組合としてはATMの撤去指導が難しいという話だが、元々ホール内にATMがある方がおかしいという意見も少なくない。娯楽なんだから、遊技なんだからという言い訳が通用するわけはないのだが、果たして完全撤去の日は近いのか?

全日遊連は313日、都内新橋の第一ホテルで全国理事会を開催し、パブリックコメントを開始したギャンブル等依存症対策推進基本計画案の内容について報告を行うなどした。

理事会後の記者会見で阿部恭久理事長は、基本計画案でホールにおけるATMの撤去が促されていることについて、公営競技の場合はその事業者とATM設置企業との直接の契約になっているが、ホールにおけるATMは全日遊連が契約の当事者ではないことから、これが基本計画に盛り込まれた場合、撤去要請があったことを理事会等で伝えることはできても、強制することができない状況にあることを説明。「立ち位置が難しい問題」と述べるなどした。

会見に隣席した片山晴雄専務理事が「啓蒙活動のようなところから始めざるをえないと思う」と述べたほか、伊坂重憲副理事長はホールのATMにはのめり込み問題に対応した制限が施された仕様であるほか、ホールのセキュリティ向上に役立つ入金機能があることなどを説明し、一律に撤去することの難しさを示した。──以下略── 遊技通信webより抜粋 https://www.yugitsushin.jp/category/news/dantai/

 パチンコ店のATMは引き出し上限額は3万円、クレジット機能はないなど、依存防止対策がなされている。だから、依存対策はそれで十分ではないか、利便性も大事ではないかというのがATM設置を容認しているホール側の言い分だろう。

 それはそれで理にかなってはいるのだろうが、心理的な問題がある。文末のリンク先のブログにこのことが端的にまとめられているので参照してほしいが、一度退店してコンビニなり銀行なり行ったりしたことはパチンコ、パチスロ好きなら一度は覚えがあると思うが、その際、もういいや今日はと急激に冷めてそのまま店に戻り、台確保のために置いておいた小物を取って帰ったりした経験もあろうかと思う。

 店内ATMはそういったを無くしてしまうわけだ。無論、強靭な意志と経済力で、出るまで突っ込む態勢で打ち続けている人には、店内ATMだろうがコンビニだろうが銀行だろうが、何の関係もない。また、プロと呼ばれるような人たちにとっても、店の中にATMがあろうがなかろうが関係ないだろう。そういう人たちには何の説得力もない話なのだが、ごく普通のパチンコ、パチスロユーザーを対象として考えれば、警察庁まで苦言を呈するような現実なのである。

 また、筆者が常日頃から言っていることなのだが、真の意味で庶民の娯楽を標榜しているのなら、店内ATMなんてかわいいものであろう。そんなもののお世話になることは滅多にないと、そのくらいの娯楽であれば行政も問題視しない。だが、現実はそうではない。油断していると、また1日数万、一撃数万発とか、そんな機械ばかりがはびこる危険性がある。実際問題、そんなことばかりやってきたから、いつもいつも規制されるわけで、その度に死活問題などと内輪で騒ぎ立てるわけである。

 やることをしっかりやってきていたなら、店内ATMがそれほど問題視されることはなかっただろうし、ほとんど使われないから自然になくなりましたと、そうなっていたかもしれない。だが、現実はそうではない。そして、ここまで依存症問題がクローズアップされてしまうと、さすがに今後の店内ATMの存在は社会的に容認できないだろう。それでも設置は続けるというのなら、警察行政や世論を納得させるだけの理由がなければならない。それだけの理由を提示できるのか、今後の動きを注視しておきたい。

ハーバービジネスオンライン 「パチンコ店内ATMに警察庁担当者も苦言。引き出し額制限機能も依存症対策に逆効果」https://hbol.jp/180389