自分が本格的にパチンコと戯れるようになったのは昭和から平成に変わる頃ですが、その頃は特殊景品も色々ありました。自分は神奈川在住ですが、東京と隣接しており、双方の特殊景品の移り変わりを見てきました。今現在、東京は金地金 (TUC買い取り) にほぼ統一されていますが (神奈川も金地金を採用する店が多くなったようです)、そうなるまでは多種多様とまではいかなくとも、それなりにユニークな特殊景品が出回っていました。

 自分が初めて手にした特殊景品は確かライター石だったと思います。羽根モノ打って、小箱一箱出してカウンターで玉を流し、渡されたものがプラスチックのケースに入れられたライター石だったと。それを交換所に持って行って、現金と交換するわけです。あぁ、こういうシステムなのかと、納得したようなしないような、まあお金になると分かったのだからいいかと、そんな気持ちでしたね。

 ちなみに昔むかし、ある雑誌で読んだ記憶があるのですが、パチンコで良く出る景品は何なのかというテーマ  (客側が良く取得する景品という意味) に沿った記事を掲載した雑誌を取り上げ、その内容に疑問を呈していました。取り上げられた雑誌の記事の内容ですが、~最も良く出る景品はてっきりタバコかと思っていたら実はライター石なんだそうだ。タバコを吸う客が多いからライター石の需要も多いのだろう~ という首を傾げざるを得ないもので、これを書いた記者さんは幸せな人だなぁと思った覚えがあります。

 ある程度玉が出たらジェットカウンターで玉を流し、カウンターで特殊景品をもらう、そして店の外に出て交換所を探し、無事交換所を見つけたらテーブルの小窓や引き出しに景品を入れると中の婆さんか爺さんがお金をくれると、まあこの一連の流れは今も昔もそう変わりはありません。強いて言えば、中の婆さんや爺さんが若い女性に変わっていたりすることくらいですかね。

 本格的にパチンコを覚え、店も1店舗だけでなく、複数の店に行って換金するようになると、手にする特殊景品も様々なものになります。昔は100円単位、10円単位で現金を出す交換所もそう珍しくはなく、その影響なのか、やたらチープな特殊景品もありました。ある店では小さな四角い箱に入った香水がメインでしたが、それに歯ブラシが付いてくるんですね。わたくし、てっきり余り玉で勝手にくれるチョコや飴玉と同じ扱いの景品と判断し、それを自宅で使いました。あまり出来のよろしくない歯ブラシで、次からはチョコやヤクルトにしてもらおうと思ったのですが、また店に行って両替したら香水と歯ブラシ数本を貰い、その場で他のものにしてとも言いづらく、気付いたら家には安物の歯ブラシが何本も溜まっていました (涙)。その歯ブラシは、実は特殊景品だと気付いたのは交換所で歯ブラシを小窓の引き出しに入れている客がいるのを見たからで、あぁそうだったのかと、後日自宅に置いていた歯ブラシ数本を無事交換するに至りました。

 当サイトの佐々木真氏が書いておられる下北沢の某店ですが、実はわたくしもその店には良く顔を出していました。確か毎月19日はトクする日とかで、玉1個で懐かしの瓶のコーラやジュースがもらえたのはいい思い出です。その店の特殊景品は確かパイプとゴルフで使われるマーカーでした。どうしてパイプとゴルフのマーカーが特殊景品なのか、今でも意味が分からないのですが、まあそれを言ってしまうとライター石だってそうだろうということになりますし、佐々木氏が言われているように十二分に市場価値があるようなものは交換所ではなく、他の店に売った方が高く買い取ってもらえる可能性があるわけで、そういった観点からは意味が良く分からないものの方が都合がいいのでしょう。

 他にはコーヒー豆がありました。森永チョコボールをちょっと縮めたようなパッケージに入っていて、透明のビニールから変色しているコーヒー豆が確認できました。さすがにこれを普通の景品と勘違いして自宅で挽いて飲むわけはなく、確か1000円か1500円くらいの特殊景品だったと思います。後はペンダントやネックレスとか、レコード針や万年筆のペン先とか、多少は価値がありそうなものが特殊景品として流通していたと記憶しています。地方では、そういった特殊景品が今でも現役で活躍しているようで、旅打ち等で手に取ることができたら記念に写真に撮っておくのもいいかと思います。

 特殊景品はパチンコの歴史を語る上では外せない存在と言ってもいいと思いますが、三店方式のシステム上、仕方なく生まれたものでもあり、換金が正式に合法化されれば必要ないものになります。元々、カードを使って遊技させることを目的としたカードシステム (CR機とワンセット) は不透明なお金の流れを明白にするためでもあったのですが、換金合法化も視野に入れていました。システムの黎明期、某大手チェーン店が積極的にカードシステムを推進していましたが、その裏には監督官庁の警察庁に対し、換金合法化の議論もいずれきちんと俎上に載せてほしいという要望があったのです。当時で1店舗あたり数千万単位のお金がかかることを業界挙げてやる以上、それなら悲願でもある換金システムの合法化を認めてほしい、少なくとも議論は進めてほしいというわけです。

 しかし、いつの間にやら換金合法化の話は有耶無耶になり、CR機はギャンブル性を上げただけの機械に成り下がり、カードそのものは変造されまくりで、加盟店では全国共通でカードが使えるという触れ込みもアッと言う間に頓挫しました。特殊景品とは関係ない話になってしまいますが、一体このシステムは誰が得をし、誰のためになったのだろうかと、一度総括する必要があるかと思います。今話題のスマパチがCR機の二の舞にならないためにも。