡る為、「上手くなりすぎた問題」も含め、業界一丸となっての精査と改善、そして法改正に繋げる自浄無くして生き残りの道は無いと思われます。

まぁ、“業界一丸”が、何よりも難しい課題なんでしょうけども。


■万回転 プロフィール

  • 1978年生まれ ♂ 
  • 累計15年間パチプロしちゃってごめんなさい
  • CR銭形平次の捻り打ち動画をアップしてしまいネットでプチ炎上した事を機に安田プロと個人的な親交が生まれ、悠遊道へ寄稿する事に
  • 色々あって完全にパチプロを引退。
  • 現在は悠遊道動画チャンネルの何でも屋

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