もしかしたら、付き合い方を間違えていたのかもしれない・・。

14年ほど前、転職をした初出勤の日の朝のこと。会社指定の駐車場からは送迎バスに乗り換えるのですが、緊張しつつバスに乗り運転手さんに挨拶をして、さて空いてる席はと見回すと、こっちこっちと手招きする年配の御仁あり。

どこかで拝見したような気もしつつ、案内されるままその御仁の隣に座る。

「パチンコ上手いんやって?」「わしは倉が建つほどパチンコ負けてるんや。勝ち方教えて。」そう言えば、パチンコ店の通路で仁王立ちしつつ知人とガハハ笑いしてた記憶が。

以降、通勤途上でマンツーマンのパチンコレクチャーが始まり、さらにお昼時のその御仁ことI氏の居る事務所へ行って、パチンコ談義繰り返す日々となりました。

余談ですが、その初出勤の日、初教育の場で講師をされたMさん。教育が一段落しこう言ってこられました。

私が出勤してくるのを楽しみにされてた、とのこと。それは、既に社員として勤務してたパチ友ケンケンさんが皆に「もうすぐパチンコの師匠が入ってくる」と吹聴してた為でした。

当時の狙い目機種が「CR銭形平次(京楽 1/198)」。その甘さと技術介入性の高さから、いわゆる銭形世代と呼ばれるプロの増殖に一役買ったような台とリンクし、I氏のマイホの銭形で1番回る台を伝授。その台を朝から打つことでパチンコで勝つことができるようになったI氏。

レクチャーの最初の「パチンコ収支を付けること」を守って、必ず結果報告を受け、演出の話が止まらない状態に。私は入社前のことは知らなかったのですが、本来は静かだったバス内だったけど、煩いと感じつつもバス内最年長の強面I氏へ注意する者不在、状態だったとはかなり後で分かったことでした。

そして3年が経過し3年間毎年プラス収支で終えた頃、こう言ったI氏。「わしは今まで、パチンコで勝ってると言ってるヤツは皆ウソつきだと思ってた。でも、本当に勝ってる人が居ることを初めて知った。」

しかし、他人には「自分の腕で勝ってる」とか、1パチのパチンコ好きの人に「1パチ打って連チャンした?1パチで出て何が面白いんや?」とか平気で言ったり。

私へは「昨日はどうやった?」で、負けた、と言えば「ウソつけ」。まあまあだった、と言えば「わしは具体的な数字が知りたいんや」。で、〇円勝った、と言えば「ええのう。奢って」などが当たり前の日々となって行きました。

このようにかなりアクの強い面を持つI氏。お互いの慣れもありますが、私へも短気を起こすなどやはりそんな性格は変わらない。短気はパチンコには向かない。短気を起こして台をどついたりする輩は基本負け組なのでだんだん減る傾向にあるもの。そういう意味では、本来はもう足を洗ってた可能性もあるI氏ではありました。

いろんな逸話も聞かされました。「わしはガラス何枚割ったか数えきれんくらいや。アレって簡単に割れるもんやな。店員がカウンターを飛び越えて突っ込んできたこともあったけど言い返してやったわ。」

「出入り禁止も何回も受けたけど、1週間くらいで行ったった。店員が「出入り禁止と言ったハズ」と言ってきたけど、「ええやんか」で済ませたった。」

「この前打った海、魚(魚群の事)が4回も連続でハズれた。4回やど。あり得へん。1パチの同じ海はよう出とるのにおかしいやろ、と店長呼んだった。店長は、「警察呼びましょか?」と開き直っとったけど、めんどくさいからまあええわ、で済ませたった。けど絶対何かやっとる。」

「昨日の帰り、スピード違反で捕まった。あんな陰でコソコソ隠れてからに。ほんで言うたった。あんたら、こんなトコでわしらあの税金使こてコソコソやってからに。もっと他にやらんなん大事な事あるやろ!」そして2日連続のキップ。帰りの駐車場では、車に乗るや否や誰よりも早く年中冬用のタイヤスリップさせながら出ていくI氏。パチンコ店でも、身障者マークあるスペースが指定場所。

やがて、お昼にI氏の居る事務所へ行くことも、バスの隣席に座ることも止めるように。パチンコの会話は「最近厳しなった。あんたでも勝てんやろ。」を繰り返すようになり、やがてI氏は負けが先行するようになったようでした。

その頃、こんな話も聞きました。「エヴァンゲリオンの甘で、わしの台だけ当たらん。絶対何かやっとる。腹立ったさかいハンドル壊したった。なんか、ハンドル、ブラ~ンとなった。次の日、お客さん、エヴァのハンドル壊しませんでしたか?と言うてきた。よー見とるもんやな。」

えっ、それアカンやろ。というかハンドルって壊れるもんなの?と思った次第。

後日、知人から「某店のエヴァのハンドルが壊れて調整中になってる台がある」と聞いて、アレの事やん、と思い出した次第でした。

さて、社内ではアルバイトの定年規定を改〇してまで居座ったI氏。惜しまれつつ?、期限最終日の翌日が最後になりましたが、そこはタダでは辞めません。そしてその後、風の噂で1パチを打つように。さらには転職先でも上司と喧嘩してヤメた、らしい。

あの時はスケジュールまで立てて勝ち方をレクチャーしましたが、果たしてアレがどうだったのか、正解は分かりません・・。