前編2号店編からの続きになります。とある私鉄沿線の駅からパチンコホールがなくなるまでの話です。

4号機が完全撤去された最悪のタイミングでオープンした2号店も、数々の「しくじり」から浮上することなく10年で閉店。手付かずで平穏を保っていた本店に“しくじり施作”が襲いかかることとなります。 2号店閉店の影響? ありませんよ。お客さんが多くて2人だったんですから。残った本店も5人程度。集約できたのかも分からない数です。

○ここまで特に本店は動かず

2号店がちょっと盛り返したり、入れ替えの大失敗で沈没している間、本店では特に大きなトピックスはありませんでした。何も思いつかなかったと言うべきでしょうか。実は、2号店で打つことがなくなっても、本店ではたまに遊ぶこともありました。とある初期5号機の最後の設置店だったのです。お賽銭、お賽銭。この機種がなくなってからは1回も打つことはなくなりました。

これがグリンピースやニューオオネといった名物老舗ホールならば「全国で設置1台」とかPOPを付けていたことでしょう。もちろん、この本店にそのような発想はございません。あれば、2号店があんなことにならないでしょう。

教訓:設置している機種の価値や存在意義を把握すべし。お客さんは、パチンコ・パチスロを趣味にしています。

しかし、2017年に2号店も閉店。更なる斜め上のしくじり施作が開始されます。2018年のこと。本店はリニューアルと称して休業に入ります。ついに閉店。もしくは居抜きの売却か……。

 

 

○死への超大幅リニューアルを敢行!

それから1ヶ月ちょっと。本店は同じ屋号のまま再オープンします。本当に単なるリニューアルだったのです。それは良いとして、工事中もオープン日を予告する店頭ポスターも見かけませんでした。工事が終わったのは見ていましたが、なかなか開かず。気が付いたらオープンしていたのです(笑)。

このリニューアルが、またもやしくじりだらけ。既に受動喫煙対策の健康増進法改正もほぼ決まっていましたが、喫煙スペースの設置もなし。お金が湯水のようにあるのであれば、またリニューアルをすることになります。またもや、そんな悪いタイミングでした。

 

そのような経営的なことはさておいても、実に恐ろしいものでした。今まではパチンコが左でパチスロが右に配置されていましたが、その左右が入れ替わっていたのです。まず、それで得られる効果が分かりません。常連客にとって、見える光景が変わるのは大きいです。自分の場所だと思っていた視界ではなくなるのですから。

出ないイメージを払拭したい。そもそものお客さんが少ないから、それを失うことはやぶさかではない。分かりますが、それならばリニューアルの告知は大きくすべきですし、設置機種も広い商圏の中で選ばれるように揃えるべきでしょう。ええ、パチスロはまた微妙な総バラエティ化していましたとも。しかも、学生が打ちやすいノーマルも最初はほぼありませんでした……。2号店から何も学んでいませんね。

教訓:次の顧客ターゲットの見えない大幅リニューアルはリスクでしかない。

総バラエティでジャグ系のシマも分散。綺麗にそのジャグだけを渡り歩く人をたまに見かけるのみとなってしまいました。いつも5人ほどはいると思っていましたが、いつ行っても2人以下に減少。まだ減らせることに驚きました。「珍しい、お客さんがきた」という感じの店員さんからの視線。このリニューアルから閉店までの2年ちょっと。ずっとこんな感じでしたとも。

 

 

○グランドクローズへの悪あがき

 

2019年末をもって、検定・認定切れの機種が撤去すれることとなりました。しかし、これ以上の入れ替えをする体力がなかったか、パチンコ・パチスロを合わせて1/3程度は電源を落としてそのまま設置していました。リニューアル費用はあったのに、肝心の商品を置くことができなかった……と。さすがに、こうなってからは覗きに行く回数もガクンと減りましたね。そうそう。喫煙スペースを作るリニューアルも当然ありませんでした。

新型コロナウイルスの緊急事態宣言。知事に店名を公表されるデッドラインまで営業を続行していました。自動ドアが開いたタイミングで見る限りアルコール消毒などの対策はなし。さすがに、お客さんは多くて5人程度でしたね。人件費と光熱費をペイできたのかは分かりませんが。なお、最後に外から音がよく聞こえたのは『SLOTパックマン』でした。だから打ちやすい機種が大事なんだって。

そして、臨時休業から二度とシャッターが開くことがなく、中のシマの解体作業が始まっています。もっと前に潰れていておかしくなかったので、税金対策の店舗などでいずれは開くだろうと思っていたので逆に驚きでした。コロナ禍でも無防備なまま働かされた従業員たちが、辞めてしまって物理的に開けないのかと思っていたくらいです。

 

 

○本来の「しくじり先生」は?

テレビ番組の「しくじり先生」は、過ちを振り返れるくらい立ち直っているという“救い”があるものです。しかし、このホールにはそれがないことが残念でなりません。30年ほど昔は名の知れたお店だったらしいですけどね。そんな意地や、この劣悪な状況から脱却する姿を見たかったのが本音です。そうなれば中小規模でも繁盛店にするヒントがたくさん見つかったはずですから。

歩いて行ける距離にあって、復活した姿を見たかったから今日まで見に行き続けていました。大事なんです、地域密着の中小店って。パチンコ・パチスロが身近な存在となれる入り口となります。大型店まで遠征しなければならない。それは非日常です。初めて打つ時に、遠征してまでと思える人は僅かです。街からパチンコホールが消えるって数字以上にマイナスなんです。

ここまでのしくじりの連続は珍しいとは思います。しかし、中小店が大手並みの利益を求めて失敗することはよくあること。その多く、つまづきのスタートは、このホールのように地元のユーザーを顧みない結果なのではないでしょうか。厳しい情勢ではありますが、1軒でも多くの中小店がしくじらないことを願ってやみません