もの凄くマニアックな質問をいただきました。スパークさん、ありがとうございます! マニアックすぎまして「いかん、私もそこまで深くは考えていなかった」と思わされた部分も。まずは、その質問内容の抜粋から。

Q1)ノーマルタイプでよくあるボーナス中の技術介入についての質問です。特定の押し順と目押し(ビタ押し)での枚数調整は、(ユーザーがコインを獲得する)小役優先制御と矛盾しているように感じます。

Q2)また、配当は『サンダーV』では10枚+4枚、『ゲッターマウス』では7枚+6枚など、複数のラインで入賞して払い出されることも多く、メーカーも何らかの技術を活かして実現したと言えそうです。

Q3)小役優先制御は、最大払い出し枚数のものと、組み合わせが最大となるもののいずれを引き込むので、第3停止で後者の制御を取って枚数調整役も入賞させていることは、何となく理解できました。しかし、ビタ押しで岳引き込む点が理解できません。

凄いです。Q2)のところは、そんな機種もあるよな程度で、まったく気にしていませんでした(笑)。

ボーナス中に、1回だけ14枚役を獲得して、残りは15枚とするような技術介入の質問ですね。スパークさんは、知識も洞察力もありすぎて混乱しているかな〜。

○BIG中に変則押しさせられる理由

まずは、Q1)から。複数ラインでの入賞関係なし&変則押しなしで、シンプルに考えてみましょう!

14枚役になる小役は、15枚と同時に成立しているのが一般的です。14枚役を「BAR・ベル・ベル」。15枚をベル揃いと仮定しますね。

BIGボーナスの場合、リールを押した位置から最大で4コマスベります。普通に押すと、払い出し枚数の多いベルが優先されます。“押した位置から4コマスベリ範囲内にベルがない”かつ“ベルの代わりにBARが停止する”のが14枚とする絶対条件となります。

4コマスベっても枠内にベルを引き込まないと考えれば、普通のように思えますが、BARを下段に押したとすると、4コマスベって上段にベル停止もアウトとなってしまいます。BARの7コマ先までベルを置くことができません。それでは、通常時の小役としてのベルを取りこぼしまくってしまうか、歪な形の代用役が必要となってしまいます。

 

BARを4コマスベらせて上段に停止させるのも同様ですね。BARの下の7コマ範囲にベルがあると、払い出し枚数の多いベル枠内停止を優先してしまいます。

そこで出てくるのが変則押しです。中・右リールを先に止めることによって、テンパイラインを特定するのが大きいのです。テンパイラインにBARをビタ押ししたとして。そこから先の5コマ内にベルがなければ、14枚を揃えざるを得ません。こうすることによって、左リールのベル空白地帯を少なくすることができます。変則押しを考慮しなければ、左リールは3つベルがあれば、取りこぼさないことが可能になりますよね。

ということで、BIGボーナス中の獲得枚数アップで変則押しさせられがちなのは、左リールの配列が歪になったり、メイン小役を取りこぼさせないためです。

 

○2種BB(第二種特別役物・MB)中の技術介入

『アイジャグ』『ハナハナ』『ハナビ』などではREG扱いになっている2種BB。こちらも枚数をアップさせる技術介入はありますが、変則押しを求められることは少ないかと思います。

2種BBは、いずれかのリールが押した位置から最大で1コマしかスベらないのが特徴です。この特殊制御リールを左リールにすれば、順押しでも簡単にベルを避けるポイントを作れます。『ハナハナ』とか、スイカ畑を押しますよね。

むしろ変則押しをすると、14枚役ではなく15枚にしかならない小役のテンパイになったり、左リールで目押しを失敗すると払い出しゼロとなるリスクが出てしまいます。なので、変則押しをさせる機種は少ないのです。

ここまで大丈夫かしら?

 

○複数のラインで揃うのは、メーカーの技術!

良く見てるなあと唸らされたQ2)複数ラインを合わせての小役払い出しについて。本来はメーカーもシンプルに作りたかったと思うんです。

通常時でもボーナス中でも掛け枚数が同じであれば、同じ有効ラインでなくてはならない。などの理由があって、簡単に消化しようとすると取りこぼしのリスクがあった。そこで、揃っていないように見えるラインでも払い出しを持たせるようにして見栄えをカバーしている……とか。完全に推測ですが、そんなところかと思います。

こういうところを掘り下げる人とかが、メーカーの開発になったりするんだろうな。何人か送り出していますが、みんなそういう人でした(笑)。

 

○小役優先制御

ほぼ最初の解説で、なぜビタ押しが必要なのかは書いてしまいました。なので、最後は小役優先制御について。おそらく、スパークさんは勘違いしているかな? 小役優先制御の対義語は、ボーナス優先制御です。2008年3月に規制緩和されて、小役優先制御が認められるようになりました。それまでの機種は、すべてボーナス優先制御でした。

ボナ優先:リプレイ>ボーナス>小役

小役優先:リプレイ>小役>ボーナス

違いはココですね。ボーナス優先だと、取りこぼしのないベルと同時当選してもボーナス絵柄が揃う可能性(テンパイ)を優先させます。ボーナス絵柄をムリヤリ枠内に残すような普段と違う揃い方で「あっ、同時当選した」と気が付いたりするのが面白いところ。私は、こちらのほうが好きです(笑)。

それに対して小役優先制御は、全リールに成立している赤7を狙っていたとしてもベルを揃えようとします。赤7はテンパイしません。液晶演出で当たっているかドキドキするには、こちらのほうが向いています。

 

この規制緩和によって「ボーナスが成立しているけど、有効ラインには小役を置いておくね。取りこぼすかもしれないけど……」という特性を活かしたAT機やリノタイプが生まれたのです。

5号機以前のボーナス未成立状態では、ちゃんと目押しをしても成立小役が揃わない“意地悪制御”というのがありました。目押しして揃うのは当たり前なので、特に名称はなかったんですね。なので、後から出てきた“小役優先制御”にネーミングに釣られてしまったのかもしれません。

 

こんなところかな?

一つ一つを分解して、シンプルに考えのがシステム推測のコツです。なんでこんな複雑なことを? そうしなければならなかったんだろうな。損な内規があるのかしら? こうやって知識の隙間を考察していきましょう!

それにしても、複数ラインでの入賞は目から鱗でした。チェリーと同時に出るところもあるし……いや、払い出し枚数上限を作れるから大丈夫か。など、まだ頭の中でグルグル考えています。スパークさん、ありがとうございました。