早いものでもう11月。今年も残すところ2ヶ月となりました。寒くなってくるのと同時に今年出た機種の総括を考え始めなければならないライターさんも多いかと思います。昨年はやっていませんが、毎年この季節には頭を悩まされたものです。ええ、今年もやりたくありません(笑)。

いいじゃん、今年のMVPは『RE:ゼロ』以外にあり得ないんだから。それで普通ですよ。MVPは導入台数や稼働に比例するのが望ましいです。ですが、佐々木賞はあげられません。導入済みならBIGなのに適当打ちで揃う斬新発想の『ダーツライブ』かな。今後導入予定で期待しているのは、オーイズミの『パチスロ1000ちゃん』と、大都技研の『ピラミッドアイ』ですね。

AT機の天下になりそうな6号機にあって、ちゃんとした(枚数が少ないとか言わないのっ!)ボーナスが好きな人も楽しませようと模索しているメーカーの方々の汗に敬意を表したいのです。

ということで、今回は一風変わったボーナスのシステムの話です。

 

○ダラつくBIGは個性を生み出すため!

押し順ナビよりもボーナスの連チャンが好きな方なら一度は触ったことがあるでしょう。山佐の『リノ』です。トマトは特殊1枚役成立時を3択で取りこぼした時に揃うとか、基本的なゲーム性は割愛させていただきます。

今回取り上げたいのはBIG中の処理です。『リノ』のBIG(REGも枚数の少ないBIG)中は、リプレイが揃ったりダラダラするように感じる方が圧倒的に多いでしょう。あれはどういうことなのか?

『リノ』のBIG消化は、中段「リプ・リプ・レモン」が出現するまで、左リールにBAR付近を狙って順押しをして、そこから逆押し(順押し継続ならBAR付近を押し続ける)が推奨されています。

 

中段「リプ・リプ・レモン」は、BIG中のJACイン(役構成下段のシフト)を回避した形です。JACインを回避すると内部に保有した状態になります。そこでは、リプレイ確率がアップし、小役も“いわゆるボーナス成立中”の状態になって多くの払い出しを受けられるようになります。小役確率自体は変わらないですが、ハズレや1枚になる分もレモンになってくれます。こうやってコインを増やしているのです。時間はかかりますけど。

パチスロの出玉検査には、役物比率という項目があります。全体のコイン払い出しのうち、ボーナスで払い出される分は70%(2種BBがない機種は60%)未満でなければなりません。ベースが低くてボーナスがドッカンドッカンする機種は射幸性に問題が生じる。そんな考え方です。

『リノ』のBIG中で、ボーナスの払い出し分とカウントされるのは、JACイン入賞後のJACゲームのみです。成立後にポコポコ揃うレモンは、通常時の払い出し分となります。普通に打っていれば、JACゲームを消化することはありません。全役を奪取していくシミュレーション試験では揃いますが、JACゲーム中は、小役払い出しが少ない状態にしてあります。

また、短期出玉率の上限も気にしなくてはなりません。リプレイはノーカウントとしても、時間をかけて消化したほうが型式試験を通過しやすいのです。うん、とある開発さんに聞いたら「短期対策ではないよ」と言われましたが、出玉設計は神々の領域。私の能力ではそうとも違うとも言えないので、念のために書いておきます。

 

メーカーとしても、ボーナス中はパキパキ出してあげたいと思うんです。でも、それでは型式試験に適合しない。そこで生み出された工夫なんですね。この工夫は『リノ』タイプ以外にも使えます。『パチスロ1000ちゃん』もコレを使っていますし、聞いた話では『ピラミッドアイ』もそうだとか。

なので、タルいと思ってしまうのは仕方ありませんが、それでメーカーを責めるのはヤメてあげてください(笑)。それがあって実現したゲーム性ですからね。誰が見ても分かるウィークポイント・不満点が残ってしまうのは、どうしても実現させたい部分の副作用のことが圧倒的に多いです。