万回転さんも記事にされていましたが、去る4月11日に神奈川県秦野市(東海大学前の駅前)にあったレトロ台の聖地。ニューオオネさんが40年の歴史に幕を閉じました。私も最後にお邪魔させていただきました。その1日についてなどはいろいろ予約が入っていたりしますが、そこで詳しく書くことができなさそうな、昔の個人的な背景を中心に書きたいと思います。

私がニューオオネの存在を知ったのは、2005年12月のことでした。遊技機規則的には5号機となっており、でも市場は4号機が中心。そんな時期でした。この12月1日にとある通達が出されます。「検定・認定が切れている機械は、2006年6月末までに撤去するように」いわゆる“みなし機撤去”問題です。6号機時代への希望と恐怖で書いたこととリンクしますが。

この時代はインターネットもそこまで主流となっておらず、どういった経緯でそうなったのかは分かりませんが、2006年6月20日と前倒しで撤去の期日が決まりました。

私は“パチスロが歴史を捨てた日”などと表現することもありますが、これだけの一斉撤去は初めてのこと。それまでは壊れない限り設置し続けられると解釈されており、緩い時代的に違法な修理とかもあったでしょうが、1990年以前の機種まで残しているホールがあったほどです。

ホールで打てるって素晴らしいんですよ。私もパチスロに熱中してちゃんと勉強するようになったのは1997年辺りです。その新たに得た知識を持って、はじめましてや、お久しぶりな台と触れ合っていました。古い機種だってね、知らない機種は新機種ですよ。新たな楽しみに出会えるんですよ。

そんなことを楽しんでいた後発の人間でも歴史を遡れる機会が、2006年6月20日をもってなくなることとなりました。

 

単に最後のお別れをしたい……よりかは切実でしたかね。1990年代は携帯電話の写メもまだ浸透しておらず。ホールの中で撮影をするのもマナー違反とされていた時代でした。好きなリーチ目の写真がまったくないのです。撤去される前に撮っておかなければ。焦っていましたねえ。

どこに行けばこの機種を打てるだろう。どこに行けば効率的に多くの機種を打てるだろう。そんな目で探していたときに見つけたのがニューオオネでした。

絶対に1日では足りないですね(笑)。そこからチョコチョコ通うようになりました。神奈川県は他にも聖地が数多くあり、こんなハシゴをしたこともあります。

ニューオオネ(東海大学前)で撮り逃した機種からスタート。モナコ(長後)に移動して『エスプ』や『ビッグパルサー』や。最後は横浜方面に向かって、でんえん(上大岡)で『ビガー』や『CCエンジェル』や。

仕方ないです。締切が6月20日と決まっているんですもの。これ以外にも、千葉や埼玉。新潟にも行きましたね。残存しているのが奇跡くらいの古い機種だけに、これだけまとまって置いてあるのは貴重だったのです。

この時に回っていたレトロ台ホールの大半は閉店してしまっています。こういった騒動の際は、大半の設置台を一気に入れ替えなければならない。集う客層も一気に様変わりするなど難しい点はたくさんあります。……なんて話は予約されているような気がするのでスルーします(笑)。

 

それまで3号機以前が設置されていたように、2006年の撤去騒動は前例のないものでした。いつまでも打てると思っていました。そして、ハズされるのは自分の青春時代の機種たちでした。インパクトが強すぎますね。なので、2019年末の5号機の“みなし機撤去”は、「前もそうだったし、そりゃそうなるよね」という当たり前の感想で慌てることはありませんでした。

写真も撮れる時代でしたし。いつお別れのタイミングとなっても良いように。好きすぎる機種はニューオオネなどで定期的に触るようにしていましたのはありました。

5号機で撤去される機種たちとの別れを惜しむようなブログ記事を書いている人を見つけては「あの頃の私のようだな。同じ気持ちなんだろうな」と微笑ましく拝読していましたよ。別れを惜しむ記事は珍しくないでしょうが、時を超えて同じホールというのが凄すぎます。その一人が平岡みゆきさんですね。

 

とまあ。6号機が終焉する時もお世話になろうと思っていたレトロ台を集めてくれる聖地がなくなった。表面的にはそうですが、ニューオオネの魅力はレトロ台”だけ”ではなく、ニューオオネそのものだったのではないでしょうか。悠遊道ではお馴染み、福生のゲームセンタータンポポさんと空気は似ていますね。昭和の香りが漂う、そんな空気です。良くも悪くも(笑)。

パッと設置店検索などで打ちに行く方にとって、レトロ台は目的そのものです。私も最初はそうでした。ただ、ニューオオネにとってレトロ台は目的ではなく手段の一つだったのかなと。今ではそう思っています。

レトロなら何でもいい。珍台だったら何でもいい。そうではありませんでした。オーナー店長さんが思う“パチスロとはこういうもの”という台ばかりだったんですね。

マイナー機だけど、ニューオオネに設置されているんだから光るものがあるはず。一人のパチスロマニアである店長さんが作る“プライベートなスペース”で遊ばせてもらう。ヘンテコかもだけど面白い機種を紹介してもらう。そんな受け取り方を私はしていました。現代のホールが忘れてしまっていると感じる部分ですね。レトロ台だから際立つのはありますが。

奥歯に物が挟まったようなラストですみません。予約されているのをどうするかまだ方向性が定まっていないものでして(笑)。

ニューオオネで、多くの機種に触れ合えるだけでなく、多くの人とも出会わせていただきました。紛れもなく“パチスロ好きが集う大人の社交場”でした。休業扱いとのこと、いつの日かの復活を心待ちにしております。ひとまず、お疲れさまでした。ありがとうございました。