頭文字D 

知らんもんやからベタに「かしらもじ」て読んでましたが、実は因縁めいたものがあるんです。

ライターとして独立した頃ですので25年以上前の話。某ポータルサイトからエディタとしてオファーがありました。今のようなサブスクもなく、さしすせソネットどしたらできるの。個性的なプロバイダが乱立し出した頃でした。ADSLよりヘタしたらまだダイヤルアップ利用の方が多かったかも時代です。

頭文字Dの映像コンテンツをどうたらで、大抜擢されたわけです。北斗の拳や慶次の原作を知らないと以前に告白しましたが、イニDに関しても年代的にはドストライクな世代なのに知りません。車の知識はもとより、そもそも運転免許さえ持っておらず、先方に伝えると「知らない人が担当してほしい」という事でした。大手からの依頼に鼻息も荒くなったのですが、企画自体がポシャッてしまいます。

不可抗力ではあるものの、この「大きな仕事を逃した」という事実は、意外にも重くのしかかって、イニDは鬼門のような存在となっていました。

そんな訳で一度も打った事がなかったのですが、スロパチTVを見て面白そうだなと、打つ事にしたのです。P頭文字D Non-Stop 3000Editionは、ちょっと難解な仕組み。恐がりの私は打たない類いの台ですが、スロパチメンバーの説明がわかりよく、ようし、打ってみよう!とゼロゼロから挑んできました。

回りは均して21回転。むちゃくちゃ回ってるとは言えませんが、ボーダーはクリアしてることですし、しばらく打ってみる事に。カスタムは「先読みチャンス」をチョイス。

案の定、なーーんも起こらないんですが、おっ、ヘソ入賞時に!これ、なんて言うんでしたっけ、エイリやんボタン?ギア?頭のてっぺんが赤く光りました。女同士のカーバトルになって、何の盛り上がりもなくスン……。完全に当たると思ってたココロが宙に浮きます。だって「大」が付いてんだから、そりゃ期待もしますよ。

その後にギアぶるぶるや、ステッカーを出せ!みたいな思わせぶりもありましたが、ハズレ。これって、あまりにも代わり映えしないので、申し訳程度にひり出した演出ではないか。時間調整としか思えない。

「紙コッブの水をこぼさずドリフト出来る」て。だからなんやねん!ははーん。どうやら伝説の走り屋が豆腐屋でその息子も凄腕のようだ。いつか豆腐屋を継ぐのかな。原作を知らないが故に、ファンが激怒するようなしょーもない事ばっかり浮かびます。

カスタムのせいもありましょうが、とにかく何も起こらない。早くカラクリ峠のヘアピンカーブを攻めてくれへんかなーとか、ナイスバデーだけどデブじゃないわよ!言ってみてえ台詞だなーとか、あたいは頭文字M!とか、くだらない事を考えていました。

3倍ハマリで単発喰らって、まだヤメずに打つ事に。回りもありますけど、純粋に「悔しいから」です。ライトミドルだし、次は比較的、軽めに当たるんじゃないかって。ほんと、パチンコってよく出来てますね。

とにかく「保留絡まないと、ヘソ入賞時の赤はダメなんだな」という悲しいクセがつきました。客にそんな切ない想いをさせやがってえええ!ドングリ峠の必殺S字カーブで、白い服着て突っ立っといたろかい!貞子なったろかい!

結局、隣がオスイチ決めて完全にやる気を失いました。ね、あるあるですよ、状況悪い台の隣はすぐ当たる説。

私だって、あれはいつのエヴァだったか、ふらっと座ってワンプッシュでカヲルくんが出てきて当たった事がありました。お隣の若い男性が、ハッキリと「はああああ」とガックリ崩れて、えっと思ってデータを見たら千ハメしていたのです。あの時は申し訳なかった。彼は絶対に「オバハンがオスイチさせよった!」と友人知人にボヤいたでしょう。あの時のお兄さんの気持ちも理解できるようになりましたよ。

さぁて、1/896となった所でヤメ。さようなら、かしらもじ。最初で最後のプレイでしょう。しかし私の中で滞ってた過去が流れてくような気になって、ちょっとスッキリ。

いつもより高い方のお豆腐を買って帰りましょう。そして駐輪場でママチャリをドリフト止めしようとして、転びそうになるのでした。


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