去る10月5日付けで『パチスロ必勝ガイド 名物連載大集結SP』というタイトルの増刊号が全国発売されました。

この増刊号はその名が示すように、ガイド本誌&MAXの連載(主に1色の白黒ページがメインの読み物記事)のスピンオフ企画として、全編書き下ろしの完全新作を集めた、なかなか硬派な増刊号となっています。実は私も「浮草家計簿 追懐編」を寄稿したんですが、これは同連載の最終回用に温存しておいたネタにつき、今後もしも浮草家計簿が突如として打ち切られる事態が訪れた場合には、この「追懐編」が総まとめだと思っていただければ幸いです。

 

ところで、すでに多くの読者さんはご存知だろうと思いますが、世の中の全てのパチンコ&パチスロ雑誌(商業誌)は、筐体や液晶の写真をページで使用する場合は版権元様に掲載許可を頂くのが通例となっています。いや、もちろん無許可で記事を作成することも可能ですが、後になって権利関係で揉めると面倒なので、雑誌サイドからお願いして監修していただくわけです。要は、版権元様のお墨付きを頂戴するわけですね。中には監修に「5営業日」が必要な版権元様もあって、そのような版権機種を担当した編集・デザイナー・ライターは地獄を見ることもままあるわけですが、版権(特に圧倒的な知名度を誇る有名版権)は版権元様にとってかけがえのない財産ですから、パチンコ&パチスロ雑誌は版権元様の権利を尊重しなければなりません。

もっとも、監修のレベルは千差万別で、ページをさらっと眺めて機種名やキャラクター名、マルシーの表記が間違っていなければ即OKをいただける版権元様と、記事の内容を細かく精査して少しでも気に入らない部分があれば容赦無くNGを出す版権元様、両者の中間程度の対応をする版権元様の三種類があるんですけどね。ただ、いずれの版権元様も基本的には、新機種に関しては厳しくチェックする代わりに、デビューからある程度の年月が経過した旧機種はお好きにどうぞ…のスタンスを取ることが多いです。そりゃそうだ。なぜなら、版権元様にとって「雑誌記事の監修」なんていう仕事は本来必要のない雑務であり、毎月何十冊と発売される雑誌の全てに対応していたら、どんなに多くの人員と時間があっても足りませんからね。

 

まぁ、そんなわけだから、今回の「浮草家計簿 追懐編」も、特に監修でNGが出るような心配はしていませんでした。

ところがどっこい、想定外のダメ出しを喰らっちゃいましてね。

具体的には、同記事の3ページ目の本文の第4段落。東日本大震災のあった日に、私は●●●●を実戦中で、妻に電話したら「ARTを取り切ってから迎えに来て」と言われたエピソード(妻と娘は近くの体育館に避難してました)を綴ったところ、版権元様からクレームが届いたんです。

曰く、東日本大震災のような大変な事件が起きたのに、ARTを取り切るまで打ち続けるなんてのは非常にけしからん行為だと。こんなエピソードは版権のイメージを著しく傷つけるから、他のエピソードに差し替えるか、そうでなければ本文から機種名を削るように!

 

他のエピソードに差し替えろつったって、この連絡が来たのは下版日の18時前。そんなん時間的にできるわけないやんか…ってなワケで、仕方なく「某ART機」という表記に変更せざるを得ませんでした。本文中およびカコミ中にある他機種は全て実名、もしくは略称で掲載しているのに、この機種のみ某機種の表記になっているのはそのためです。てゆーかね、このエピソードは東日本大震災が起きた当時も浮草家計簿で同じように記事にして、その時は特にクレームもなく普通に実名でOKが出たのに(チェックしたのはもちろん同じ担当者様です)、あれから十年が経過した今になってダメ出しするなんて、ちょっとアタオカなんじゃね?

ちなみに、この版権元様の担当者様とは何度かお会いしたことがありますが、普段は非常に人当たりがよく温和な方です。しかし、いざ仕事となると人格が豹変。まるで重箱の隅をつつくかのごとく、どんな些細な表記ミスも見逃さない「仕事の鬼」に変貌します。

 

そういう人だと理解しているから納得できたけど、仕事が出来すぎる人って時と場合によっては煙たいんですよね…と、思ったり思わなかったりしました。

おしまい。