平成6年は、私にとって最悪の年でした。

最悪と言っても、別にパチスロで酷い目にあったわけじゃありません。私はこの頃、大分市にある某商社で土木資材の営業マンをやっていたんですけど、あるとき、橋梁工事の受注&施工でひとつの重大な指示を出すのを怠ったことから、結果的に300万円もの大赤字を出してしまったんです。

もちろん、どんな言い訳をしようと私の失敗ですから、責任を問われるのは当然です。しかし、その事後処理の過程において直属の上司は私を切り捨て、損失額を個人で支払ってから自主退職しろと、そんな無茶苦茶なことを言いやがりましてね。会社の業務上で発生した損失を、どうして個人で負担しなければならないのか。そんな馬鹿な話がありますか! …と、真正面から反論しました。だけど、当時の上司というのが凄く弁の立つ人で、部下を相手に容赦なく逃げ道をふさいで徹底的に追い込んでくる。30歳かそこらの若造が論破できるような相手じゃなく、連日の責任追及に疲れ果て、ついつい折れちゃったんですよね。

 

後になって考えるとこのシチュエーションは、隔離された取り調べ室で無理やり冤罪を着せられるのと大差ないなと、そう思ったりもしました。池井戸潤の小説「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」(いわゆる半沢直樹シリーズ)に、「部下の手柄は上司の手柄、上司の失敗は部下の責任」を地でいく非道な上司が登場しますが、何だかこの物語に通じる部分があるな…とも思います。「やられたら倍にして返す!」。そんな格好の良いセリフを吐くには、当時の私はまだ人生経験が少なすぎました。

ともあれ、個人の定期預金を全て解約しただけでは全く足りず、仕方なく5年ローンで買った愛車を売って計300万円のカネを作りました(ただし、自主退職が決まった後に、負担は会社側と折半ということになった)。そして、それを会社に支払った時点で私は自由の身になったのですが、トラブルが起きて以後の給与と退職金は全て損失の補填として会社側に差し押さえられてしまったため、手元に残ったのは明日を生きるにはあまりにも心もとない貯金だけ…。

こういう場合、貯金を食い潰す前に次の職を…と考えるのが普通なんでしょうけど、私はもう誰かの下で働くのなんて完全に嫌になってました。てゆーか、こんな目に逢ったら、誰だって「二度とサラリーマンなんてやらねぇ!」と思うんじゃないかな? まぁ、私の場合は上司に恵まれなかったのが最大の不運なのだけど、今さら何を言っても取り返しはつきません。

 

結局、自分はここでもパチンコ&パチスロに活路を求めました。ただし、約7年前にスロプーをやっていた時とは違って、今回は絶対に負けることが許されない真剣勝負です。手持ちのお金がなくなれば即路頭に迷うのだから、不確定要素の大きい裏モノなんて打てるわけがない。

そんなわけで、向かった先はデジパチのシマ。綱取物語の朝イチ出目狙いがメインで、他には2回権利物の大三元、一般電役の勝負伝説…等々、朝イチに特典のある機種や回る台を打つという基本に忠実な立ち回りで、何とかかんとか喰いつなぎました。

もちろん、パチスロを全く打たなかったわけじゃありません。グレートハンター、ザンガスⅡ、ゴールデンダックⅢ、ドラゴンエース、ザンガスSP、ウィリーチャンプ…香ばしい機種名が羅列しているのを見ればわかる通り、これらは全て裏モノです。「裏モノなんて打てるわけがない」などと言っておきながら、ぴっかぴかの新台が導入されれば打ちたくなるのがスロッターの性。どうやら、この性分だけは死んでも治らないようですね。

 

ちなみに、この年の私の収支は以下の通りです。

平成6年のトータル

  1月    +218,000円

  2月  +261,600円

  3月  +113,200円

  4月    +78,400円

  5月    +18,700円

  6月    +518,600円

  7月    +95,300円

  8月    +102,400円

  9月       -42,800円

10月    +193,600円

11月      +5,900円

12月      +5,200円

合計 プラス 1,568,100円

 

会社を辞めたのが5月末で、それ以降はずっとスロプーをやってました。だけど、この程度の勝ち金では生活していけるわけがなく、徐々に手持ちのお金がなくなっていきます。

さぁ、皆さんならどうしますか?