特にベテランユーザーからが多いかしら。業界への提言のようなものを募ったときに“低交換率時代のほうが遊べた”という意見を目にします。かく言う私も低交換率支持派。実現は相当難しいとも思いますけど。
この原稿を書き上げた数時間後に、業界セミナーでパネラーとして登壇する予定でして。その中で議題に挙がるのかな? しゃべるのは苦手なので、ひとまず頭の中を整理しようと書いてみることにします(笑)。
○昔はいろいろ凄かった!
宮城県:8.4枚交換
長野県:8.0枚交換
大阪府:7.6枚交換
京都府:7.0枚交換
神奈川県は等価なのに東京は5.6枚交換。県単位で交換率の上限が異なるのは、今も昔も変わりありません。まだ三重県にパチスロがなかった頃(2000年に解禁)、1998年くらいで強烈だったのが上に書いた地域です。京都の7枚交換が優しく見えますね。うん、長野県の8枚交換で万枚出した話は別の機会とさせていただきます(笑)。
自由化が一番遅かったのは宮城県の2000年かな。友人のスロプロは、自由化された後に廃業しました。高設定をツモれるなら高価交換のほうが良い。この後に『獣王』とか出てくるのにもったいない。そう思うのが普通だと思います。しかし、そう簡単に割り切れる問題ではないのです。
実は、私もこの頃にパチプーを卒業して、雑誌の編集になっています。それだけではないですが、東京も等価交換の波が押し寄せたのは一つの原因でした。
○打ち手から見る低交換率
低交換率の最大の特徴は、交換ギャップでホールが利益を出しやすいということでしょう。多く人が集まるほど交換ギャップが得られるので、“見せ台=高設定台”が多く用意される傾向となります。低交換率で高設定のない店? 潰れるだけです。
通ってホールのクセを把握すれば、高設定に座れる確率はかなり高くなります。そこまでしなくても、フラッと座った台が高設定ということも起こりやすいです。多くの人が成功体験を得られるんですね。また『クランキーコンドル』や『タコスロ』のように設定1の出玉率が100%を軽く超える機種も設置することができます。設定読みが苦手な人の選択肢も増えることに。勝ち額は減っても打てる台が豊富にあるのがユーザーのメリットです。
遠出をしなくても遊べるホールは近くにある。明日打つ台を見つけるために今日を打つ。こうして打つことが習慣化され、パチスロの参加人口、その内容とも今の比ではないほどの盛り上がりを見せていました。
前述の宮城の専業さんのところに遊びに行った際、笑われたんですよ。私は初代『バーサス』の設定3判別をしていました。「8.4枚交換の宮城県に設定3以下なんてナイよ」って。
極端に勝ち方が分かりやすい地域だったとは言えますが、だからこそ本質が見えてきます。勝ちたければ、安銭で食いつけて持ちコインがある限りロスの少ない打ち方で粘るのみ。逆に言えば、時間のない人は勝ちにくいというのがデメリット。お休みの日に頑張りましょう。とはいえ、平均設定は高くなるので当たる確率はちょっとだけ上がるはずですけどね。
ちょうどこの頃に雑誌編集となったので、せっかくだからと宮城県のホールさんに取材させていただきました。
郊外店の方は、一律低交換率のほうが良かった。その昔は『大花火』に設定2以下なんて使わなかった。息抜きに来ている方々の当たりが遠くなってしまったのが寂しい……と。
都会型店舗の方は、自由化されて良かった。交換率を高くしたことにより来ていただけるユーザーの商圏も広がり、大きなビジネスチャンスとなっている……と。
必要に迫られてでも、近くのホールで長く楽しむ“生活の一部”となっていたパチンコ・パチスロが、遠出をして短時間楽しむ“数あるレジャーの中の1つ”へと変わって行く瞬間だったように思えます。どちらが良いということではありませんけどね。
○低交換率が難しい理由
冒頭で書いたように、私は低交換率のほうが好きです。ただ、実現するのはかなり難しいとも思っています。
ビシッと全国一斉でまとまることが困難という業界あるある。県ごと一律でといっても、県境のホールとかの影響は大きいです。減ったとはいえ8000軒以上。経営に対する考え方はまちまちです。
以前、46枚貸しの52枚交換について書きましたが、交換したときの金額の多さを削る恐怖はホール側にあることでしょう。一度極端に振ったレートは戻せないものなんです。1パチ・5スロ専門の人が増えたのもそうですね。
また、等価も含めた高価交換率が長過ぎて、特にパチスロのスペックがそれ前提となってしまっているのも現実です。6号機からは長期出玉率の上限も115%になってしまいました。一斉で低交換率への以降を見据えて、遊技機規則改正の際にそれを織り込まないとならないでしょう。大きな絵を描けるリーダーが出てこない限り不可能ですね。参議院議員すら送り込めなかった業界ですけど。
そうそう。件の専業さんが廃業した理由は、あるか分からない高設定を芋掘りして探すのがシンドイでした。「設定3以下はない」ところからですから。最大級の振れ幅でしたしね。
某所で8枚交換のお店がありましてね、今でもアイムジャグラーがメインなんですよ。設定6が半分で3以下なしとはいっても、さすがに厳しいです。計算したらアイムの平均投資額は6で16000円、5以下で25000円だったかな?そこから2000枚とか出すには無理がありますよね、、まあ長時間打ちをやってれば勝てないことはないのですが、ただの作業になってしまい全く面白くなかったです。
>獣さん
コメントありがとうございます!
8枚交換となると下の設定の出玉率が106%くらいでないと厳しいものはありますね。そこで高設定を掴めたら、より長く打てば勝てる……くらいでないと。
やはり、今時の機種が等価交換前提すぎるんですよね。出玉率の低さだけではありません。初当たりが遠く、一杯出てトントンとなる仕様もそう。低交換率だと取り返せませんし。
大昔、設定1でも104%の『クランキーコンドル』を7枚交換で打ちまくっていましたが、確かに作業感は否めませんでした。なので、左リールの押し位置を大きく変えてみたり。頑張って楽しもうと模索したのは事実です(笑)。