玩具業界最大の激震、と言えば、ほぼトランプ・花札のみのメーカーだった任天堂からファミコンが出された時のこと。それまでのゲーム機はせいぜいアタリのモノクロのブロック崩しとか、小さな液晶画面のゲームウォッチ程度でしたが、ファミコンが世に出たことで一気に様相が変わりました。1983年、今から40年前のことでした。

あればあるだけ売れました。なので他店から臨時販売のチラシが出て、この時ばかりは会社からの指示ゆえ会社のお金で買いに行ったことも。

特に日曜日。買ったはいいけど家のTVに繋げても映らない。そのクレームの電話ひっきりなし。中継する事務所からも「お客からの電話あんたんトコばっかりや」と言われました。

日曜ゆえ売り場てんてこまいにて直ぐに行けず、帰りに寄る(もちろん自家用車ゆえガソリン代含めサービス残業)の当たり前。つまり、お客の家へ寄ってから帰宅ばかりで、こちらの地域内は接続のためありとあらゆる所へほぼ行き、土地勘だけは高まりました。

そしてとにかく行ってみないとどんなTVか分からない。靴が散乱した玄関先から上がり、いろんな物散乱部屋にて埃だらけの形式の古いTVに、着てるカッターシャツ汚し四苦八苦しながら接続作業をしたものでした。まあ、電気屋さんに早変わりですね。

そして売れに売れるTVゲームソフト。スーパーマリオ、ドンキーコング、スパルタンX、ゼビウス、ドルアーガの塔・・そして社会現象となったドラクエシリーズ。

TVゲームソフトの新たなジャンルRPG(ロールプレイングゲーム)。ドラクエ2で火が付きました。電話予約は取らず、発売当日、並んだ者順という対応。

入荷数量には限りが。まずその保管から神経使いました。そう、他の従業員に分からんトコに隠す必要あり。そしておばちゃん店員から「ウチの子に1個取っておいて欲しい」依頼は断固断る。「発売日に並んでくださいね」。

多分堅物と思われたでしょう。しかしこれを徹底しないと、あの人に融通したのに私にはどうのこうの、となるからね。そしてお客からの電話で「予約できますか?」も無限地獄となりました。

発売日もまた気を使います。まず店内入り口。その日開店前から異常な人。それを見た店長「今日何かあるんか?」まあ、ひとごと。こちらは警備員さんに、お客が走ってコケて怪我しないよう、誘導して欲しい旨伝える。

でもそんなの関係ない。脱兎のごとく走って来るお客さん。まさに戦争。そしてあっと言う間に売り切れる。その後「ドラクエ売り切れました」の案内POP貼るも、電話攻撃容赦なし。「次いつ入るんや」無限地獄である。

入荷個数が分かれば予約も可能。しかし何個でも欲しいけど配分性。販売力弱いこちら片田舎のスーパーに回される個数はしれたもの。あの浜コー似の強面生活関連部部長が任天堂の責任者へ電話しても、どうにもならない。その後、任天堂主導の「任天堂コーナー」を玩具売り場の一角に作ったのも、ディスクシステムを導入したのも、既にトランプ、花札の時代には想像もつかないほどに力を持った任天堂様に対しては常に平身低頭致し方なし。

ドラクエシリーズだけではなく、ポケットモンスター金銀、ファイナルファンタジーシリーズとかの発売日対応に気を使う日はその後もたびたび。

ただ、欲しければ売れないソフトと抱き合わせ販売とか、嫌らしいやり方してくる向きには閉口していました。何か、パチンコと重なる面も(苦笑)。

そしてスーパーファミコン、任天堂64、他社からもセガサターン、PCエンジン、プレイステーション・・。ハードの進化も止まることありませんでしたが、特売でハードを山積みにし、数台万引きされたり、慣れない店員の時を狙い盗難クレジットカード使われたり、目に見えない損害も後を絶たず。

ただ、このTVゲームによって玩具の売り上げは飛躍的に伸びました。お正月、お年玉握りしめて来る子供さん。「いっき」「いっき」「ファミスタ」「スーパーマリオ」「いっき」「スパルタンX」「いっき」・・・。ガラスケース上段に並べたソフトを見て「コレ下さい」。いや~簡単。もう午前中だけで大台突破。TVゲームバブルの時代。

TVゲームソフトは基本、毎週木曜日が発売日。その1か月前、発売予定リストがファックスされてくる。つまり、発売1か月前にずらっと並んだリストを見てそれぞれ発注する必要がある。これ、本部仕入れ担当者は、店頭担当者の方がお客の要望が分かるからと、ドラクエみたく特別な物以外は全て店の責任でやらせていました。

常に、今まで無かった新製品。新タイトル。これをいくら売れそうか判断する必要がある。この売れ数予測こそ、私の得意分野でした。(これに比べればパチンコ新台の発注なんてお茶の子かもね)

基本、TVゲームソフトの新製品は水曜入荷し木曜に店頭に並べる。そして土日に販売ピーク。そして次の週の木曜日、次の新製品が並び。もう先週入った新製品は旧製品。

こんなに早く旧製品になる商品が他にあるでしょうか?1週経てば、一気に商品価値が落ちてしまう。死筋商品になる。値下げせねば売れない。4800円のソフトが最後は千円均一。もともと値入低いし儲け無しというか大赤字。

例えば某県チェーン。本部仕入れ担当がやらかし、不良在庫〇億の話も。そう、とにかくあれば売れたのに、の品切れを恐れるあまり、売れ残りへのマイナス要因を軽視する傾向に。売上は目に見えるけど不良在庫って直ぐに見えないからね。でも儲け優先の私には、それは許されない。

昼食時、食事をとっとと済ませ、新製品リストと自腹で定期購入した雑誌「ファミ通」を並べて、以前に出たの同系統ソフトの売れ行き(売れ数ではなく、もしあればこれだけ売れた推定数)や、同時期発売の競合ソフトや、メーカーの知名度や、いろんな要因を元に頭をフル回転させて決めていった発注数。でも殆どが0だけど。さすがにこれは売り場内では気が散って無理な作業にて昼休憩時もまたお仕事の時間である。

で、チェーン他店の主任から、じゃじゃ主任の店舗が〇個なら自分トコは〇個だな、と常に頼りにされてました。なんせ、各店の主任が集まる主任会議での売れ数予測は絶対の自信ぶりだったしね。

もともと、私もTVゲームは好き(初期のフラッピーはお勧め)で、ドラクエシリーズもハマった(ドラクエⅤ良かった)し、ココは好きこそものの上手なれですね。にしても、パチンコのソフトで大当たり確率最高の1/2にしても当たらんプレステ、ビクトリーゾン2の「フィーバーネプチューン」だけは?ですが。

そしてアイキャッチは、私物のファミコンとドラクエ3です。