パチンコに関する怖い話、うーん、特にこれといった経験談はないんですが、打ちながら非常に苦しい思いをしたことはありますね。もう今から20年も前になりますか、SANKYOから「CRスーパーコンビSP」という異色の3回ワンセットのCRデジパチが登場しました。この機種、今でも覚えていますが、あのコンビの名を冠した新機種ということで、登場前から業界内ではすこぶる期待感が高かったのです。確率も甘く (1/129→1/123)、万人に受け入れられるだろうと、メーカーもそれなりの販売数を期待していたと思います。

 ですが、蓋を開けてみれば設置後一週間もしたら客つきは著しく低下し、1ヶ月もすれば本当に誰も打っていないようなホールが続出しました。クルーンに入れて手前穴に入賞しないとデジタルは回らない、そのデジタルは何の変哲もない7セグの2ケタデジタルで、液晶演出に慣れていた一般客からすれば退屈さを感じるのは至極当然でしょう。また、確変中はきちんと止め打ちすればボコボコ玉が増える有り様で、こういうのはホールとしては一番嫌うわけです。おまけに確変中は通常時とほとんど確率が変わっていないため、200、300とハマるのは当たり前、むしろハマればハマるほど玉が増えるわけで、こうなるとプロ御用達の機種になります。プロに抜かれないために釘をシメる、スルー周辺も当然シメる、こうなるとプロすら打たなくなります。

 ま、そんなこんなで当機は不人気機種となり、半年から1年程度で多くのホールから姿を消すことになるのですが、自分は登場初期の頃はそれなりに打っていました。で、登場から数ヶ月後のある日、状況が結構いいから打ちに来た方がいいとの情報を友人からもらい、世田谷の某ホールに出かけました。10台くらい設置されていたのですが、全台釘が良好というわけではなく、その中の数台が終日打ち切れるレベルでした。ただ、朝イチから誰も打っておらず、プロと思しき人間もほとんどノーマークだったようで、友人からしてもこれはもったいないからと、自分に声をかけてくれたのでしょう。お言葉に甘えてよさげな台を打ち始め、すぐに当たり、しかもラッキーナンバーだったので (当機は一般的な無制限営業ではなく、ラッキーナンバー制で営業しているホールも多かった)、これで終日落ち着いて打てると喜んでいたのですが……。

 打ち続けていると、どうにも脇腹と背中が痛む。前日は打ち合わせ後に軽く焼肉を食べたくらいで、特に食あたりなんて覚えがないのですが、痛みは増すばかり。何度か大当り動作を終えたところでトイレに駆け込み、しばらく頑張ってみても特にお腹を下しているわけでもなく、それでも脇腹と背中の痛みは消えない。段々と熱っぽくなってきた感もあり、友人も心配して大丈夫かぁーと声をかけてくれたのですが、正直大丈夫ではない。とても打ち続けられる状況ではなくなってきたのでパチンコは中止、近くに病院はないので、タクシーを呼び、近隣の病院に行ってもらうことに。

 時期は確か初冬で、悪いことに雪が降ってきて、渋滞が始まりました。正直、尋常ではない痛みなので、これはただ事ではない、下手したらこのまま入院しなければいけないかもなんて思いながら、とにかく早く近くの病院に連れて行ってくれと、そればかりを考えていました。

 何とか病院には着いたのですが、特にこれといった診断は下されなかったように覚えています。下痢もしないし、吐くこともない。レントゲンを撮っても何も写らない。ただし、血尿がある。腎臓結石か胆石かもしれないと言われましたが、それもハッキリしない。個人病院だったので入院の設備がなく、痛み止めの薬だけ処方してもらい、地元に帰って救急外来で診てもらうことに。友人の家が近くだったので車を出してもらい、送ってもらうことになりました。

 ここからが大変でした。世田谷から自分の家までは車で普通に走って40分くらいですが、雪が激しくなって国道246号は大渋滞。立ち往生している車もあり、一体何をやっているのかと憤慨することしかり。脇腹と背中の痛みに耐えつつ、時は1時間、2時間と過ぎていきます。ひょっとしたらこれは大変な病気で、このまま意識が飛んでしまうのではないか、不人気機種のCRスーパーコンビSPをわざわざ打ちに行き、それで倒れて重体、意識不明でしばらく入院なんて、さすがにそれは笑われるだけだろうと、車中要らぬ思いばかりが駆け巡りました。

 時間はもう夜の9時にもなる頃、ようやく地元の病院に着き、緊急外来扱いで見てもらったのですが、特に大きな病気ではない模様。おそらく尿路結石だろうと。レントゲンでもCTでも石が写らないことは珍しくないとのことで、結局ここでも痛み止めの座薬を処方してもらって終わり。痛みも治まりつつあり、家に帰って安静にしていれば大丈夫だろうとのことでした。

 翌日以降、痛みもほぼ消え、普通に生活できるようになったのですが、時折起こる鈍痛には定期的に悩まされることになります。尿路結石関係の本を読んだりして知識を蓄えつつ、肉食中心の食生活を徐々に変え、水分補給をまめにするようにしたところ、5年くらいしてからは痛みの発作に悩まされることはほぼ無くなりました。また、ここで述べた最初の痛みの発作から何年か過ぎた頃、用を足していた時にポロっと小さな石が出てきました。小便器に石が落ちた時にカランって音がするから分かると聞いていたのですが、実際そんな音はせず、尿道にちょっとした違和感がある程度でした。直径5ミリ程度の小さな石ですが (金平糖のようなもの)、周りがゼラチン質で覆われているので、尿道から落ちて小便器に当たっても音がしないのです。即拾って、記念に取っておいたのですが、どこにしまったか忘れてしまいました。見つけたら、いずれ公開してもいいかなとか思っています(笑)。

 そんなわけで、ネットなどでCRスーパーコンビSPの記事を見かけると、あの日の苦しい思いが甦り、今でもトラウマで苦しんでいます……なんてことはまあないのですが、皆さんも健康には十分注意してほしいと思っています。パチンコやパチスロを打つ際、特に長時間同じ姿勢でいると健康に害を及ぼす可能性があるようです。自分がなったような結石や (面倒だからとトイレを我慢したり、水分をあまり取らなかったりするのが良くない)、慢性的な腰痛や肩こりなど、若い時はまだいいのですが、年を重ねると体力的にもなかなかしんどい思いをします。怖い話というよりは不摂生から来る自業自得的な体験談みたいになってしまいましたが、健康だからこそパチンコ、パチスロを楽しむことができるわけですから、身体には気をつけたいものです。