今週も編集&主夫回転しかない毎日だったので、月曜日の夜恒例の「ヤベェw書く事ねぇww」モードに突入していた万回転。

とりあえずXを開いて最初に目にしたのがコレでした。

ホントはこっちだけど。

悪☆味さん、ネタを拾わせてくれてありがとうございます。と言うわけで、本日はパチプー・スロプーの「暗黙の了解」について。

 

まず大前提としてボクは今の現場を知らないので、現状についてアレコレ述べるつもりも、ポスト主をどうこう言うつもりもありません。時代は変わっていくものだし、まして悪☆味さんのポストにもあるように、一般の方が気にするような話でもありません。

その上でまず「暗黙の了解」とはなんぞやを端的に説明しておくと「マナーとしてパチプロなら他のプロが目を付けている事が明らかな台には座らない」というモノですね。

で、本日語っておきたいのは、ボクが見てきた過去の現場はどうだったのか、というお話です。

 

2000年代の「暗黙の了解」

正確には1990年代末から2005年頃までの話ですが、この頃はまだ確かに「暗黙の了解」が存在していました。

当時ボクが見てきた現場は主にパチスロですが、この頃はまだ並び順入場のお店が多く、朝一に常連同士の会話が普通にある世界でした。今みたいにみんなスマホ見て無言、なんて朝ではありません。雑誌片手に、漫画片手に、新聞片手にってなってもヒマをもてあますし、周りにいるのはいつも見る顔だから、朝からホールに集う者同士、プロであれ一般客であれ、なんらかの会話が自然に生まれる世界でした。

そして、そもそもプロの行動範囲もそれほど広くありません。プロ同士は概ね顔を知っているような環境です。また、その中でも顔だけ知っている、名前(あだ名)だけ知っている、少し話す仲、結構仲が良い、という感じで付き合いに温度差がありましたが、話す仲以上になってくると、それはもう強烈な「暗黙の了解」が働きます。

その理由は、シンプルに揉めても良い事が一つもないから。

多少話す仲のプロ同士というのは、会話の中に情報交換が含まれるケースが多々あるし、例えば知り合いのプロが高設定で負けた台の据え置き狙いなんてしようもんなら、今後その周辺のプロから白い目で見られる=情報がシャットアウトされる事に繋がります。

また、今の軍団とかとは全く違うプロ同士のグループというのも複数あるのが当然で、皆ピンプロでもほぼ何かしらの連帯がありました。だから、そのエリアにおける連帯を崩す者、もしくはグループ同士の対立に繋がるような事案を起こす者が現れれば、複数人に囲まれて「表出ろや」から始まって、ボコボコにされるまではいかなくともプロからの「出禁」を言い渡されるケースがありました。

それはイコール、パチプロとしての食い扶持に直結する話。

だから皆が皆、それなりに遠慮し合いながら距離感を測るのが普通でしたし、それを間違える人から順に爪弾きにされる。そんな世界でした。

今はネットですぐに悪い噂が広まりますが、それが空中戦だとしたら、昔は地上戦。

狭い地域で起きた事でも日本全国に知られてしまうのが今ですが、逆に言えば顔も知らない自分と無関係な人間にいくら知られようが屁でもありません。そもそも同じホールに何度も何度も行きません。だから今は「暗黙の了解なんてアホか」となるのも当然です。

しかし、昔は違った。悪い噂が「自分を直で知ってる人に広まる」から、昔は「暗黙の了解」が必要だったんですね。

2000年代の前半は、まだそんな時代でした。

2010年代の「暗黙の了解」パチスロ編

ここからはパチンコ・パチスロで大きく異なる話なので、まずはパチスロの話からしていきます。

釘を見ればある程度期待値の目途が立つパチンコと違い、パチスロは外からは出率が見えません。その為、勝つ為にはパチスロの方が情報戦が重要なのは昔から変わりません。

ボクの記憶が確かならば、2000年代後半からホール側がEメールを通じた情報発信に力を入れるようになりました。それに伴い、多数のホール情報を受動的に受け取れるようになったことで、パチスロ打ちの流動化が始まります。

かつてのように個店のクセを見抜いて狭いエリアで立ち回る人と、遊牧民のごとくイベント狙いをする人が混在し始めるのがこのタイミングです。

それと同時に、イベントで集客した人々を捌くため、ホールも並び順入場から抽選入場へと変わっていきます。

その結果、単店の常連でもなんでもない、でも強かに下見等々で情報を集めたプロが常連を出し抜く状況が頻発します。そして、抽選順で入場させる以上、先に入った顔も知らない人間に、常連だからと文句を言ったところで、ホールから出禁にされるのは常連プロの方になりました。

また、「出す日」を熟知している常連プロも、その日だけ集まる大多数を前に抽選負けをすることで食いっぱぐれるケースが増えていきます。そして、ホールがイベントの比重を増す競争に巻き込まれていく中、そのしわ寄せは当然平常営業に回るわけですから、高設定を探しようがない日が増えていき、結果としてスロプロは遊牧民にならざるを得なくなりました。

そして、「暗黙の了解」なんぞ全く無くなりました。

2011年の東日本大震災を契機とした広告規制で、その流れが少しは変わると思いましたが、結果はご存じの通り。規制の抜け穴をついたイベント重視&平常軽視の傾向は変わらず、2010年代にパチスロ打ちの「暗黙の了解」は消え去った。それがボクの見てきた世界です。

2010年代の「暗黙の了解」パチンコ編

イベント化の波が訪れたのはパチンコも同じです。しかし、パチンコとパチスロで大きく違った点が一つあります。それは、パチスロが機種単位では数台しかない設定6、もしくは店舗内のどこにあるか分からない高設定の塊を煽る事で集客したのと違い、パチンコはイベント対象機種を明確にした上で、設定6に相当するような1台を用意するのではなく、機種単位での一律アケ・一律シメが増えていた事でした。

店内の釘を熟知して、一部の変化を見抜く事でアケ台を狙えた時代が終わり、一律調整へと変わった時代です。

その結果、何が起きたかと言えば、そもそもプロ同士が「この1台に誰が座るか」を考える必要が無くなりました。

勿論、釘以外の個体差による「この台は〇〇さんが打っていたから」というのはありましたが、そこに設定1と6ほどの違いは生まれなくなり、軋轢が減ったのは確かです。

一方、2010年代のパチンコは技術介入全盛期。

電サポの開放を無駄なく狙い、アタッカーを捻って出玉を増やす事で期待値を底上げするのが主流となる中、パチスロではありえない「釘が動かない万年釘でも稼げる台」というのが存在していました。

パチスロで言えば、ホールからすると設定2程度の調整のはずが設定5くらいになってしまう。そんな台が普通にありました。

そして、それを奪い合うパチプロの間にはまだ「暗黙の了解」がありました。

ホールコンを見るまでもなく、プロ同士はデータランプをポチポチすれば「あ、この日はプロが打ってたな…」というのが分かるものですから、そういった固定の台を遠慮する風潮というのは確かにありました。

それを感じたら完全に打たないというケースもあれば、「あぁ、このプロは分かってるな」という、お互い感覚を空けながら、お互いが来ないであろう日にアガリを分け合う。そんな空気感を感じる事もありました。相手の顔も名前も知らなくても、データランプを通じてそんなやり取りを感じる事が出来た時代です。

ただ、それをぶち破ってくる人も、もうこの時代にはいました。

食える1台を見つけたら、釘が締まるまでとことん抜き倒す。そんなスタイルの人も確かにいました。

しかし、パチスロの件と同様に、顔も名前も知らないそんな人が現れたところで、そもそも自分もそのホールの常連でもなんでもありません。そんな中で、抜き倒し系プロと揉めたところで得られるものはない以上、あとはもうどっちがその台を潰すかの競争の世界です。

そして、技術介入の余地をメーカーとホールが一体となって潰していった2010年代後半、そんな流れも消え去りました。

では、そこでパチンコの世界も「暗黙の了解」が消えたかと言えば、そうではない、もう一つ別の世界もありました。

ネタ機の「暗黙の了解」

ここまで述べたパチスロとパチンコの「暗黙の了解」は、あくまでも平打ちプロの範疇です。パチンコならボーダー理論・潜確狙い・遊タイム狙い、パチスロなら設定狙い・ハイエナといった、この道で生活している人ならほぼ全員がやれて当然の世界の話です。

ただ、攻略ネタ・キズネタが出てきた時のプロの世界というのは全く別の様相を呈します。

 

誤解を恐れずに言えば、ボクは平打ちの世界しか知らないプロは有象無象のレベルだと思っています。特にボクらの年代はもう雑誌の手引きが当たり前、その後はネットの手引きが当たり前で、自分で新しい何かを見つけなくても他人から得られる情報(を自分で得たと思って自己満足しているだけ)で食っていける、そんな世界だからです。

でも、本当の攻略ネタは決して雑誌にもネットにも載らない(載る頃にはもう終わっている)、台の隙をとことん突き詰めるから分かるもので、世に出回る前にそれをやれる・情報が回ってくる人というのは、良くも悪くも選ばれたごく一部の人だけ、という非常に狭い世界の話になってきます。

これはネット時代になった2010年代も同じで、そこには2000年代以前のような強烈な「暗黙の了解」が存在していました。

ごく一部の人しかやっていないからこそ、知っている人がデータを見れば即分かりだし、バッティングしようものならその界隈にすぐリストアップされて顔写真も回されますw

そして、自然発生的に、時には暴力的にテリトリーが決まっていきます。

それはさながら昔のホール単位であった「暗黙の了解」が、県単位、関東圏単位とか、そんなレベルで働く「暗黙の了解」なんですね。

 

ただ、技術でどうこうのネタ機は、まだグレーの範囲です。真っ黒なのがゴトの世界。

 

ボクは真っ黒な方は全く足を踏み入れた事が無いので分かりませんが、ゴトをしている人らというのも、美味しいネタ機があればそっちに降りてきますから、その片鱗を垣間見る事はあるわけです。

そして、ボクが知る限り、パチスロで破壊的な攻略に繋がる合法なキズネタは、ビーナスライン、コアあたりが最後だったはず。それ以降は完全に黒なゴトだったはずですが、パチンコは2010年代後半まで合法のネタ機が多数ありました。

その結果、ボクのような平打ちに毛が生えた程度の人間でも一般的に言われる「暗黙の了解」とは全く毛色の違うソレがある事を知りました。

まとめないまとめ

結局のところ、かつては合法だった体感器が明確に違法になり、ファジーだった&あえてキズを仕込んだメーカーが悪い意味で品行方正になり、世の中も変わっていった結果、そもそもこの業界に「隙」が無くなって行ったから「暗黙の了解」論が過去の遺物になったわけです。

その良し悪しなんぞ僕にはサッパリ分かりません。そして、暗黙の了解なるものが今あるべきかどうかもサパーリ分かりません。

恥よりも実、マナーなんぞクソ食らえな世界に誘導したのは他でもない業界だし、それを良しとした一般ユーザーだし、そこに「あるべきプロの姿とは」を提示しきれなかった全てのパチプロの責任なので、その端くれにいた者として、今更申し上げる事もありません。

そして、少し風呂敷を広げると、こんなのは別にパチンコの世界に限った話でもなんでもなく、資本主義を突き詰めて「結果が全て」な世の中にも通じる話だと思っています。

だから、ボクから言える事は一つだけです。

 

「何をやるかではなく何をやらないかが矜持」(by 安田一彦)

 

この言葉に共鳴できない人とは、ボクはきっと仲良くなれない。ただ、それだけです。


■万回転 プロフィール

  • 1978年生まれ ♂ 
  • 累計15年間パチプロしちゃってごめんなさい
  • CR銭形平次の捻り打ち動画をアップしてしまいネットでプチ炎上した事を機に安田プロと個人的な親交が生まれ、悠遊道へ寄稿する事に
  • 色々あって完全にパチプロを引退。
  • 現在は悠遊道動画チャンネルの何でも屋

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