シネマ・ブレイク!今日はパチンコの話はありません。プレイの合間や休憩時間に、気軽に読んでくだされば幸いです。

公開当時大ヒットしたにもかかわらず、未見でした。私は将棋と同じく、麻雀を知りません。ウッシッシ・メンタンピンドラドラ・わかるねっの巨泉さんと、ドンジャラのみ。手書きすると「麻」になっていた。そんな、パチンコ麻雀物語でもドン負けな私ですが、いつかベルバードさんにお邪魔したいし、夢のまた夢ですが、安田プロとも……。ポワワ~ン(妄想中)。いいじゃないの~。夢見ることは自由でしょ!

麻雀放浪記

1984年 日本
監督:和田誠
原作:阿佐田哲也
出演:真田広之 鹿賀丈史 名古屋章 

虎さん木曽さんと似てる信頼度……約79% 

戦後、荒ら屋で繰り広げられる、バクチ打ちたちの物語。簡単に言えばこれで終わりである。

監督は「お楽しみはこれからだ!」でおなじみのイラストレーター、和田誠。商売柄であろう、サスペンス映画のような構図とこだわりの照明があり、モノクロで撮ったのも大正解。

「自分にはツキの袋があり、限度を超えると破れるのさ」と早々に切り上げたドサ健に、勝負事への美学を垣間見る、坊や哲。彼の前に、個性的な博徒たちが次々と現れ、一流のイカサマ技、バクチ打ちの生きる道や末路、人間模様を教えていく。

それぞれが唸るような名台詞を繰り出すが、とりわけ女衒の達と出目徳の会話にしびれた。「誰かが金をなくすからバクチになるんだ」身も蓋もないような台詞に、さらっと本質をねじ込む高品格の演技。

特筆すべきはやはり、登場人物が生き生きしている点であろう。投げる前にフッと息を吹きかけられるサイコロ。くわえ煙草。それぞれに癖があり、人間くさい仕草にホッとする。何よりも顔面が素晴らしい。それはエキストラにも行き渡っていた。そのせいなのか、坊や哲を演じる真田広之の端正な顔立ちが、際立つ格好となった。

だましだまされ、草笛吹いて流れ星。加賀まりこ演じるママがこう言う。「男は殺して、女からは盗むのかい」と。その直後の台詞にも、戦争に対する女たちのやりきれない心をうっすら漂わせていた。物語は敗戦後の日本が舞台だ。焼け野原が時折り映し出されるが、冒頭以外、必ずタフな人物が写り込んでいる。戦禍の背景にしぶとく生き抜く力強さを混ぜる。この対比は、和田監督からのメッセージではないかとも思えてくるのだった。

そして女たちだ。坊やを追い返すママの瞳、非道を許してしまうまゆみのいじらしさ、出目徳の女房。出てくる女たちは、荒い世界における菩薩のような存在である。

真田広之は当時アクションスターのイメージが強かったかと思うが、瑞々しい演技だった。行為の後でいきなりビジネスの話をするママにちょっとスネたり、彼女のパトロンにヤキモチを焼いたり、暴走してプロポーズしたりする。その子馬のように濡れた瞳には、「坊や」と可愛がりたくなるチャームがあった。彼の初々しさによって、緊張感がほどけたり、大きく物語が展開し、助けられた場面がいくつもある。どこか純粋な存在が必要であり、そこにピタッとハマッたというわけだ。

あざとい代表でおなじみ大竹しのぶ演じるまゆみと、ドサ健。どこがいいんだろうかと思う男に惚れる女というのは必ずいる。鹿賀丈史の、険しさの中に甘さが宿ったマスクのせいか、女を売り飛ばす男なのにどこかしら憎めない。二人の場面はどれも良かった。高架下で彼女を引き留めるシーンはグッとくる。男と女のことは当事者同士にしかわからないという典型である。全く。答えの出ないバクチは男女の間柄だけではないだろうか。

さあて、よござんすか。

取り返したい女と金、野郎どものプライドと意地が賭けられた、喜楽荘での大勝負!

どう出る

さあ、張った張った!


・初パチンコ:2015年(47才春)
・本業:映画ライター

・猫とプロレスを愛する東京の大阪人
・クセ強め/耳遠め
・代表?コラム

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