お久しぶりですあしのです。

知ってる人も結構いると思うけど『非現実の王国で』っていう本がある。これはヘンリー・ダーガーという頭のおかしい爺様が一生涯をかけてチラシの裏に書いたファンタジー小説だ。主人公はビビアンガールズっていう女の子たちで、挿絵も自分で書いてるんだけど、ヘンリー自身は一度も女の裸を見たことがなかったので、彼女たちにはちんちんらしきものがついてるんだよ。

いわゆるアール・ブリュット(アウトサイダー・アート)としてめちゃくちゃおもしろい事例で俺も好きなんだけど、それ以前に「気持ち悪い話だな」って感じるし、ちょっと「怖い」って思うんだよね。だからこそ面白いんだけどね。

で、実はパチンコ業界にも同じことが起きてると俺は思ってます。

どういうことか。

はい、ヘンリーは生涯にわたって徹底した社会的孤立状態におかれていたのね。

そういう状態で孤独な生活を続けながら創作を趣味としそれを死ぬまで続けてたというのは本当に奇跡的なことなんだけど、当然誰にも見せず、誰からも批判されず、部屋の中だけで生み出された作品というのは奇妙で、グロテスクで、なんとなくヒエロニムス・ボスの世界観を思わせるような不気味な荘厳さがあってね。

奇しくも「非現実の王国で」というタイトルはそのまま彼の部屋で生み出された「妄想」そのものを端的に表してるし、「閉じた環境」で生み出されて部屋のなかだけで完結する言葉なわけです。

で、何が言いたいかというと、これは要するに「AI来店」と同じなんすよ。

AI来店なんて文化はパチ業界以外では発生もしなければ流行もしないわけで、この独自のカルチャーの異様さというのは、端から見ると怖かったりグロかったりすると思うんですね。ちょっと前にAI来店の演者(?)が並んでるチラシみたいなのをSNSで見かけたんだけど、俺はそれを見た瞬間「アウトサイダー・アートみたいだな」って思ったし「ビビアンガールズだな」って思った。もしかしたら彼女たちにはちんちんがついてる可能性もあるね。

もちろん、やってる側は金のためにやってるんだろうし独自の文化体系をつくるだのアウトサイダー・アートだのという大げさなお題目は考えてもいないんだろうけど、このAI来店という文化は考えようによっちゃ非常に冒涜的なのね。

まだVTuberはアニメチックな絵だったからうまいこと偶像化されてた感があるけど、ハイパーリアリスティックなAI絵に人格を与えるとなると最終的には宗教とかそっちが絡んでくるんじゃないかとマジで思う。ただ日本はアニミズム国家だからスルーされてるだけで、イスラム教圏で同じことやったら普通に怒られるんじゃなかろうか。

うん、やっぱり非実在のリアルな人の絵というだけでも生理的な嫌悪感はあるのに、それに人格を与えるというのは如何にも気色悪いし単純に不気味だと俺は感じるね。

あくまで「俺がそう感じる」だけであって、そう思わない人にはなんのこっちゃなんだろうけどさ。繰り返すけど、ヘンリー・ダーガーの小説や絵と同じで、人によっては「気持ち悪いな」とか、もしかしたら「怖い」って思うかもしれないね、という話でした。だからこそ社会実験としても面白いんだけどさ。

ただまあ、これが受け入れられるパチンコ業界はやっぱイカれてると思うよね。