工藤ちゃんは頑固者だ。
はたで見ていると「そんだけできるのだから、拘りを捨てりゃあ、いくらでも稼げるだろう」と思うのだが、頑として割に合わない道を行く。
数年前までひたすらジグマに拘って、他の打ち手の多くを敵にしても、「いくつかの店の特定のシマだけを自分の店と捉えたら、ジグマと一緒じゃん」の言葉には首を縦に振らなかったもんだ。

まあ、だからこそ今の彼があるのだとも思う。年は10以上離れているが、弟子なんか取ったことがない自分だ。あれこれ強制するつもりもないよな。
今じゃあ、細かい打ち方に関してはグレーな部分も含めて自分はとても敵わない。ていうか、スゲープロを一杯知っている自分から見ても、ある部分ではそんな一流を凌駕するところもある。
残念ながら、その手の内はサイトで見せてくれる気はないようだけど…。

そんな工藤ちゃんには10年くらい前まで、偉そうにアドバイスもした。
最初のは一緒に郊外店を攻めに行った時。
まだ奴が10代だった頃だな。寝坊して来た末に当たらなくて負けた彼に、「愚痴る前に10時に来いよ」と言ったこと。
ははは、今じゃあ、寝坊ばかりの自分が何をって感じだね。スマン、工藤ちゃん!

もう一つは「お金は貯めとけ」と言ったこと。
これは今でも真理だと思っている。世の中の全てがカネでカタがつくわけもないけれど、逆に面倒の理由がお金の場合は多い。
そして、タネ銭の有無は余裕の有無に繋がる。向こうはどう思っているかわからないが、これだけは世の中を一つ教えられたんでは?

逆に世話になったことは数知れず。
女絡みでヘロヘロになり、パチンコする気力すら失せかけた自分に「一緒にワイワイやりましょうよ」と店(ノッポさんのコラムのホールだった)の世話をしてもらったのは、一生忘れてはいけない恩だ。
自分たちのようなつるまぬ打ち手にとって、店は命綱。取って食われるリスクもある中、よくもまあって感じだったものな。
立ち直っても、あいつがあぶれる日が訪れるまで、のうのうと通っていた自分をちょっぴり今も恥じていたりする。

初代アグネス打法の元になったのは沖海2かもっと前の「小デジ回転中にちょっと早く&強めに打ち出して、1回目の電チュー開放に多く拾わせる」打法だったのだが、そもそもこれを考えたのは工藤ちゃんだ。
自分は無から何かを作り出すのは大の苦手。簡単な応用しか能がないので、そういう意味でも足を向けては寝られないよな。

自分のシマから他のプロを追い出そうとして、後ろでじろじろ見たあとに「ふん、全然ダメじゃん」みたいな行為をしてたと聞いた時は、さすがに一言言おうと思ったがね。
今はそんなこともないだろうし、逆にいい思い出だ。