ユニークな作りで注目を集めた大都技研のパチスロ『いろはに愛姫』ですが、「アマすぎる」ということで、撤去や稼働停止としているホールが少しずつ増えてきました。

ご存じない方のために少し説明しておきますと。設定は左と中と右と6。設定の左〜右は、BIG中やART中に発生する青7揃いの押し順3択の割合の違いです。設定左であれば、左正解が50%で残りが25%ずつ。設定中ならば中正解が50%。設定右ならば右正解が50%となります。

誤った押し順ばかりを狙っていると出玉率は96.8%ですが、正解の押し順で打ち続ければ104.1%に。104%は1日の稼働8000Gで1000枚弱のプラスとなります。押し順さえ分かれば、十分にアマいスペックなのは確か。これだけで蔵が建つことはありませんけどね。

 

パッと見た数字ですが、集計データの平均出玉率は100%ちょっとくらいとなっています。ホールにとっては交換差額がしっかりないと厳しいですね。人件費や光熱費などコストの分だけ負担が嵩んでしまいます。100%程度で稼働停止? 攻略法などでぶっこ抜かれているのではないのにチキンだなあ……というユーザーの気持ちも分かりますよ。むしろ、その考えのほうが正常と思う育ち方を“パチスロ第3世代”の私もしています。

しかし、冷静に考えてみましょう。この仕様でホールが利益を出せるのは、主に押し順を探っている段階の現金投資です。正解を導きだして粘られるとそこからは赤字一方となります。そんな特性があるので、特定のユーザーがずっと粘ることになります。還元が集中してしまうんですね。ほかの台にユーザーをつけるための出玉が割かれるといったコンセプトを阻害するのは確かちゃんと、ほかの機種で頑張ってくれてるのかは知らんけど。それを気にするのもホール観察眼。

毎日のように数百人が並んで、番号の若い人が取っていく。そんな客寄せパンダなど「別の役割」があれば良いですが、ホール事情、集うユーザー層によってもマチマチでしょう。なので、稼働停止という判断をするホールがでてくるのも仕方のないことと思います。

 

そこで気になるというか、こういう話も出て来るのだろうなと思うのが、補償問題です。ここ10年の不具合による補償を振り返ってみます。ほかにもあるかもしれませんし、ざっとしか調べていないので微妙に違ったらすみません。

○2011年。パリが燃えちゃった機種(パチスロ)

BIG中にレア小役をハズすことによってART抽選機会を増やせました。出玉率は100%ちょい程度? そこまでの破壊力がなかったのは今回と同様。補償は代替機が無料&1日3000円を約40日間。

○2013年。当たったのに茶器がもらえなかった機種(パチスロ)

ART当選の告知画面からARTを発動させるための押し順ナビが出ないというマイナス方向のバグ。利益というよりもユーザーからの信用問題に。補償は1日7000円を約45日間。このアナウンス後も稼働させていたホールはどうしたんだろう。

○2018年。毎日同じメニューの偏食家な機種(パチンコ)

クルーンを含めた役物がアマすぎるスイーツかというほどの味付けミス。補償は、代替機を用意。代替機不要であれば購入費用+諸経費+50000円を返還。

○2018年。エスポワール号よりも勝ち目のない!?機種(パチンコ)

スペックのミス(?)で、粗利が大好きなホールもビビるほどの激辛台に。補償は下取り20万円で代替機。

 

パチンコの情報量が薄くてすみません。餅は餅屋です(笑)。当然、稼働停止や撤去となる理由が違うので、補償内容も異なっています。どれが適正かというのは難しいですが、被害としては『パリが燃えちゃった機種』と近いかもしれません。ただ、今回は同程度の補償を求めるのは“虫がいい”ように感じます。

設計ミスではなく、押し順を特定されて粘られたらアマくなることは想定できたはず。最初から低貸しとか被害を抑える対策は取れたと思うんですよね。まあ、アレだ。もし“抱○合わせ”に近い売り方だったら、下取りとかで考慮すべきとは思いますけど。

 

その『パリが燃えちゃった機種』のときですが、ちょっとインターネットが気持ち悪かったんですよ。「ホールの利益にならない機種を売るとはけしからん。メーカーは補償しろ」という声が大きかったんです。メーカーとしては、長く楽しんでもらえるようアマめに設計してミスってしまったわけで。少なくともユーザーの方向を(少しは)見て開発してくれていたと思うのです。こんなんでアマめの機種を作りにくい雰囲気となってしまうことこそ、ユーザーにとっては不利益でしょう。

ちょいミスっちゃったかもだけど、ドンマイ! 楽しんでもらおうという気持ちは汲み取った。アイデアは楽しかったぜよ!

私もアマい機種に目のないユーザーですから。こんな感じの大らかな気持ちで今後を見守りたいと思います。交換差額がしっかりある営業なら十分に使えそうですし。そういうところに集るのも悪くはない話。等価に近いホールが投げ売りをしたら、安い中古価格で埋められてWIN-WINになるとも思います。機種自体が好きな人はそこに行けば打てるってのも大事ですよね。台も適材適所なのです。こういう騒動に関わらず。

ん?103%の『ディスクアップ』が撤去されていない理由? お前らどうせ押せないだろと、ユーザーはバカにされています。パリ燃えの撤去時も『ひぐらし祭』は無風でした。ディスクアッパーのみなさま、心配ご無用です。初心者を見下して上手い人しか打てない雰囲気になったら数値が上がるので分からんけど。あ、この話で一本書けますわ(笑)。

 

とまあ。『茅野〜美ヶ原』とか“顎ハズシ持ち”とかも経験している世代としては。これくらいで騒ぐな! なんてな気分なんですけどね。それ以上に破壊力のあるものを知る、広石さんやアニかつさんも同じような気持ちかと思います。