先週はタンポポさんで収録を行いました。今回の収録には、安田さんは同行されず、ぽち。さん、ケンシロウ君、ボクの3名。ボクらの声等は一切ない、純粋に機種の動画として楽しんで頂く内容にするつもりです。

動画公開1本目は年内にはなんとか……といった感じです。

さて、そんなタンポポ収録ですが、自分の中で印象に残るシーンがありました。それは、「ハードロックII(大一)」を打っていた時のこと。

ボクは初めて見た機種だったのですが、このアホな動きの役物に一発で心を奪われてしまいました。

「なんじゃこりゃwwwww」

って、リアルに声が出ちゃってたと思います。

その時、通路の端から光る眼が……。ふと我に返ってボクがその方を見ると、とても ニヤニヤ  にこやかにこちらを見ています。

後でお話させて頂き知ったのですが、その方はタンポポで主に台の整備を担当されている方だったようで、ハードロックが現役稼働していた頃を知らない世代のボクがビックリしているのを「してやったり」と眺めていたのでしょう。

その時ふと、昔のパチ屋の情景が浮かびました。

ボクは元々はコミュ障であり、陰キャであり、クラスカーストの底辺サイドの人間であるため、決してホールでスタッフの方とコミュニケーションを取りたいタイプではありません。

むしろ「パチプロたるもの店員と関わるな」という古き教えを忠実に実行してきた側であり、齢40を超えて人間が多少こなれてきたことや、タンポポがホールではないからこそ、そんなスタッフの方とのコミュニケーションを楽しめました。

ただ、昔はどこのホールでも当たり前にあったそんなお客と店員とのコミュニケーションを、今のホールで見る事は本当に少なくなりました。

まず、単純に店内がうるさすぎて話してられない。次にスマホで何でも分かる情報化社会の弊害。最後にお客とホールのどちらにも余裕が無い事が理由としてあげられます。

こればかりは仕方ないよな、と思いつつも、タンポポで感じた「台への驚き」や「店員とのコミュニケーション」は、自分がもしパチンコ・パチスロをギャンブルではなく遊技として考えるなら、欠かせない要素なんじゃないかな、と思いました。そして、デジタル処理された物からそういった温かみみたいなものってやっぱり感じられないな、とも。だからどんどんホールから「負けても良い遊び」をする人がいなくなり、殺伐とした人ばかりが残るのかな、と。

何の根拠もないただの個人の感想ですけどね。

昨日、ふと台所で晩酌をしながらスマホをいじっていたら下記の記事が目に留まりました。

外国人の前に……

パチンコ日報さんでたまにある、読者のコメントをそのまま記事化したものですが、これは昔にボクが書き込んだコメントが引用された物です。この頃からホールの現場って何ら改善なんてされてねぇなぁ、と思いつつ、こんなもんホールの内情なんて分からない人間の無責任な戯言だよなぁ、とも思ったり。

5年前のこの頃よりは、ある程度業界を知るようになりましたから、キャッシュフローが待ってくれない中、先の記事内に書いたような事など業界内の方からすれば些事でしょう。

ホールも演者も「仕事」でやっていて、どんどんスモールビジネスが成り立たない世界になっている以上、ホールスタッフや人気演者、アイドル店員らが一人一人のお客と向き合って、細かいフォローをして、なんてコスト爆上がりの施策で客離れが食い止められる、なんて考えは幻想なのでしょう。

それよりも目の前の数字であり生活であり、その為には情報弱者からは取れるだけ取り、情報強者をいかに翻弄するかであって、お客が減って業界が大きくなろうが小さくなろうが知ったこっちゃない。そんな風にしかお客を見ていない業界人は多いように感じます。

 

だからこそ、タンポポが輝きを放つのかな、と。

 

単にノスタルジックな郷愁という事ではなく、タンポポさんには荒々しい仕事としてのゼニカネの殺(や)り殺(と)りがない。だからこそ、全員が笑顔になれる空間がそこにあります。そして、パチンコは設置やメンテナンスがパチスロより難しい為、パチンコが主体で遊べるゲーセンというのは非常に少ない中、パチ・スロ専門ではない大手のゲームセンターでは絶対にできない事をタンポポさんはやられています。

今調べたところ、パチ・スロのゲームセンターも経営は苦しいようで、名古屋の「758」はコロナによる休業中で再開の目途は立ってないようです。大阪の「古台遺産」も茨城の「夢中惑星」も数年前に閉店してしまいました。

横浜の桜木町にあるノスタルジアさんなんかは先日伺った時のお客さんの入りから考えてもまだまだ元気に頑張ってくれると思いますが、タンポポさんは立地という面で心配な点もある事から、興味のある方は是非ともお店に足を運んでもらいたいと思っています。特に、今のデジタル処理のパチンコしか知らない方こそ是非、と。

また、タンポポやノスタルジアを始めとするパチ・スロ専門のゲームセンターは、業界の文化遺産としても大切にしなければならない場所だと思うので、業界からの支援なんかがあっても良いと思いますが、まぁそれはまた別の話。

パチ・スロ専門のゲーセンというのは、パチンコ業界という本体が台を生み出してきたからこそ成り立つ場所ではあります。ただ、今現役のパチンコ台たちが10年後、タンポポに並ぶ事はない。そう確信している自分がいるので、しばらくタンポポさんやノスタルジアさんで本物の「遊技」を楽しみつつ、またホールに行きたいと思う時を待ちたいと思います。

今、パチンコ・パチスロが勝てない・ツマラナイと嘆くなら、そんな一時避難も悪くないですよ。


■万回転 プロフィール

  • 1978年生まれ ♂ 
  • 累計15年間パチプロを経験
  • CR銭形平次の捻り打ち動画をアップしてしまいネットでプチ炎上した事を機に安田プロと個人的な親交が生まれ、悠遊道へ寄稿する事に
  • 色々あって完全にパチプロを引退。
  • 現在は悠遊道動画チャンネルの総合プロデューサー兼ライター

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